コラム
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シンスプリントってなに?〜すねの内側の痛みの原因と治療〜

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
ランニングや日常の激しい歩行、さらには過度なトレーニングなどで「シンスプリント(脛骨過労骨膜炎)」に悩む方は少なくありません。シンスプリントは、脛骨の内側や前面に痛みを感じる状態ですが、その原因として、足の長趾屈筋の付着部に過剰な負荷がかかることが関与している場合もあります。ここでは、シンスプリントの概要と、当院で実施している診断・評価および治療法について詳しく解説いたします。
シンスプリントってなに?
シンスプリントは、脛骨(すねの骨)の過労によって、骨膜に微小な損傷や炎症が起こる状態を指します。一般的にはランナーや激しい運動を行う方に多く見られますが、長趾屈筋の付着部に繰り返しの牽引がかかることも一因として考えられています。これにより、脛骨の内側に鈍い痛みや圧迫感が生じ、場合によっては運動中や翌日以降に症状が悪化することがあります。

当院における原因の診断・評価の方法
当院では、シンスプリントの原因を正確に把握するため、以下の評価法を実施しています。
- MRI検査
腰部および下肢の軟部組織や骨膜の状態、さらに筋肉や靭帯の付着部の微細な異常を詳細に確認し、シンスプリントの病態を総合的に評価します。 - エコー(超音波)検査
リアルタイムで脛骨の骨膜の炎症や、長趾屈筋付着部の変化を観察します。エコーは非侵襲的であり、動的な評価が可能なため、症状発現時の組織の状態や、治療後の変化を追跡するのに非常に有用です。


当院における治療法
シンスプリントの治療は、痛みの原因となる組織の炎症や過緊張を改善し、足の安定性を回復させることを目的としています。当院では以下の方法を組み合わせた包括的なアプローチを実施しています。
- エコーガイド下注射
エコーを用いて炎症や癒着が認められる部位を正確に特定し、局所麻酔薬や消炎鎮痛剤を注射します。また、必要に応じてハイドロリリース(生理食塩水注入)を行い、組織の癒着を解消して牽引負荷を軽減します。 - 理学療法(エコーガイド下)
筋膜リリース、ストレッチ、筋力強化エクササイズをエコーを用いて行い、足や下肢の柔軟性と安定性の回復を促進します。特に、長趾屈筋周辺の柔軟性改善に重点を置いたプログラムを提供しています。 - 姿勢アライメント修正
足部や下肢の荷重バランス、全体の姿勢を見直すことで、脛骨への過度な牽引や圧力を軽減し、シンスプリントの再発予防を図ります。専門の指導のもと、正しい歩行や運動フォームの習得をサポートします。
まとめ
シンスプリントは、長趾屈筋の付着部への過剰な負荷や脛骨の繰り返しのストレスにより、骨膜の炎症や微細損傷が引き起こされる疾患です。当院では、MRIやエコーによる精密な診断で病態を正確に把握し、エコーガイド下注射、エコーガイド下理学療法、姿勢アライメント修正といった治療法を組み合わせることで、症状の緩和と再発予防に努めています。足の痛みや違和感でお悩みの方は、早期の適切な診断と治療を受けることが、快適な生活への第一歩です。
参考論文
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このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)