コラム
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足底腱膜炎はエコーで診断・評価できる?足底腱膜炎の原因と当院での治療法(拡散型圧力波)を解説
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こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
今回は、足底腱膜炎(Plantar Fasciitis)の診断・評価において「エコー(超音波検査)」がどのように役立つかをテーマにお話しします。足底腱膜炎はかかと周辺の痛みの代表的な原因ですが、レントゲンやMRI以外にも、エコーによる画像評価が実はとても有用です。さらに、当院で実施している拡散型圧力波(体外衝撃波)治療についてもご紹介します。
足底腱膜炎とは?
足底腱膜炎は、足裏(足底)にある足底腱膜に炎症や微小損傷が生じ、かかと付近に痛みを引き起こす疾患です。主に以下のような特徴があります。
- 朝起きて最初に足をついたときの痛み
歩き始めが強く痛み、その後少し動くと和らぐパターンが典型的です。 - 長時間の立位・歩行で悪化
ランニングなど反復衝撃が加わるスポーツ愛好家にも多く見られます。 - 足底腱膜のオーバーユース(使いすぎ)が原因
足裏からかかとにかけての筋・腱に過度な負担がかかることで、炎症が進行しやすくなります。
足底腱膜炎はエコーでどのように描出されるのか?
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近年、エコー(超音波検査)を用いた足底腱膜炎の評価が普及してきています。エコーは被ばくのリスクがなく、簡便にリアルタイムで観察できるのが大きなメリットです。具体的には、以下の所見が得られます。
- 腱の肥厚
・正常よりも足底腱膜が厚くなっている場合、炎症による腫脹や線維変性を疑います。
・かかとの付着部付近で、腱膜の厚みが4mm以上あれば肥厚と判断されることが多いです。 - ドプラ所見(血流の増加)
・カラードプラを併用すると、炎症が強い部位では血流信号が増加して映し出されることがあります。
・血流が増えている=炎症や修復反応が活発に起こっているサインです。 - ローエコー像(腱膜の低エコー化)
・炎症や腱膜内の微小損傷が進むと、エコー画像では黒っぽく(低エコー)抜けて見える部分が増えることがあります。
・腱膜組織の連続性が乱れ、変性が生じている可能性を示唆します。 - 骨棘(かかとの骨の突起)
・レントゲン検査でも確認できることがありますが、エコーでも骨棘(かかとの骨がとがった状態)が描出される場合があります。
・骨棘そのものが痛みを必ずしも引き起こすわけではありませんが、足底腱膜炎のある方に比較的よく見られる所見です。
当院での足底腱膜炎への治療:拡散型圧力波(体外衝撃波)
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エコーによる診断・評価の後、当院では症状や進行度に応じてさまざまな治療方法を提案しています。その中でも、拡散型圧力波(体外衝撃波)を用いた治療は、慢性化した足底腱膜炎に対して効果が期待できる先進的なアプローチです。
- 拡散型圧力波(体外衝撃波)とは?
・特殊な装置を使用し、患部に衝撃波を照射することで、痛みの原因組織への血流を促進し、組織の修復を促す治療法です。
・海外や国内の研究で、慢性的な足底腱膜炎の痛みを改善し、運動機能を高める効果が報告されています。 - 治療の流れ
・患部をエコーで確認しながら照射部位を決定
・適切な圧力と周波数を設定し、数分間衝撃波をあてる
・週に1回〜2回程度を数週間継続し、症状の改善度を評価 - メリット・デメリット
・メリット: 手術ではなく、外来で行えるため身体への負担が少ない。薬や注射で改善しなかった痛みに効果が期待できる。
・デメリット: 痛みや刺激を感じる方もおり、複数回の施術が必要な場合がある。
まとめ
足底腱膜炎の診断・評価には、レントゲンやMRIが知られていますが、エコー(超音波検査)を活用することで
- 腱の肥厚
- ドプラ所見での血流増加
- ローエコー像
- 骨棘の有無
といった所見をリアルタイムで把握でき、治療効果の評価や経過観察にも便利です。
また、治療面では、拡散型圧力波(体外衝撃波)が慢性足底腱膜炎に対して選択肢の一つとなっています。足底腱膜炎は放置すると痛みが慢性化し、日常生活やスポーツ活動に大きな制限をもたらすため、早期の的確な診断と治療が重要です。もし足裏やかかとに痛みが続く場合には、医療機関で適切な評価・治療を受けることをおすすめします。
足底腱膜炎
参考論文
- Hirschmüller A, Baur H, Müller S, Helwig P, Dickhuth HH, Mayer F. Diagnostic validity of clinical tests and ultrasound examination of the plantar fascia in patients with plantar heel pain. Foot Ankle Surg. 2010;16(3):178-182.
- Karabay N, Toros T, Hurel C, Ozbek C. Magnetic resonance and ultrasound imaging of plantar fasciitis. Sports Med Arthrosc Rehabil Ther Technol. 2010;2:25.
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人
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瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)