コラム
Column
野球肘はどのくらい休めば投げられる?内側型・外側型で違う復帰の目安
こんにちは、桃谷うすい整形外科です。
この記事でわかること
- 野球肘の投球休止期間が「内側型」と「外側型」で大きく違う理由
- 休んでいる間にできること・段階的に投球を再開する道筋
- 「痛くない=治った」ではない理由と、復帰前に確認すべきこと

「どのくらい休めば、また投げられますか?」——野球肘と診断された中学生とご家族から、診察でもっとも多くいただく質問です。大会やレギュラー争いを控え、一日でも早く復帰したい気持ちはよくわかります。ですが、焦って早く戻すと再発したり、こじらせて長期離脱につながることもあります。この記事では、休む期間の目安と、段階的に戻していく道筋を整理します。
野球肘の復帰までの期間は、痛む場所(内側型か外側型か)と損傷の程度によって大きく異なり、数週間から、外側型の進行例では半年以上に及ぶこともあります。
どのくらい休めば投げられる?内側型と外側型で違います
結論として、復帰までの期間はタイプによって大きく異なります。同じ「肘の痛み」でも、経過はまったく別物と考えてください。
内側型(肘の内側)の場合
もっとも多いタイプで、多くは投球を数週間休むことで痛みが軽快します。ただし、痛みが引いてもすぐ全力投球に戻すのではなく、後述する段階的な再開が重要です。
外側型(肘の外側)の場合
上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎と呼ばれ、注意が必要なタイプです。早期に見つかった安定した病変は保存療法で治る可能性がありますが、経過観察に数ヶ月を要し、進行例では手術が必要になることもあります。
期間に幅があるのは、損傷の程度・発見の時期・年齢によって回復のスピードが違うためです。「隣のチームの子は3週間で戻った」という話がそのまま自分に当てはまるとは限りません。だからこそ、自己判断ではなく画像で状態を確認したうえで復帰時期を決めることが大切です。
休んでいる間、何をすればいい?投球再開の道筋
投球を休む期間は「何もしない時間」ではありません。むしろ、再発を防ぐ体づくりのチャンスです。
① 休止期間中にできること
肘に負担がかからない範囲で、下半身や体幹のトレーニング、肩甲骨の柔軟性を高める運動は続けられることが多いです。走り込みやランニングも、多くの場合は問題ありません。ただし損傷の程度によって制限は変わるため、必ず診察で確認してください。
② 段階的な投球再開(Return to Throwing)
痛みが消えたら、いきなり全力で投げるのではなく、短い距離のキャッチボールから始めます。痛みが出ないことを確認しながら、距離・球数・強度を少しずつ上げていきます。この段階を飛ばすと再発しやすくなります。
③ 投球フォームと球数の見直し
肘に負担のかかるフォームや投げ過ぎが原因のことも多く、復帰後の再発予防には欠かせません。日本臨床スポーツ医学会は、中学生では1日70球・週350球以内を目安とする提言を出しています。

「痛くない=治った」ではありません。エコーで確認する理由
結論からお伝えすると、特に外側型は痛みが軽くても病変が残っていることがあり、痛みの有無だけで復帰を判断するのは危険だからです。
野球選手を対象にした超音波検診の研究では、肘の痛みを自覚していないのに外側型の初期病変が見つかった例が報告されています。「痛くないから大丈夫」と投球を再開してしまうと、気づかないうちに進行させてしまう恐れがあります。
そこで役立つのがエコー(超音波)検査です。被ばくがなく、その場で肘の状態を繰り返し確認できるため、復帰の判断や経過観察に適しています。当院はスポーツ整形外科としてエコーを活用し、レントゲンと組み合わせて状態を見極めています。
桃谷うすい整形外科ではどのような対応が受けられる?
全ての治療の根底にあるものは、理学療法士によるリハビリテーションを基にした運動療法です。
当院の特徴は、医師と理学療法士がともにエコー(超音波)を使って診療にあたる点です。医師は診察をエコーで確認しながら行い、理学療法士もリハビリの中でエコーを使って筋肉や腱の状態を確認します。「どこに負担がかかっているか」を医師とPTが共通の情報として持つことで、診察室とリハビリ室の間に方針のずれが生じにくい体制をとっています。
野球肘のリハビリテーションでは、肘そのものだけでなく、肩甲骨・体幹・下半身の使い方まで含めて投球動作全体を見直します。診療の現場では、「早く投げたい一心で、痛みが引いた翌日に全力投球して再発した」というケースに少なからず出会います。復帰のプロセスを一段一段踏むことが、結果的にもっとも早い完全復帰につながると考えています。担当の理学療法士はこう話します。「どこに負担がかかっているかを画面で一緒に確認しながら進めると、なぜこの運動が必要なのかが伝わりやすくなります。納得して取り組んでもらえると、回復のスピードも変わってくると感じています」

「早く投げたい」という気持ちは痛いほどわかります。だからこそ、遠回りに見えても段階を踏んでほしいのです。焦って再発するより、確実に戻る方が結局は早い。一緒に復帰までの道のりを考えさせてください。
天王寺区・桃谷駅周辺で、野球肘からの復帰にお悩みの中学生・ご家族は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
おすすめしません。短い距離のキャッチボールから始め、痛みが出ないことを確認しながら距離・球数を段階的に増やしてください。この過程を飛ばすと再発のリスクが高まります。
肘に負担がかからない下半身・体幹のトレーニングは続けられることが多いです。ただし損傷の程度により制限は異なりますので、診察で個別に確認したうえで行ってください。
投球数が減れば負担は軽くなりますが、痛みがある時期は投球そのものを控えることが基本です。ポジション変更を含めた対応は、状態を確認したうえでご相談ください。
痛みの消失に加えて、可動域の回復、画像での治癒の確認、段階的投球で痛みが出ないことなどを総合して判断します。痛みの有無だけでは決めません。
まとめ
野球肘の復帰までの期間は、内側型なら数週間、外側型の進行例では半年以上と、タイプと程度によって大きく異なります。休止期間は下半身・体幹づくりのチャンスと捉え、投球はキャッチボールから段階的に再開することが再発予防の鍵です。「痛くない=治った」ではありません。エコーなどで状態を確認しながら、確実な完全復帰を目指しましょう。それが、大好きな野球を長く続けるための一番の近道です。
参考文献
- Maruyama M, Takahara M, Satake H. Diagnosis and treatment of osteochondritis dissecans of the humeral capitellum. J Orthop Sci. 2017;23(2):213-219. https://doi.org/10.1016/j.jos.2017.11.013
- Matsuura T, et al. Limiting the Pitch Count in Youth Baseball Pitchers Decreases Elbow Pain. Orthop J Sports Med. 2021;9(3):2325967121989108. https://doi.org/10.1177/2325967121989108
- 日本臨床スポーツ医学会 学術委員会整形外科部会「青少年の野球障害に対する提言」. 中学生の投球数の目安(1日70球・週350球以内). https://www.rinspo.jp/
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状には個人差があります。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)
記事監修:臼井俊方
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