コラム
Column
足首をグキッ!捻挫の悩みを解決して、アクティブに過ごしましょう!
こんにちは!桃谷うすい整形外科 理学療法士の瀬尾です。
この夏は、パリオリンピックや高校野球などで大きく盛り上がっていると思います。
そのため、今回は、スポーツとの関連が強い【捻挫(ねんざ)】についてお話しさせていただこうと思います。
捻挫は、約80%の人が生涯のうちに経験するといわれています。
特にスポーツをされていた方であれば、一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
そんな身近な捻挫ですが、私の肌感では、まだまだ「たかが捻挫」と軽視されている傾向があると感じることがあります。
捻挫は、不完全な回復状態であれば、痛みが残ったり、足首の不安定感が残ったりと後遺症が残りやすいため、しっかりとケアをすることが必要だといわれています。
そのため、【捻挫】に対しての理解を深めていただき、今回は、特に捻挫予防や捻挫後のストレッチついてお話しさせていただこうと思います。
こんな経験はありませんか?
- 足首を捻ってしまい、歩いたり走ったりするのが痛い
- 足首が腫れて、熱を持っている
- 以前捻挫したことがある足首を、また捻ってしまった
捻挫とは?
図:足関節が底屈・内旋。 内返しする事で足関節捻挫を受傷する様子
そもそも捻挫とは、足関節を構成する靭帯が損傷することで起こるケガです。靭帯は、骨と骨をつなぎ、関節を支える役割をしています。
捻挫の症状
出典:片倉 麻衣ら:足関節捻挫 整形外科看護 Vol.23 No.11, 2018
捻挫の主な症状は以下の通りです。
- 痛み: 足首に痛みを感じます。
- 腫れ: 足首が腫れます。
- 熱感: 足首が熱くなります。
- 内出血: 足首に内出血が見られます。
- 動きの制限: 足首の動きが制限されます。
捻挫に対する治療
捻挫をしてしまった場合は、以下の処置を速やかに実行することが大切です。
POLICE処置 (医療機関への受診までの対応)
- Protection(保護): 患部を保護するために、テーピングや装具などで固定します。
- Optimal Loading: 患部の状態に合わせて、適切な運動を行います。
- Ice (冷却): 炎症や腫れを抑えるために、患部を冷やします。
- Compression (圧迫): 患部を包帯などで圧迫することで、腫れを抑えます。
- Elevation (挙上): 患部を心臓よりも高い位置に挙上することで、腫れを抑えます。
POLICE処置は、従来から実施されているPRICE処置より、効果があり回復が早いといわれています。
その他、医療機関では状態に合わせて以下のような対応を実施します
- 関節可動域の拡大
- 筋力強化訓練
- バランス訓練(神経筋制御)
- テーピングやサポーター
捻挫をしてしまった場合、できるだけ早く医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
ストレッチの効果・方法
捻挫を予防するには、足首周りの筋肉を柔らかくすることが大切です。
ストレッチを行うことで、以下の効果が期待できます。
- 足首周りの筋肉を柔らかくし、可動域を広げる
- 血流を改善し、疲労回復を促進する
- 捻挫の予防効果
- 運動能力の向上
以下、効果的なストレッチの種類をご紹介します。
近年、再受傷予防や慢性足関節不安定症(CAI)の予防のためには足関節の背屈(足首を上に曲げる)可動域の拡大(改善)が必要であるといわれています。
足首の回し運動足首の屈伸運動(底背屈)
足首を上下に動かします。
※ポイント※
足首を上下に動かすときに、できるだけつま先が左右に動かさず、真っ直ぐおこなうことがポイントです。
※ポイント※
つま先の向きはある程度、真っ直ぐにしておこなうことで、より伸びる感じを感じることができます。
それぞれのストレッチは、ゆっくりと息を吐きながら、痛みを感じない程度に行います。1回20〜30秒程度伸ばし、左右とも2~3回繰り返しましょう。足首を曲げていくときに、足首の前に痛みが出てくる場合は、無理に行わず、痛みが出ない範囲でおこなってください。
!注意点!
捻挫予防のストレッチは、状態に合わせながら実施していく必要があります。
そのため、受傷後の方は、医療機関に受診し、医師に指示を受けてから実施してください。
スポーツ選手のための捻挫予防策
スポーツ選手にとって、捻挫はパフォーマンスの低下や競技への出場機会の損失につながる可能性があります。そのため、スポーツ選手は、一般の人よりもさらに徹底した捻挫予防策を講じる必要があります。
- ウォーミングアップとクールダウンを徹底する
運動前には必ずウォーミングアップを行い、運動後はクールダウンを行うことで、筋肉の柔軟性を高め、ケガを防ぐことができます。 - 自分に合ったシューズを履く
スポーツごとに適切なシューズを着用することで、足首への負担を軽減することができます。 - トレーニングで足首周りや他部位の筋力を鍛える
足首周りの筋力や他の部位の筋力を鍛えることで、関節の安定性を高め、捻挫を防ぐことができます。 - テーピングやサポーターを活用する
特に過去の捻挫経験がある場合は、テーピングやサポーターを活用することで、再発を防ぐことができます。 - 体の状態に気を配る
疲労や体調不良の時は、無理せず休息を取ることで、ケガのリスクを減らすことができます。
まとめ
今回は、【捻挫】について書かせていただきました。運動の前後や日頃からストレッチなどの対処法を実施してもらうことで予防の効果が期待できます。
ストレッチ以外にも、筋力やバランス能力等も大事になってきます。その中でも、ストレッチは早期から改善が必要になる要素であるため、捻挫受傷後の方達は医師や理学療法士の指示のもと、実施していきましょう。
ストレッチは、体の柔軟性を高め、怪我のリスクを軽減する効果があります。また、毎日続けることで、健康的な生活を送ることができます。ぜひ、これらのストレッチを参考に、捻挫の予防をしてみてください。また、捻挫を受傷した際には、医療機関に受診、医師による診察が大切になってきます。これを機会に【捻挫】に対する考え方を変えていきましょう。
専門家による指導を受けたい方は、当クリニックにご相談ください。
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
▼捻挫についてこちらのページもご覧ください
参考文献
・Turkish journal of trauma & emergency surgery : TJTES vol. 29,8 (2023): 920-928.
・Smith RW, Reischl SF. Treatment of ankle sprains in young athletes. Am J Sports Med. (1986) 14:465–71.
・Holmer P, Sondergaard L, Konradsen L, Nielsen PT, Jorgensen LN. Epidemiology of sprains in the lateral ankle and foot. Foot Ankle Int. (1994) 15:72–4.
・van der Wees PJ, Lenssen AF, Hendriks EJ, Stomp DJ, Dekker J, de Bie RA. Effectiveness of exercise therapy and manual mobilisation in ankle sprain and functional instability: a systematic review. Aust J Physiother. (2006) 52:27–37.
・片倉 麻衣ら:足関節捻挫 整形外科看護 Vol.23 No.11, 2018.
このコラムを書いた人
瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)