コラム
Column
「指の第一関節が痛い、コブがある」ヘバーデン結節をエコーで診断する
こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
こんなお悩みはありませんか?
- 指の第一関節(DIP関節)が腫れている、コブのようなものがある
- 指先に力を入れると痛い
- 朝起きると指がこわばる
- 関節リウマチと言われたが、しっくりこない
- レントゲンを撮ったが「経過観察」とだけ言われた
- 湿布や痛み止めを続けているが、なかなか良くならない
ヘバーデン結節とは
ヘバーデン結節は、手指の第一関節(DIP関節)に起こる変形性関節症の一種です。
関節軟骨が摩耗し、骨棘(こつきょく)が形成されることで、関節の腫れ・変形・疼痛をきたします。

疫学(どのくらいの方がなるのか)
一般人口における有病率は平均約31%と報告されており、加齢とともに増加し、
70歳以降では50%以上に認められます。
日本人の40歳以上での有病率は男性約15.2%、女性約41.8%と、女性に多い疾患です
(男女比 約1:4.8)。
主な発症要因は加齢・ホルモン変化・遺伝・職業や趣味での手指の使用とされていますが、
原因は完全には解明されていません。
診断:レントゲンとエコーの役割
レントゲン(X線)でわかること
| 所見 | 内容 |
|---|---|
| 関節裂隙の狭小化 | 軟骨の摩耗 |
| 骨棘(こつきょく) | 骨の増殖変化 |
| 骨破壊・変形 | 進行期の骨変化 |
日本整形外科学会の基準では、DIP関節の変形・突出・疼痛があり、
X線で関節裂隙の狭小化・骨棘・骨破壊が確認されればヘバーデン結節と診断できます。
超音波(エコー)でわかること
レントゲンが骨の変化を評価するのに対し、エコーは軟部組織(滑膜・腱・軟骨)の 炎症状態をリアルタイムで観察できます。
| エコー所見 | 意味 |
|---|---|
| 滑膜肥厚(≥1mm) | 炎症による滑膜の増生 |
| 関節液貯留(関節水腫) | 炎症の活動性を示す |
| パワードプラー陽性 | 血流増加=活動性炎症の指標 |
| 骨棘の描出 | 骨表面の変化(レントゲンと相補的) |
特にパワードプラーは活動性の炎症(滑膜炎)を可視化するため、
治療の緊急性や薬剤選択の判断に役立ちます。

⚠️ エコーはX線の代替ではなく補完的検査です。
両者を組み合わせることで、より正確な病態把握が可能です。
関節リウマチとの鑑別
ヘバーデン結節と関節リウマチ(RA)はともに指の関節炎として現れるため、鑑別が重要です。
| 比較項目 | ヘバーデン結節 | 関節リウマチ |
|---|---|---|
| 主な罹患関節 | DIP関節(第一関節) | MCP・PIP関節(第二・第三関節) |
| 血液検査 | RF・抗CCP抗体 陰性 | RF・抗CCP抗体 陽性 が多い |
| エコー所見 | 滑膜変化は軽度〜中等度 | 活動性滑膜炎・ドプラー陽性が強い |
| 朝のこわばり | 比較的短時間(30分未満が多い) | 1時間以上続くことが多い |
| 経過 | 緩徐に進行 | 関節破壊が急速に進む場合あり |
エコーで活動性の高い滑膜炎が確認された場合や、血液検査異常が疑われる場合は、
リウマチ専門医への紹介も検討します。
当院における診察・治療の流れ
STEP 1:初診・超音波(エコー)評価
問診・視診・触診のあと、X線撮影とエコー検査を行います。
エコーの画像をモニターでお見せしながら、病態と治療方針をわかりやすくご説明します。
STEP 2:保存療法(第一選択)
手指変形性関節症の治療の基本は保存療法です。
ACR(米国リウマチ学会)・EULARともに運動療法を強く推奨しています。
| 治療法 | 内容 |
|---|---|
| 運動療法 | 理学療法士による指のグーパー運動・可動域訓練・筋力強化 |
| 薬物療法 | NSAIDs(消炎鎮痛薬)の経口または外用(湿布・塗り薬) |
| 装具療法 | スプリント(固定具)による関節負担の軽減と疼痛緩和 |
STEP 3:拡散型体外衝撃波療法(保存療法で改善不十分な場合)
湿布・薬・装具・運動療法を続けても痛みが改善しない場合、
拡散型体外衝撃波療法を選択肢としてご提案します。
体外衝撃波療法とは
体外から患部に衝撃波(圧力波)を照射することで、
痛みの軽減と組織の修復を促す非侵襲的な治療法です。
針を刺したり、皮膚を切ったりすることはありません。
当院では STORZ社製 体外衝撃波治療器 MASTERPULS を使用しています。
作用のメカニズム
| 作用 | 内容 |
