骨粗しょう症
osteoporosis
骨粗しょう症
osteoporosis
骨粗しょう症について
骨粗しょう症(骨粗鬆症)とは、骨の強度(骨密度+骨質)の低下により、骨が脆くなり、骨折しやすい状態を指します。骨は常に新陳代謝が行われ、古い骨が吸収され新しい骨が作られるサイクルを繰り返しています。しかし、骨粗しょう症の患者では、骨吸収が骨形成に比べて優位になり、骨の強度が低下します。
骨折の予防
整形外科医の定期的な検診をお勧めします。
骨粗しょう症は骨折のリスクが高い疾患です。特に閉経後の女性に多く見られ、女性ホルモンの減少や老化と関連があると考えられています。高齢でなくとも注意が必要です。骨密度は20代でピークに達しますが、このピークが低い場合、早い段階で骨粗しょう症になる可能性があります。
治療の目標
治療の目標は、骨折を予防し、骨の強度と質を維持し、自立した生活を続けることです。
骨粗しょう症チェック
以下の条件に当てはまる場合、骨密度測定をお勧めします。
- 50歳以上の女性(特に閉経後)
- 痩身または肥満
- 両親に大腿骨近位部骨折歴がある方
- 喫煙者
- ステロイド薬を使用中または使用歴がある方
- 膠原病の既往がある方
- 過度なアルコールやカフェインの摂取がある方
- 糖尿病、慢性腎不全、慢性呼吸器疾患のある方
- 過激なダイエットの経験がある方
- ホルモン療法や放射線療法を受けたことがある方
- FRAX値で10年以内に骨折する確率が10%(または15%)以上
骨粗しょう症の治療と検査
骨の強度の70%は骨密度に依存し、30%は骨質に依存しています。骨質は骨の微細構造と代謝に影響されます。骨質は喫煙、糖尿病や食生活に大きく影響を受けます。
当院では骨折リスクを評価し、治療方法を選択する際に骨密度だけでなく骨質の影響も考慮します。
レントゲン検査
骨折の有無を判定します。椎体骨折の多くは症状がない「不顕性骨折」ですので、注意が必要です。
血液検査
骨代謝マーカーを測定し、骨形成と骨吸収のバランスを評価します。
骨密度検査(DXA法)
骨粗しょう症の診断と治療効果の判定に使用されます。特に骨折しやすい腰椎と大腿骨近位部の骨密度評価が重要です。(日本骨粗鬆症学会ガイドラインにて推奨される優れた検査方法です)
運動療法
運動は骨の強度を増加させます。中程度の強度の運動(ウォーキング、ジョギング、階段昇降、エアロビクスなど)が効果的で、特に高齢者には毎日30分のウォーキングがお勧めです。当院ではロコモティブシンドローム(ロコモ)やフレイルの評価を行い、運動プログラムを提供します。
日常生活での重要なこと
- カルシウム、ビタミンD、タンパク質の摂取
- 太陽の光を浴びる(日焼けを避ける場合は手のひらでも可)
- 骨に負荷のかかる運動
骨粗しょう症治療中の抜歯について
骨粗しょう症治療中の骨吸収抑制剤使用に関しては、顎骨壊死のリスクが低い頻度で発生します。治療を続けることと顎骨壊死のデメリットを比較し、慎重に判断する必要があります。歯科との連携を重視し、定期的な歯科受診が重要です。
当院では患者様の個別の状況に合わせた治療プランを提供し、骨粗しょう症の予防と治療を行っています。ご質問や不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
FAQ
- Q.タバコやお酒は骨の健康に影響しますか?
- A.
はい、タバコやお酒は骨の健康に悪影響を与えるとされています。タバコはカルシウムの吸収を妨げるだけでなく、エストロゲンの働きを低下させます。また、アルコールはカルシウムの排泄を促進し、骨量の減少を引き起こします。これらの要因を踏まえて、控えるよう心がけましょう。
- Q.骨粗しょう症の検査は何歳から受けた方が良いですか?
- A.
骨粗しょう症は自覚症状がないことが多いため、40歳頃から骨密度検査を受けることをおすすめします。特に女性は更年期に骨量が急速に減少するため、早期の検査が重要です。早期にリスクを把握し、予防策を講じることが大切です。
- Q.骨粗しょう症は運動や食生活の改善だけで治りますか?
- A.
骨粗しょう症の治療には薬物療法が必要ですが、運動や食生活の改善も重要です。ただし、食事や運動だけで骨粗しょう症を改善するのは難しい場合があります。薬物療法と併用して、総合的なアプローチで治療することが効果的です。
- Q.骨密度は一生変わらないのですか?
- A.
骨密度は年齢や生活環境によって変化します。骨量は成長期に増加し、20歳ごろにピークを迎えます。その後、女性では更年期以降に急速に減少します。男性も年齢とともに骨量が減少します。骨密度の変化は個人によって異なります。
- Q.骨を強くするにはどのような方法がありますか?
- A.
適切な食事と運動が骨を強化するために重要です。十分なカルシウムとビタミンDを摂取し、骨に負荷をかける運動を継続することが効果的です。また、タバコやアルコールの摂取は骨の健康に悪影響を与えるため、控えることが大切です。さらに、骨粗しょう症の治療には薬物療法も重要です。骨量は一度失われると取り戻すことが難しいため、早期の治療が必要です。
- Q.骨密度の測定は可能ですか?
- A.
はい、当院ではDXA法による大腿骨近位部と腰椎の骨密度測定を行っています。測定結果に基づいて治療の選択肢を提案し、治療効果の評価にも活用しています。検査結果はできるだけ当日にお知らせしますが、混雑状況によっては後日通知する場合もあります。また、骨粗しょう症でない方でも、予防のための相談を受け付けています。
- Q.骨粗しょう症を予防するためにどのような食事がおすすめですか?
- A.
バランスの取れた食事が重要です。特に、カルシウムやビタミンDを豊富に含む乳製品や魚、干しシイタケなどのキノコを積極的に摂取しましょう。また、骨を形成するたんぱく質も意識して摂取することが大切です。ただし、食事だけでは不十分な場合があるため、骨密度検査を受けて骨粗しょう症が診断された場合は医師の指示に従って治療を行いましょう。骨折や関節疾患は、寝たきりの原因として重要ですので、早期の診断と治療が重要です。