コラム
Column
肩の痛みが長引く・繰り返す|石灰沈着性腱板炎と五十肩の違い
こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
この記事でわかること
- 石灰沈着性腱板炎と五十肩は何が違うのか
- 痛みを繰り返す・長引くときに考えられること
- エコーで石灰の状態を見ながら治療を選ぶ意味
「一度おさまったはずの肩の痛みが、また出てきた」「動かすと引っかかるような鈍い痛みが続く」。30〜40代でこうした症状を繰り返す方の中に、石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)の慢性期が隠れていることがあります。五十肩と思い込んで様子を見ているうちに、なかなか良くならないというケースは少なくありません。

石灰沈着性腱板炎と五十肩は何が違う?
結論から言うと、痛みの「始まり方」と「原因」が異なります。石灰沈着性腱板炎は、腱板の中にカルシウムの結晶(石灰)がたまることで起こります。一方、五十肩(肩関節周囲炎)は、肩の関節そのものに炎症と拘縮(固まること)が生じる状態で、石灰は関係しません。
典型的には、石灰沈着性腱板炎は誘因なく突然の激痛で始まり、五十肩は徐々に痛みと動かしにくさが進みます。ただし慢性期になると、石灰沈着性腱板炎も鈍い運動時痛が主体になり、五十肩と見分けにくくなります。決め手になるのは、レントゲンやエコーで石灰があるかどうかを実際に確認することです。
なぜ痛みを繰り返す・長引くの?
石灰は、やわらかい「ミルク状」から、時間とともに「石こう状」へと硬く変化します。硬く安定した石灰が腱に残っていると、急性のような激痛はなくても、動かすたびに引っかかりや鈍い痛みが出て、長引いたり再燃したりすることがあります。
肩の痛みが続く背景には、腱板断裂など別の問題が隠れていることもあります。石灰沈着と腱板断裂が同時に見つかることもあるため、「石灰があるかどうか」だけでなく、腱そのものの状態も含めて画像で評価することが大切です。長引く肩の痛みは、腱板断裂の解説ページもあわせてご確認ください。

当院での治療について
当院の特徴は、医師と理学療法士がともにエコー(超音波)を使って診療にあたる点です。医師は診察や注射をエコーで確認し、理学療法士もリハビリの中で腱や筋肉の状態をエコーで確認します。石灰はエコーで白く映るため、「ミルク状でやわらかいのか、石こう状に硬いのか」を医師とPTが共通の情報として持つことで、診察室とリハビリ室の間で方針のずれが生じにくい体制をとっています。
硬い石灰による慢性の痛みには、体外衝撃波などが選択肢になります。効果や石灰の残り方には個人差があります。
担当の理学療法士はこう話します。「エコーの利点は、その場で動かしながら状態を確認できることです。石灰や腱の様子を一緒に見ながら進めると、治療への納得感が変わってきます」
全ての治療の根底にあるものは、理学療法士によるリハビリテーションを基にした運動療法です。石灰への対応と並行して、肩甲骨まわりの動きや姿勢を整えることが、痛みの再発を防ぐうえで重要になります。石灰沈着性腱炎やリハビリテーションのページもご覧ください。

「五十肩だと思って何ヶ月も我慢していた」という方が、エコーで石灰が見つかることがあります。原因がわかると対処も変わります。長引く肩は、思い込みで済ませず一度確認させてください。
よくある質問
石灰は放っておけば消えますか?
自然に吸収されて症状が落ち着くこともありますが、硬く残って痛みを繰り返す場合もあります。症状が続くときは、石灰の状態を確認したうえで治療を検討します。
五十肩と石灰、自分で見分けられますか?
症状が似るため、自己判断は難しいのが実情です。レントゲンやエコーで石灰の有無を確認するのが確実です。動かしながら見られるエコーは、その場での確認に役立ちます。
体外衝撃波はどんなときに使いますか?
主に、硬く残った石灰による慢性の痛みに対する選択肢の一つです。症状の程度や石灰の状態を確認したうえで適応を判断します。
まとめ
肩の痛みが長引く・繰り返すとき、それは五十肩ではなく石灰沈着性腱板炎の慢性期かもしれません。両者は原因が異なり、対処も変わります。天王寺区・桃谷駅の桃谷うすい整形外科では、エコーで石灰や腱の状態を一緒に確認しながら、慢性期に合った治療とリハビリを組み立てます。なかなか良くならない肩の痛みは、原因をはっきりさせることから始めましょう。
関連動画
参考文献
- 日本整形外科学会「石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)」症状・病気をしらべる
- Albert JD, et al. High-energy extracorporeal shock-wave therapy for calcifying tendinitis of the rotator cuff: a randomised trial. J Bone Joint Surg Br. 2007;89(3):335-341.
- Arirachakaran A, et al. Extracorporeal shock wave therapy, ultrasound-guided percutaneous lavage, corticosteroid injection and combined treatment for rotator cuff calcific tendinopathy: a network meta-analysis of RCTs. Eur J Orthop Surg Traumatol. 2017;27(3):381-390.
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状には個人差があります。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)
記事監修:臼井俊方
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