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コラム

Column

2025年2月3日

膝の裏が痛い!それはベーカー嚢腫が問題を起こしている可能性があります

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!

膝の裏に違和感や痛みを感じることはありませんか?
変形性膝関節症前十字靭帯損傷半月板損傷などで膝の不調を抱えている方の中には、ベーカー嚢腫(Baker’s cyst)と呼ばれる状態が症状悪化の原因となっているケースがあります。
今回は、ベーカー嚢腫とは何か、その嚢腫がどのような作用を持ち、なぜ痛みを引き起こすのかをまとめてみました。膝の裏側に違和感がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

ベーカー嚢腫

ベーカー嚢腫とは?

ベーカー嚢腫は、膝関節の後方、いわゆる膝裏に生じる嚢腫(のうしゅ)です。

  • 膝関節からの関節液が溜まる
    膝関節内部の滑液(関節液)が何らかの理由で膝裏の滑膜嚢にたまり、ふくらむことで「しこり」のように触れたり、膝を曲げにくく感じたりします。
  • 半月板損傷・変形性膝関節症などと併発しやすい
    ベーカー嚢腫自体が単独で発生することもありますが、多くは膝の病変(例:変形性膝関節症や半月板損傷、前十字靭帯損傷など)に伴い、過剰な関節液が産生されることで出現しやすくなります。

ベーカー嚢腫はどのような作用があるのか?

関節液の”逃げ場”として機能


変形性膝関節症などにより膝関節内の圧が高まると、関節液が余分に産生されます。その一部が後方へ押し出され、ベーカー嚢腫内にたまります。いわば関節液の逃げ場のような役割を果たしているのです。

一時的なクッション効果


嚢腫内に溜まった液が圧力を受け止めることで、膝裏への衝撃をある程度吸収する場合もあります。しかし、本来の膝関節の機能をサポートするほどの強いクッション効果はなく、むしろ過度に膨らむと痛みの原因となります。

なぜベーカー嚢腫があると痛みを出すのか?

内部の圧力上昇による疼痛


ベーカー嚢腫が大きくなると、中に溜まった関節液による圧力が膝裏の神経や血管を圧迫します。これによって膝の裏側に鈍い痛みや突っ張るような感覚が生じ、酷い場合にはふくらはぎまでしびれが出ることもあります。

可動域の制限と炎症


膝裏に嚢腫があると、膝を強く曲げたり伸ばしたりしたときに引っかかるような違和感が起こることがあります。とくに深く曲げる動作で痛みを感じやすく、無理に動かすと炎症が起こりやすくなるため、慢性的に痛みが続く原因となります。

膝の基礎疾患の影響


多くの場合、ベーカー嚢腫は何らかの膝の問題を背景に発生しています。たとえば、半月板損傷や変形性膝関節症、前十字靭帯損傷があると、関節内の炎症や水(滑液)の増加が進み、嚢腫も大きくなりやすいのです。基礎疾患が悪化すると嚢腫も増大し、痛みが強くなるケースが少なくありません。

まとめ

「膝の裏が痛い」という場合、ベーカー嚢腫が原因である可能性を見逃せません。膝裏にできた嚢腫は、過剰な関節液を溜め込むことで膝裏を圧迫し、痛みやしこり感、動かしづらさをもたらします。また、変形性膝関節症、半月板損傷、前十字靭帯損傷などの膝のトラブルがある場合、ベーカー嚢腫が併発していることも多いのです。もし「膝裏の痛みが続く」「しこりのようなものがある」と感じたら、早めに整形外科など専門医を受診し、適切な検査と治療を受けることをおすすめします。場合によっては、嚢腫内の液を抜く処置や、原因となっている半月板損傷などへの対応が必要になることもあります。ベーカー嚢腫は放っておくと大きくなることがあり、痛みの悪化や二次的なトラブルを招くリスクも高まります。違和感を抱えたままにせず、早期発見・早期治療で膝の健康をキープしていきましょう。

参考論文

  1. Fok MWM, Yau WP. Arthroscopic management of Baker’s cyst: A systematic review. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2015;23(9):3037–3042.
  2. Sansone V, de Ponti A. Popliteal cysts and associated disorders of the knee. Joints. 2016;4(3):129–131.
  3. Rauschning W. Popliteal cysts (Baker’s cysts) in adults: I. Clinical and roentgenographic study. Acta Orthop Scand. 1979;50(5):583–591.
  4. Vizitiu MA, Muntean M, Sgârciu C, Toma C. Popliteal cyst (Baker’s cyst) in patients with knee pathology—a retrospective study. J Mind Med Sci. 2018;5(2):246–252.

JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。

このコラムを書いた人

理学療法士
瀬尾 真矢

患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

得意分野

変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)

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