コラム
Column
「膝や股関節の違和感」我慢していませんか?早期の治療で手術を避ける可能性が高まります
こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
こんな悩みはありませんか?
- 「膝や股関節に違和感があるが、まだ我慢できるから様子を見ている」
- 「歩行時に痛みが出るが、休むと楽になるので放置している」
- 「痛み止めを飲めば治まるから、病院に行くほどでもないと思っている」
- 「将来的に手術が必要と言われたが、今はまだ大丈夫だと思っている」
- 「リハビリや運動療法を試したが、効果が感じられない」
- 「保存療法を続けているが、症状が改善しない」
このような膝や股関節の違和感や痛み、放置していませんか?
実は、変形性関節症は病期によって症状や治療法が異なり、それぞれの病期に沿った適切な治療が重要です。早期に適切な治療を開始することで、手術を避けられる可能性が高まります。
原因解説:変形性関節症の病期と治療のタイミング
変形性膝関節症・股関節症は、関節軟骨がすり減り、関節内に炎症が生じることで痛みが生じる疾患です。
この疾患は、病期によって症状や治療法が異なります。
変形性膝関節症の病期分類(Kellgren-Lawrence分類)
変形性膝関節症の進行度は、レントゲン写真を用いた「Kellgren-Lawrence分類(KL分類)」という国際的な基準で評価されます。グレード0から4までの5段階に分類され、数字が大きいほど重症度が高くなります
- グレード0:正常 – 変形性膝関節症の所見なし
- グレード1:疑い – ごくわずかな骨棘(骨のとげ)の可能性がある程度
- グレード2:軽度(初期) – 明らかな骨棘が確認でき、関節の隙間がやや狭くなり始める
- グレード3:中等度(進行期) – 関節の隙間が明らかに狭くなり、骨棘が目立つ。骨の変形も見られる
- グレード4:高度(末期) – 関節の隙間がほぼ消失し、骨同士が接触。骨の変形が著しい
関節の変形が進行し、軟骨が大幅に減少している場合(グレード4)や痛みが強い場合、通常は人工関節置換手術が最適な選択肢とされます。
一方、関節の変形がまだ進行しておらず、軟骨が一定程度残っている場合(グレード1~3)には、関節を保存しながら治療を行う関節温存治療が適している場合もあります。
治療の流れとタイミング
変形性関節症の治療は、以下のような流れで進められます
- 保存療法(運動療法・薬物療法) – 全ての治療の根底にあるものは理学療法士によるリハビリテーションを基にした運動療法です
- 保存療法で痛みの症状が緩和されない場合 – 膝関節や股関節に対する再生医療(PRP療法)が選択肢としてあります
- それでも膝の痛みが治らず、日常生活に支障をきたす場合 – 手術療法が検討されます
あらゆる保存療法で症状が改善しない場合かつ、手術にて症状の改善が期待できる場合のみ、手術加療を勧めます。
早期治療の重要性
一度すり減った関節軟骨は自然に再生することはありません。 そのため、変形性膝関節症の治療の目的は、痛みを取り除き、病態の進行を遅らせて日常生活動作(ADL)を維持することです。
痛くない範囲で運動を継続することで、徐々に筋力がついて痛み自体が改善していくケースも多くあります。
運動療法を実施しながら、薬物療法や再生医療などさまざまな選択肢を検討しトライして行くことで、できるだけ手術治療を避けられると考えております。
変形性膝関節症は、適切な治療を行わないと、通常5~10年という単位で徐々に進行していく病気です。早期に治療を開始することで、進行を遅らせ、手術を避けられる可能性が高まります。
セルフチェック:あなたの膝・股関節の痛みはどの段階ですか?
- 膝や股関節に違和感があるが、まだ我慢できる
- 歩行時に痛みが出るが、休むと楽になる
- 階段の上り下りで痛みが出る
- 立ち上がる時に膝や股関節に痛みが走る
- 痛み止めを飲めば治まるが、すぐに痛みが戻ってくる
- リハビリや運動療法を試したが、効果が感じられない
- 保存療法を続けているが、症状が改善しない
- 将来的に手術が必要と言われたが、今はまだ大丈夫だと思っている
これらに当てはまる方は、早期に適切な治療を開始することで、手術を避けられる可能性があります。
膝の違和感や歩行時の痛みを自覚されたら、お気軽にご相談ください。
解決策:病期に応じた適切な治療の選択
保存療法が基本
保存療法では主に運動療法と薬物療法の2つを併用して行いますが、運動療法が基本となります。

運動療法は、変形性膝関節症の治療において最もエビデンスレベルが高い治療法です。 日本整形外科学会の変形性膝関節症診療ガイドラインでも、運動療法は推奨グレードAとされており、鎮痛効果、身体機能改善効果、日常生活動作(ADL)改善効果が認められています。
運動は筋力を維持するだけでなく、痛みを和らげる効果が強いことが科学的に証明されています。
痛みのために体を動かさないでいると、筋力が低下して膝関節への負担が増大し、結果として痛みが増すという悪循環に陥ります。
したがって、痛みを感じない範囲で動き続ける運動をすることが大切であり、理学療法士やトレーナーによる指導が効果的です。
運動療法がなぜ必要か
関節の軟骨は、滑膜から分泌される関節液から栄養を与えられています。
膝の曲げ伸ばしで関節軟骨に適度な圧力が加わると、スポンジが水を吸うように関節液が関節軟骨に浸透し、水分・酸素・栄養分が補給されます。

つまり、膝関節を動かさないでいると関節軟骨は関節液を吸収できないため、栄養などがうまく行き渡らないことになります。
そのため、関節軟骨の健康維持には適度な膝の運動が欠かせないのです。
運動療法の効果に関するエビデンス
複数の研究により、運動療法の有効性が実証されています
- 変形性膝関節症が進行して重度(グレード3~4)の状態であっても、運動療法は効果的であることが示されています
- 有酸素運動と筋力強化訓練の両方が推奨されており、継続することが重要です
