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コラム

Column

2025年11月4日

更年期からの『足の変形』~外反母趾・扁平足が急に進む理由と整形外科的対策~

こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!

「最近、昔からあった外反母趾の角度が急にひどくなった気がする…」
「ヒールを履かなくなったのに、足の裏や踵が痛むようになった」
「足の形が崩れて、合う靴がなかなか見つからない」

40代、50代を迎え、このような足のトラブルが急に深刻化したと感じていませんか?
それは単なる年齢のせいだけではなく、更年期・閉経に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の減少が、足の構造そのものを弱くしているサインかもしれません。

この記事では、なぜ更年期に足の変形が進行しやすくなるのか、その医学的根拠と、女性に多い代表的な足の疾患、そして整形外科でできる専門的な対策について詳しく解説します。

なぜ更年期に足のトラブルが急増?エストロゲン減少が招く「負の連鎖」

足は、28個の骨が精巧に組み合わさり、それらが強靭な靭帯(じんたい)腱(けん)によって支えられることで、複雑なアーチ構造を形成しています。このアーチが、体重を支え、歩行時の衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。

靭帯や腱の主成分はコラーゲンですが、女性ホルモンであるエストロゲンは、このコラーゲンの生成を促し、組織のしなやかさと強度を保つために不可欠な役割を担っています。

しかし、更年期を迎えエストロゲンが急激に減少すると、コラーゲンの質と量が低下し、足の靭帯や腱が緩みやすくなります。これにより、足の骨格を支える力が弱まり、これまで保たれていた足のアーチ構造が崩れやすくなるのです。これが、様々な足の変形が一気に進行する「負の連鎖」の始まりです。

あなたの足はどれ?女性に多い3つの足の疾患

エストロゲンの減少によって引き起こされる、代表的な3つの足の疾患をご紹介します。これらは単独で起こることもあれば、互いに関連し合って症状を悪化させることもあります。

1. 外反母趾(がいはんぼし)

足の靭帯が緩むことで、足の横幅が広がる「開張足(かいちょうそく)」という状態になります。その結果、親指の付け根の関節が「く」の字に曲がり、痛みや腫れを引き起こします。若い頃から軽度の外反母趾があった方も、更年期に靭帯が緩むことで、変形が急激に進行することがあります。

外反母趾

2. 成人期扁平足(せいじんきへんぺいそく)

足のアーチを吊り上げている最も重要な「後脛骨筋腱」が、ホルモンの影響で弱くなり、伸びてしまうことで発生します。土踏まずが潰れ、足の内側のくるぶし下が腫れて痛むのが特徴です。扁平足が進行すると、足が疲れやすいだけでなく、膝痛や腰痛の原因にもなります。

扁平足

3. 足底筋膜炎(そくていきんまくえん)

成人期扁平足によってアーチが低下すると、足の裏で弓のように張っている「足底筋膜」が過剰に引き伸ばされ、炎症を起こします。特に「朝、起きて最初の一歩が激しく痛む」というのが典型的な症状です。

足底腱膜炎

これら3つは連動しており、例えば「成人期扁平足でアーチが崩れると、親指への負担が増して「外反母趾」が悪化し、同時に足底筋膜が引っ張られて足底筋膜炎を発症する、というケースは非常に多く見られます。

「もう治らない」と諦める前に。整形外科でできること

「足の変形は治らない」と諦めてしまう方も多いですが、整形外科、特に「足の外科」を専門とする医師は、これらの症状を改善するための様々な手段を持っています。

1.まずは正確な診断から

問診や触診に加え、専門的な検査で足の状態を正確に把握します。

  • レントゲン: 骨の変形の角度や、関節の状態を評価します。
  • 超音波(エコー): 腱や靭帯、筋膜の炎症や損傷の度合いをリアルタイムで観察できます。
  • MRI: より詳細な軟部組織(腱、靭帯など)の状態を評価するために用いられます。

2.治療の基本は「保存療法」

診断に基づき、まずは手術以外の方法で痛みを取り、変形の進行を食い止めます。

  • インソール(足底板)療法: お客様の足に合わせて作成した医療用インソールは、崩れたアーチを的確にサポートし、痛みを劇的に改善させます。外反母趾、扁平足、足底筋膜炎のいずれにおいても非常に効果的な治療の柱です。
  • 理学療法: 専門の理学療法士が、弱った筋肉を鍛える運動(後脛骨筋トレーニングなど)や、硬くなった筋肉・腱を伸ばすストレッチ(アキレス腱ストレッチなど)を指導し、足の機能を根本から改善します。
  • 装具・テーピング: 症状に応じて、足首を安定させるサポーターや、痛みを和らげるテーピングなども有効です。

3.手術が必要なケースとは?

これらの保存療法を数ヶ月続けても痛みが改善せず、日常生活に大きな支障が出ている場合には、手術が検討されます。近年では、小さな傷で済む「低侵襲手術(MIPO手術など)」も発展しており、患者様の負担を最小限に抑えながら、変形を矯正することが可能になってきています。

まとめ:足の変化は体のサイン。専門家と一緒に未来の足を守りましょう

更年期に始まる足の痛みや変形は、女性ホルモンの減少という、体からの重要なサインです。それを「年のせい」と見過ごしてしまうと、症状は徐々に進行し、将来的に歩くことさえ困難になる可能性も否定できません。

しかし、正しい知識を持ち、適切なタイミングで専門家の助けを借りれば、その進行を食い止め、痛みと上手に付き合っていくことは十分に可能です。足のトラブルは、あなたの生活の質(QOL)に直結する大切な問題です。一人で悩まず、ぜひ一度、お気軽に整形外科にご相談ください。

参考論文

  • Hansen M, Kongsgaard M, Holm L, et al. Effect of estrogen on tendon collagen synthesis, tendon structural characteristics, and biomechanical properties in postmenopausal women. Journal of Applied Physiology 2009;106(4):1385-1393.
  • Flores DV, Mejía Gómez C, Fernández Hernando M, et al. Adult acquired flatfoot deformity: anatomy, biomechanics, staging, and imaging findings. RadioGraphics 2019;39(5):1437-1460.
  • Henry JK, Shakked R, Ellis SJ. Adult-acquired flatfoot deformity. Foot & Ankle Orthopaedics 2019;4(1):2473011418820847.
  • Cai Y, Song Y, He M, et al. Global prevalence and incidence of hallux valgus: a systematic review and meta-analysis. Journal of Foot and Ankle Research 2023;16:66.
  • Bupra PS, Keighley G, Rateesh S, et al. Posterior Tibial Tendon Dysfunction: An Overlooked Cause of Foot Deformity. Journal of Family Medicine and Primary Care 2015;4(1):26-29.

JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。

このコラムを書いた人

理学療法士
瀬尾 真矢

患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

得意分野

変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)

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