|---|---|
| 除痛効果 | 痛みを伝える神経への作用・疼痛伝達物質(CGRPなど)の産生抑制 |
| 抗炎症作用 | 滑膜炎の鎮静化・炎症性サイトカインの産生抑制 |
| 組織修復促進 | 血管新生・血流改善・コラーゲン産生促進 |
治療の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 治療時間 | 1回 約2〜3分 |
| 治療頻度 | 週1回を目安に、通常1〜2回(症状に応じて医師が判断) |
| 入院の必要 | なし(外来・日帰りで実施) |
| 費用 | 自由診療(詳細は受診時にご確認ください) |
エビデンス
体外衝撃波療法は変形性関節症に対して複数の研究で疼痛改善・機能改善の効果が報告されています
(Zhao Z, et al. Biomed Res Int. 2020)。
親指の付け根(CM関節)の変形性関節症に対する症例報告もあり、
ヘバーデン結節(DIP関節の変形性関節症)への応用として同様の機序で効果が期待できます。
⚠️ ヘバーデン結節に対する拡散型体外衝撃波の大規模な臨床研究はまだ限られており、 効果には個人差があります。
体外衝撃波が受けられない方(禁忌)
以下に該当する方は治療を受けられません。受診時に必ず医師にお伝えください。
- 悪性腫瘍がある方
- 妊娠中の方
- 重篤な心疾患・ペースメーカー使用中の方
- 血液疾患・凝固障害のある方(抗凝固薬服用中を含む)
- 重症の骨粗鬆症がある方
- 関節が赤く腫れて熱を持っている急性期の方
主な副作用
- 治療部位の一時的な痛み・腫脹・発赤・点状出血(通常2〜5日で改善)
- 治療直後の一時的な痛みの増強
セルフチェックリスト
以下の項目に複数当てはまる場合は、早めにご受診ください。
- 指の第一関節(指先から一つ目の関節)が腫れている
- 指先でつまむ動作が痛い・力が入らない
- 関節にコブのようなものがある
- 朝、指がこわばる
- 「経過観察」と言われたが症状が続いている
- 湿布・痛み止めで改善が不十分
- 注射は避けたいが、痛みを和らげたい
- 関節リウマチを疑われたことがある
関連記事
参考文献
- 日本整形外科学会「症状・病気をしらべる ヘバーデン結節」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/heberden_nodes.html - 日本手外科学会「DIP関節炎(ヘバーデン結節・ブシャール結節)」
https://www.jssh.or.jp/patient/disease/finger/dip.html - 日本運動器SHOCK WAVE研究会. 体外衝撃波治療ガイドライン. 改訂第3版. 2023.
- Haugen IK, et al. 2023 EULAR classification criteria for hand osteoarthritis.
Ann Rheum Dis. 2024. doi:10.1136/ard-2023-225073 - Zhang W, et al. EULAR evidence-based recommendations for the diagnosis of hand osteoarthritis.
Ann Rheum Dis. 2009;68(1):8-17. - Zhao Z, et al. Extracorporeal Shock Wave Therapy for the Treatment of Osteoarthritis:
A Systematic Review and Meta-Analysis. Biomed Res Int. 2020. - Liao CD, et al. Efficacy of extracorporeal shock wave therapy for knee tendinopathies
and other soft tissue disorders: a meta-analysis of randomized controlled trials.
BMC Musculoskeletal Disorders. 2018;19:278. - 河村廣幸ら. 内科医が知っておきたい高齢者の整形外科疾患.
日本内科学会雑誌 106(10), 2161-2170, 2017.
本コラムは最新の医学的エビデンスに基づく情報提供を目的としており、 個別の診断・治療方針は必ず担当医とご相談ください。
監修:臼井俊方
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)