コラム
Column
台風が来ると古傷や膝が痛むのはなぜ?シニアの天気痛との付き合い方
この記事でわかること
- 台風の前に古傷や膝が痛むのは気のせいではないと考えられている理由
- 痛む日をやり過ごす工夫と、痛みが出にくい体をつくる考え方
- 「天気のせい」で片付けてはいけない受診のサイン
「台風の予報が出ると、昔骨折した手首がうずく」「雨の前の日は決まって膝が重い」。天王寺区の当院でも、台風シーズンになると60代・70代の方からこうしたお話をよくうかがいます。家族に話しても「気のせいでは」と流されてしまう、という方も少なくありません。この記事では、古傷と天気の関係と、上手な付き合い方をまとめます。

台風の前に古傷が痛むのは気のせい?
気のせいではない、と考えられています。気圧や湿度の変化と関節の痛みについては、海外の研究のまとめでも関連が報告されました(Wang, 2023)。ヨーロッパの高齢の変形性関節症の方を対象にした調査で示されたのも、湿度と関節痛の関連(Timmermans, 2015)。仕組みとしては、耳の奥(内耳)が気圧の変化を感知し、自律神経が乱れて痛みを感じやすくなるという説が有力です(Sato, 2019)。
もうひとつ見逃せないのが、古傷そのものの状態です。骨折や手術のあとの傷あと組織(瘢痕)や、筋肉・筋膜の癒着が痛みの発生源になっていることがあります。「天気で痛む」の裏に、体の側の理由が隠れている場合があるのです。

痛む日をやり過ごす工夫と、根本の対策は?
短期の工夫と、長期の体づくりの2本立てで考えます。天気が崩れる日の工夫としては、次のようなものが勧められています。
- 湯船にゆっくり浸かって体を温める
- 耳のまわりを軽くつまんで回す・温める
- 天気予報で崩れる日を把握し、遠出や力仕事を無理に入れない
- いつ・どんな天気で・どこが痛んだかをメモしておく(受診時の手がかりになります)
長い目で効いてくるのが、筋力・関節の動き・血流の底上げです。天気は変えられませんが、痛みを受け止める体の側の余力は育てられます。無理のない範囲の運動を続けることが、天気に振り回されない一番の近道です。
「天気のせい」で片付けてはいけないサイン
- 関節が腫れている・熱を持っている・水がたまっている感じがする
- 天気に関係なく、夜間や安静時にも痛む
- 正座や階段の上り下りが、以前よりつらくなってきている
変形性膝関節症などの進行や炎症が隠れていることがあります。早めにご相談ください。
当院での治療について
大切なのは、「天気による一過性の痛み」と「進行している関節の変化」を見分けることです。当院では、医師と理学療法士がともにエコー(超音波)で関節や古傷まわりの状態を確認。水のたまりや炎症が「見える」ため、天気痛として付き合うのか、治療すべき変化なのかを分けて判断できます。所見を共有することで、診察室とリハビリ室で方針のずれが生じにくい体制。古傷の瘢痕や筋膜の癒着が原因になっている場合は、エコーで確認しながらハイドロリリースを行うこともあります。生理食塩水などを注射し、癒着をはがすことを目的とした治療です。
担当の理学療法士はこう話します。「『天気のせいだから』とやり過ごすだけでは、もったいないと感じています。筋力と関節の動きを整えて、雨の日にも振り回されにくい体を一緒につくっていく。体の側にできることは、思っている以上に多いんです」
全ての治療の根底にあるものは、理学療法士によるリハビリテーションを基にした運動療法です。変形性ひざ関節症の解説ページもご覧ください。

「年のせい」「天気のせい」と、二重に諦めないでほしいのです。筋力や動き方は何歳からでも変えられます。台風の季節を少しでも楽に過ごせるよう、一緒に取り組みましょう。
よくある質問
天気痛に効く薬はありますか?
「天気痛専用の薬」があるわけではなく、痛みの背景にある状態に応じた治療を行います。市販の痛み止めを使う場合は用法・用量の範囲で。頻繁に必要になるようなら、一度ご相談ください。
古傷の痛みとは、一生付き合うしかないのでしょうか?
そうとは限りません。傷あと組織の癒着や、周囲の筋力低下が痛みに関わっている場合は、リハビリテーションやハイドロリリースで変わる余地があります。まずはエコーで状態を確認することから始めます。
雨の日の膝の痛みは、運動を休んだほうがいいですか?
痛みが強い日に無理をする必要はありませんが、動かさない日が続くとかえって痛みやすい体になります。屋内でできる軽い体操に切り替えるなど、「ゼロにしない」工夫がおすすめです。無理のない範囲で行ってください。
まとめ
台風の前に古傷や膝が痛むのは、気のせいではないと考えられています。温める・予定を調整するなどの工夫でやり過ごしつつ、長い目では筋力と関節の動きの底上げを。腫れや夜間の痛みを伴うときは、天気のせいと決めつけず受診してください。天王寺区・桃谷駅近くの桃谷うすい整形外科は、エコーによる確認とリハビリで、台風の季節も安心して過ごせる体づくりをお手伝いします。
参考文献
- Wang L, et al. Associations between weather conditions and osteoarthritis pain: a systematic review and meta-analysis. Ann Med. 2023;55(1):2196439.
- Timmermans EJ, et al. The Influence of Weather Conditions on Joint Pain in Older People with Osteoarthritis. J Rheumatol. 2015;42(10):1885-1892.
- Sato J, et al. Lowering barometric pressure induces neuronal activation in the superior vestibular nucleus in mice. PLoS One. 2019;14(1):e0211297.
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状には個人差があります。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)
記事監修:臼井俊方
一覧に戻る