- 運動療法の効果を測る期間として、6ヶ月間という目安があります
保存療法で改善しない場合の選択肢
保存療法で痛みの症状が緩和されない場合は、膝関節や股関節に対する再生医療(PRP療法)が選択肢としてあります。
ご自身のPRP(多血小板血漿)を膝関節や股関節に注射することで、炎症を抑える働きを促し、痛みの改善を目指します。
当院での治療について
病期に応じた治療の提案
当院では変形性膝関節症の病期を判断して、病期に応じた治療を提案します。
全ての治療の根底にあるものは理学療法士によるリハビリテーションを基にした運動療法です。
「なぜ痛みが続いているのか」を考え、超音波(エコー)を用いて関節の状態を詳細に評価し、変形性関節症の病期を判断して、病期に応じた治療を提案します。
早期発見・早期治療の重要性
膝の違和感や歩行時の痛みを自覚されたら、お気軽にご相談ください。
ご自身でも簡単に行えるエクササイズやリハビリテーションと注射を組み合わせることで、痛みが改善する方も多くいらっしゃいます。
痛くない範囲で運動を継続することで、徐々に筋力がついて痛み自体が改善していくケースも多いです。
運動療法を実施しながら、薬物療法や再生医療などさまざまな選択肢を検討しトライして行くことで、できるだけ手術治療を避けられると考えております。
費用について
PRP治療 1回 50,000円
こんな症状があれば必ず受診を
以下のような症状がある場合は、早めに医師に相談してください:
- 膝や股関節に違和感があるが、まだ我慢できる
- 歩行時に痛みが出るが、休むと楽になる
- 階段の上り下りで痛みが出る
- 立ち上がる時に膝や股関節に痛みが走る
- 痛み止めを飲めば治まるが、すぐに痛みが戻ってくる
- リハビリや運動療法を試したが、効果が感じられない
- 保存療法を続けているが、症状が改善しない
- 将来的に手術が必要と言われたが、今はまだ大丈夫だと思っている
これらの症状がある場合、早期に適切な治療を開始することで、手術を避けられる可能性があります。適切な診断と治療計画を立てるために、一度ご相談ください。
注意事項
PRP療法を受けることができない方
次の条件に該当する方はPRP療法を受けることができませんので、ご注意ください
- がん治療中の方
- 活動性の感染症がある方
- 過去1ヵ月以内に同様の治療を受けたことのある方
- 重篤な合併症を抱えている方(心疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、出血傾向、コントロール不良な糖尿病や高血圧症など)
- 薬剤に過敏症の既往歴がある方
- 血小板機能異常や血小板数が著しく少ない方
- その他、担当医が治療が不適当と判断した方
※がん治療中の方が禁忌とされる理由
PRP療法自体が腫瘍を発生させるという科学的根拠はありません。しかし、PRPに含まれる成長因子が既存の腫瘍細胞を刺激する可能性が理論的に考えられるため、予防的措置として、がん治療中の方は治療を受けることができません。
副作用やリスク
PRP療法は患者さん自身の血液を使用するため、比較的安全な治療法とされていますが、以下のような副作用やリスクが報告されています
- 注射部位の痛みや腫れ:注射後数日間続くことがあります
- 関節の一時的な炎症:治療後に痛みが一時的に増すことがあります
- 感染症:注射による感染のリスクはまれですが、完全には否定できません
- アレルギー反応:自己血液を使用するため、アレルギー反応のリスクは低いですが、ゼロではありません
これらの副作用の多くは軽度で一時的なものです。重篤な副作用が生じた場合は、速やかに当院にご連絡ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療相談には代わりません。
具体的な治療方針については、当院の医師にご相談ください。
要約まとめ
- 病期に応じた治療が重要:変形性関節症は病期(グレード0~4)によって症状や治療法が異なります。それぞれの病期に沿った適切な治療が重要です。
- 保存療法が基本:全ての治療の根底にあるものは理学療法士によるリハビリテーションを基にした運動療法です。運動療法は最もエビデンスレベルが高い治療法です。
- 早期治療の重要性:膝の違和感や歩行時の痛みを自覚されたら、お気軽にご相談ください。早期に適切な治療を開始することで、手術を避けられる可能性が高まります。
- 軟骨は再生しない:一度すり減った関節軟骨は自然に再生しません。そのため、痛みの軽減と進行の抑制が治療の目標となります。
- 保存療法で改善しない場合の選択肢:保存療法で痛みの症状が緩和されない場合は、膝関節や股関節に対する再生医療(PRP療法)が選択肢としてあります。
- 手術は最後の手段:あらゆる保存療法で症状が改善しない場合かつ、手術にて症状の改善が期待できる場合のみ、手術加療を勧めます。
関連記事
「階段・歩くのが痛い」変形性膝関節症・股関節症。自分の血液で組織を修復するPRP療法
関連運動
参考文献
- Kellgren JH, Lawrence JS. Radiological assessment of osteo-arthrosis. Ann Rheum Dis. 1957;16(4):494-502.
- 日本整形外科学会,他,監:変形性膝関節症診療ガイドライン 2023.改訂第3版.
- 石島旨章. 変形性膝関節症 予防は生活習慣改善、治療は筋力アップから. Osteoporosis Japan PLUS. 2016;1(1):18-19.
- 鳥取大学医学部. 変形性膝関節症の自己管理. 2012.
本コラムは最新の医学的エビデンスに基づいて作成しています。変形性関節症の治療については、個人差がありますので、気になる症状がある方は当院にご相談ください。
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)