コラム
Column
【女性の手の悩み】指の第一関節が痛い、腫れる…それは「へバーデン結節」かも?
こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「ペットボトルのキャップが開けにくい」「指の第一関節が赤く腫れて、ズキズキ痛む」「気づいたら、指先がゴツゴツと変形してきた」。特に40代以降の女性で、このような指先の症状にお悩みの方はいませんか?それは、指の第一関節(DIP関節)に変形や痛みが生じる「へバーデン結節」という病気かもしれません。単なる老化現象と諦めず、正しい知識を持って対処することが、痛みと上手に付き合っていくための第一歩です。
へバーデン結節とは?指先に起こる変形性関節症
へバーデン結節は、指の第一関節(爪に一番近い関節)の軟骨がすり減り、関節が変形したり、腫れたりする病気です。変形性関節症の一種で、手の指に最もよく見られるものの一つです。人差し指から小指にかけて、複数の指に症状が出ることが多いのが特徴です。

1. 主な症状
症状の現れ方には個人差がありますが、一般的に以下のような経過をたどります。
- 初期:指の第一関節の腫れ、赤み、痛み(特に指を曲げ伸ばしする時)。ピリピリとした痛みを感じることもあります。
- 進行期:関節の近くに「ミューカスシスト」と呼ばれる、水ぶくれのような透き通ったコブができることがあります。
- 慢性期:痛みが徐々に落ち着いてくる一方で、関節の変形が固まって指が曲がったままになったり、動きが悪くなったりします。関節の出っ張り(結節)も目立つようになります。
2. なぜ起こるのか?
明確な原因はまだわかっていませんが、いくつかの要因が関係していると考えられています。
- 加齢と性別:40代以降の女性に圧倒的に多く見られることから、加齢や女性ホルモンの変動が関与していると推測されています。
- 遺伝:母や祖母に同じ症状がある場合、体質的に発症しやすい傾向があると言われています。
- 手の使いすぎ:仕事や家事などで、指先をよく使う人に発症しやすい傾向があります。
痛みを和らげるためのセルフケア
へバーデン結節と診断されたら、指に負担をかけない生活を心がけることが基本です。
1. 指を休ませる
痛みが強い時は、できるだけ指先を使う作業を控え、関節を安静に保ちましょう。重い物を持つ、雑巾を固く絞るといった動作は、症状を悪化させることがあります。
2. テーピングやサポーター
痛む関節にテーピングをしたり、専用のサポーターを装着したりすることで、関節の動きが制限され、痛みが和らぐことがあります。
3. 温める・冷やす
痛みがズキズキと強い「急性期」には、冷やすと楽になることがあります。痛みが落ち着いている「慢性期」には、入浴などで温めて血行を良くすると、こわばりが和らぎます。
当院での治療法
セルフケアで痛みが改善しない場合や、痛みが強く日常生活に支障がある場合は、我慢せずにご相談ください。
- 薬物療法:痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤の塗り薬や貼り薬、内服薬などを処方します。
- 装具療法:装具を装着して関節を動かないように固定することで、患部への負担を減らすことを目的とします。
- 体外衝撃波療法:関節の変形を治すことはできませんが、痛みを減らす効果が期待できます。
まとめ
へバーデン結節は、命に関わる病気ではありませんが、指の痛みや変形は、日常生活の質(QOL)を大きく低下させます。特に女性にとっては、見た目の問題も大きな悩みとなります。指先の小さな変化に気づいたら、「年のせい」と諦めずに、一度専門医に相談してください。ご自身の状態に合った適切な対処法を知ることが、つらい症状を乗り越えるための第一歩です。
参考文献
Haara, M. M., Manninen, P., Kröger, H., Arokoski, J. P. A., Kärkkäinen, A., Knekt, P., Aromaa, A., & Heliövaara, M. (2003). Osteoarthritis of finger joints in Finns aged 30 or over: prevalence, determinants, and association with mortality. Annals of the Rheumatic Diseases, 62(2), 151–158.
Leung, G. J., Rainsford, K. D., & Kean, W. F. (2014). Osteoarthritis of the hand I: aetiology and pathogenesis, risk factors, investigation and diagnosis. Journal of Pharmacy and Pharmacology, 66(3), 339–346.
Stecher, R. M. (1955). Heberden Oration: Heberden’s Nodes. A Clinical Description of Osteo-Arthritis of the Finger Joints. Annals of the Rheumatic Diseases, 14(1), 1–10.
長引く指の痛みや変形でお悩みの方は、お気軽に当院へご相談ください。
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)