コラム
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足底腱膜炎の治療、エコーガイド下注射で痛みを正確に治す〜治療編〜
こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「注射は怖い」「針が正確に入っているか不安」そんな思いを抱えながら、足底腱膜炎の治療を受けていませんか?従来の注射治療は、医師の経験と感覚に頼る部分が大きく、「本当に正しい場所に薬が届いているのか」患者様にはわかりませんでした。しかし、超音波(エコー)を使えば、針先がどこにあるか、薬剤がどこに広がっているかを、リアルタイムで「見ながら」治療できます。今回は、当院で実際に行っているエコーガイド下注射の治療過程をご紹介します。
エコーガイド下注射の3つの強みと治療の流れ
従来の注射治療の課題
従来、足底腱膜炎への注射は、医師が触診で「この辺りが痛みの中心だろう」と判断し、皮膚の外から針を刺していました。
しかし、針先が本当に炎症部位に届いているか確認できず、薬剤が目的の場所に広がっているか分からず、神経や血管を避けられているか不確実でした。注射の瞬間に電気が走るような痛みを感じる場合、針が神経に触れた可能性があります。
エコーガイド下注射の3つの強み
エコーガイド下注射は、従来の方法とは根本的に異なります。
1. 針先の位置をリアルタイムで確認
モニター画面に映し出されるエコー画像で、針先が炎症部位に正確に到達しているかを確認しながら進めます。
2. 薬剤の広がりを可視化
注入した薬剤が、目的の部位に広がっていく様子もリアルタイムで確認できます。
3. 神経・血管を避けて安全に
神経や血管の位置を事前に確認し、それらを避けながら針を進めるため、痛みや合併症のリスクが大幅に低減します。
治療の流れ
STEP1:治療前のエコー評価
まず、エコーで足底腱膜の状態を詳しく観察します。
確認すること:
- 炎症の中心部位(最も厚く、黒っぽく映る部分)
- 周辺の神経の位置(特に外側足底神経)
- 血管の位置
- かかとの骨の形状
この情報をもとに、最も安全で効果的な針の進入ルートを決定します。
STEP2:針の刺入と薬剤の注入
エコーで見ながら、慎重に針を進めます。エコー画面で針先の位置を確認しながら、神経・血管を避けながら、炎症部位に到達します。患者様もモニターを見ることができ、「今、針がどこにあるのか」をリアルタイムで確認できます。
針先が炎症部位に到達したら、以下の薬剤を注入します:
- 局所麻酔薬(リドカイン):即効性の痛み軽減
- 少量のステロイド(トリアムシノロン):炎症を抑える
- 生理食塩水:薬剤を広げる
注入すると、薬剤が黒い液体としてエコー画面に映り、この黒い液体が、炎症部位を包み込むように広がっていく様子が、リアルタイムで確認できます。
治療効果の確認
治療直後から、局所麻酔の効果で、すぐに痛みが軽減します。
治療から1週間後、再びエコーで評価すると、以下の改善が確認できます:
- 足底腱膜の厚さ:7mm → 5mm(改善)
- エコー輝度:黒っぽい部分(炎症)が減少
- 周辺の液体貯留:消失
エコー画像で、治療効果が「見える形」で確認できます。
注射後のリハビリと再発予防
注射で炎症を抑えても、根本原因(ふくらはぎの硬さ、足底内在筋の弱さ、シューズの問題)が残っていると、再発します。
当院では、エコーガイド下注射とリハビリの組み合わせで、最も高い治療効果を実現しています。
治療プラン
STEP1:エコーガイド下注射(医師)
- エコーで炎症部位を正確に特定
- 針先と薬剤の広がりをリアルタイムで確認しながら注射
- 治療中も画面を一緒に見ながら、安心して受けていただけます
STEP2:リハビリ(理学療法士)
- ふくらはぎのストレッチ
- 足底内在筋の筋力トレーニング
- インソールでアーチサポート
- エコーで筋肉の動きを確認しながら、最適なリハビリを行います
STEP3:段階的な復帰
- ウォーキング → ジョグ → ランニング
- 復帰後も月1回、エコーで足底腱膜の状態をチェックし、再発の兆候がないかを確認します
当院のチームアプローチ:治療からリハビリまで一貫サポート
セルフケアで改善しない場合、原因を正確に特定し、一人ひとりに合った治療計画を立てることが重要です。当院では、医師と理学療法士が連携し、超音波(エコー)を用いて一貫したサポートを提供します。
- STEP1:医師による「見える」治療 – エコーで炎症部位を正確に特定し、針先と薬剤の広がりをリアルタイムで確認しながら注射します。治療中も画面を一緒に見ながら、安心して受けていただけます。
- STEP2:理学療法士による「動き」の改善 – 治療後、理学療法士がふくらはぎのストレッチ、足底内在筋のトレーニングを指導します。エコーで筋肉の動きを確認しながら、最適なリハビリを行い、再発を防ぎます。
まとめ
足底腱膜炎への注射治療は、エコーガイド下で行うことで、正確性・安全性・効果が大幅に向上します。針先の位置を見ながら進めるため、炎症部位に確実に薬剤を届けられ、神経・血管を避けられるため、痛みや合併症のリスクが低いです。薬剤が正確に炎症部位に届くため、少量の薬剤で高い効果が期待でき、治療の過程を画面で見られるため、「何をされているのか」が明確で、不安が軽減されます。治療後のリハビリを組み合わせることで、再発予防も可能です。
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参考論文
- McMillan AM, et al. “Ultrasound guided corticosteroid injection for plantar fasciitis: randomised controlled trial”. BMJ. 2012; 344: e3260.
- Tsai WC, et al. “Plantar fasciitis treated with local steroid injection: comparison between sonographic and palpation guidance”. J Clin Ultrasound. 2006; 34(1): 12-16.
- Yucel I, et al. “Comparison of high-dose extracorporeal shockwave therapy and intralesional corticosteroid injection in the treatment of plantar fasciitis”. J Am Podiatr Med Assoc. 2010; 100(2): 105-110.
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JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)