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コラム

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2025年2月6日

デスクワークの人に急増!?肘外側の痛み~外側上顆炎・伸筋群のオーバーワーク・橈骨神経障害を中心に~

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!

近年、パソコン作業やスマートフォン操作などのデスクワークが増えたことで、肘外側の痛みを訴える方が急増しています。いわゆる「テニス肘」と呼ばれる外側上顆炎や、伸筋群(ECRB・EDC)への過度な負担、さらには橈骨神経の障害など、原因は複数考えられます。今回は、デスクワークでの肘外側部痛の原因、当院における診断・評価方法、そして当院が実施している治療法についてお話しします。

デスクワークでの肘外側部痛の原因

  1. 外側上顆炎(いわゆる「テニス肘」)
    ・主に伸筋群(特にECRB:短橈側手根伸筋)への反復ストレスが原因とされます。
    ・パソコンのマウス操作やキーボード入力で手首を反復的に伸展させる動作が続くと、肘外側の腱付着部に過度な負担がかかり、炎症や微小損傷を引き起こします。
  2. 伸筋群(ECRB・EDC)のオーバーワーク
    ・手首を伸展・指を伸展する筋肉であるECRB(短橈側手根伸筋)やEDC(総指伸筋)に過度な負荷が繰り返されると、腱や筋膜に過緊張や微小断裂が生じやすくなります。
    ・デスクワークによる長時間の同一姿勢や、休憩を挟まない使いすぎが誘因になることが多いです。
  3. 橈骨神経障害
    ・橈骨神経は腕から前腕にかけて走行し、特に後骨間神経(橈骨神経の分枝)が伸筋群の支配を担います。
    ・長時間の不良姿勢や反復動作により、肘周辺で神経が締め付けられる(神経絞扼)場合があります。
    ・神経症状として、痛みだけでなくしびれや筋力低下を伴うケースもあります。

当院での原因の診断・評価方法

  1. 整形外科的テスト
    ・抵抗下手関節背屈テスト(Thomsen test)や中指伸展テストなど、肘外側部にストレスをかける特殊テストを行い、痛みの有無や再現性を確認します。
    ・除外診断として、頸椎由来の痛みや他の神経障害をチェックすることも重要です。
  2. エコー(超音波)を用いた診断・評価
    ・筋・腱の肥厚、腱付着部の変性、橈骨神経周囲の滑走障害などをリアルタイムで観察できます。
    エコーによるドプラ評価を併用することで、炎症部位の血流増加や滑膜炎の有無をより詳細に把握できます。
    ・神経周辺の滑走不良や腱付着部の微小損傷など、MRIより手軽かつ即時的に診断の手がかりを得られるのがメリットです。

当院における治療法

  1. エコーガイド下注射
    ・炎症が強い部分や神経周囲の絞扼が疑われる部位へ、エコーガイド下に局所麻酔薬・消炎鎮痛薬を注射します。
    ・エコー画像を確認しながら行うため、薬液を狙った部分に正確に届けられ、効果を高めつつリスクを最小限に抑えられます。
  2. 理学療法(エコーガイド下)
    ・筋・腱、神経の癒着や滑走不良を改善するためのリハビリテーションを実施します。
    ・エコーで状態を確認しながら、伸筋群のリリースや橈骨神経滑走エクササイズ、肩甲帯のエクササイズなどを組み合わせることが効果的です。
    ・運動療法だけでなく、オーバーワークを防ぐ生活指導やデスク環境の改善を含むアドバイスも行います。
  3. 体外衝撃波(拡散型圧力波)
    ・炎症や損傷が慢性化している場合、体外衝撃波療法を選択肢とすることがあります。
    ・衝撃波を患部に照射し、血流の促進や組織修復の活性化を図ります。
    ・保存療法で改善がみられない慢性期の外側上顆炎や腱障害などに有効であるとの報告があります。

まとめ

デスクワークでの長時間のマウス操作、キーボード入力は肘外側部に大きな負担をかけ、外側上顆炎や伸筋群のオーバーワーク、橈骨神経障害などの原因となりえます。痛みが続く場合は、早期に適切な診断と治療を受けることが重要です。当院では、整形外科的テストに加えてエコー(超音波)を用いた診断・評価を行い、正確な治療方針を立てるよう努めています。さらに、エコーガイド下注射、理学療法(エコーガイド下リハビリテーション)、体外衝撃波などの包括的なアプローチで症状改善をサポートしています。「仕事だから仕方がない…」とあきらめず、まずは一度ご相談ください。痛みを軽減し、快適なデスクワークと日常生活を取り戻せるよう、私たちがお手伝いいたします。


参考論文

  1. Vicenzino B. Lateral epicondylalgia: A review of epidemiology, pathophysiology, and management. Br J Sports Med. 2008;42(11):772–778.
  2. Coombes BK, Bisset L, Vicenzino B. Management of Lateral Elbow Tendinopathy: One Size Does Not Fit All. J Orthop Sports Phys Ther. 2015;45(11):938–949.
  3. Connell D, Burke F, Coombes P, McNealy S, Freeman D, Hoy G. Sonographic examination of lateral epicondylitis. AJR Am J Roentgenol. 2001;176(3):777–782.
  4. Stapleton E, Thomas L, Koukounaras J. The use of ultrasound guided infiltration for radial nerve entrapment: A case series. J Med Ultrasound. 2013;21(4):192–196.

JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。

このコラムを書いた人

理学療法士
瀬尾 真矢

患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

得意分野

変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)

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