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前十字靭帯損傷

前十字靭帯損傷

前十字靭帯損傷とは

膝関節は主に前十字靭帯・後十字靭帯・内側側副靱帯・外側側副靭帯の4本の靭帯で安定性を保っており、特に前十字靭帯は脛骨の前方移動や回旋を制御する働きがあります。
前十字靭帯損傷とは、その名の通り、前十字靭帯が断裂することを呼びます。
女性が男性に比べて2-3倍多いと言われています。

膝関節の正面像と断面図

図:膝関節の正面像と断面図
出典:岡村 建祐ら : 前十字靭帯損傷   整形外科看護 Vol.27 No.11, 2022.

前十字靭帯損傷の原因

前十字靭帯損傷はスポーツ障害の中でも頻度が高く、特にジャンプ着地、方向転換・急停止の際に膝を捻って受傷することが多く、他にもタックルを受けた際や交通事故などでも損傷することがあります。

前十字靭帯損傷の症状

損傷すると、すぐに痛みと膝関節内の出血による腫れのためスポーツへ復帰できなくなります。その後は膝が不安定になるため、膝が抜けるような感覚(膝崩れ)や捻挫の再発が軽い運動や日常生活でも起こるようになり、それがさらに二次的な半月板損傷や軟骨損傷を引き起こすようになります。

前十字靭帯損傷 正常(a)→受傷時(b)

図:前十字靭帯損傷 正常(a)→受傷時(b)
出典:岡村 建祐ら : 前十字靭帯損傷   整形外科看護 Vol.27 No.11, 2022.

前十字靭帯損傷の検査

受傷機転の聴取(どのような肢位であったか、pop音や膝の脱臼感など)や徒手検査、単純レントゲン検査、MRI検査を用いて行います。

徒手検査は前方引き出しテストやラックマンテスト(図)で脛骨の前方不安定性を、ピポットシフトテストで回旋不安定性を評価します。

ラックマンテスト(膝屈曲20-30度で脛骨を前方に引き出す)

図:ラックマンテスト(膝屈曲20-30度で脛骨を前方に引き出す)
出典:藤沢 隆弘ら : 前十字靭帯損傷   整形外科看護 Vol.26 No.4, 2021.

単純レントゲン検査ではSegond骨折や靭帯付着部での剥離骨折の有無をチェックします。
MRIでは靭帯損傷の他に半月板、軟骨損傷や骨挫傷などの合併損傷も評価します。

正常な前十字靭帯/損傷した前十字靭帯

図:正常な前十字靭帯/損傷した前十字靭帯
出典:藤沢 隆弘ら : 前十字靭帯損傷   整形外科看護 Vol.26 No.4, 2021.

前十字靭帯損傷の治療

受傷後急性期には歩行が困難なことも多く、初診時には膝関節内血腫の穿刺吸引を行います。膝関節装具による固定と松葉杖での免荷歩行を開始し、その後痛みに応じたリハビリを開始します。
前十字靭帯は自然治癒が難しく、保存治療による膝の機能の完全な回復は期待できません。
そのため、中高年の患者さんで活動性が低い場合は保存治療を選択されることもありますが、基本的に関節鏡視下での靭帯再建手術を選択します。また、半月板損傷を合併している場合は半月板縫合術も追加します。

参考文献

岡村 建祐ら : 前十字靭帯損傷   整形外科看護 Vol.27 No.11, 2022.
藤沢 隆弘ら : 前十字靭帯損傷   整形外科看護 Vol.26 No.4, 2021.
井樋 栄二ほか:標準整形外科学.第 14 版.東京,医学書院,2020,194‒5,612‒4,629‒34.

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