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週3回30分“ゆっくり散歩”で頭スッキリ! 60代から鍛える「考えがまとまる力」

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「最近、物忘れが増えた気がする」「考えがまとまらずにイライラ…」。
60〜70代の読者のみなさん、そんなお悩みはありませんか?
実は、“ちょっとゆっくりめの散歩”を週に3回・30分続けるだけで、頭がスッキリして考えがまとまりやすくなることが、海外の複数の研究で示されています。
キツい運動はハードルが高いけれど、近所をぶらりと歩く程度なら始めやすいですよね。
今回は散歩がもたらす脳と体への嬉しい効果をわかりやすく解説し、今日から実践できるコツをお届けします。
散歩で“頭のブレーキ”が利きやすくなる
私たちの脳には「実行機能」と呼ばれる、注意力・判断力・感情のコントロールを担う力があります。
60代以降は加齢とともに落ちやすい機能ですが、週3回の軽い有酸素運動でグンと向上することがわかっています(参考論文①)。
ポイントは「息が少しはずむ程度」。
早歩きではなく、会話ができる速さで OK。“頭のブレーキ”=抑制力が高まることで、
- イライラしにくくなる
- やるべきことに集中しやすくなる
- うっかりミスが減る
といった変化が期待できます。
心肺機能アップで“脳のガソリン”を送りやすく
散歩を続けると、心臓と肺のスタミナ(VO2max)が平均16%以上アップすることが示されています(参考論文③)。
心肺機能が高まると脳に運ばれる酸素と栄養も増加。
その結果、頭がクリアに働き、「アイデアが浮かばない…」といった行き詰まり感が減るのです。
骨と体脂肪にもダブルのご褒美
ゆっくり散歩でも骨密度の減少をゆるやかにする(参考論文④)うえ、
体脂肪や血糖値などメタボ指標が改善する(参考論文⑤)ことが報告されています。
骨粗しょう症や生活習慣病が気になる世代には心強い味方ですね。
今日から始める「ゆっくり散歩」5つのコツ
- 時間帯:朝の光を浴びながら歩くと体内時計が整い、夜もぐっすり。
- 歩幅:かかとから着地し、つま先で軽く蹴り出す。大股でなくてOK。
- 姿勢:背すじを伸ばし、目線は5m先。胸を軽く張ると呼吸が楽に。
- 会話ペース:話しながら歩ける速さをキープ。息切れは禁物。
- 楽しみをセット:お気に入りの音楽や公園の花めぐりなど、小さな楽しみを散歩コースに。
【まとめ】
「週3回 × 30分」のゆっくり散歩は、
脳の整理力アップ、心肺機能向上、骨や代謝のサポートなど、嬉しいご褒美がいっぱい。
思い立った今日がスタートライン。
まずはお気に入りの靴で、家の周りをぐるっと一周。
続けるうちに「最近、頭が冴えてきたかも!」と実感できるはずです。
※持病のある方は、主治医と相談のうえ無理のない範囲で行いましょう。
【参考論文】
論文タイトル: Impact of physical activity on executive functions in aging
筆頭著者名: GK Boucard et al.
掲載雑誌名: Aging Clinical and Experimental Research
発行年: 2012
DOI: 10.3275/8821
PMID: 23204360
論文タイトル: Effects of moderate and low intensity long-term exercise by older adults
筆頭著者名: JS Stevenson et al.
掲載雑誌名: Nursing Research
発行年: 1990
DOI: 10.1097/00006199-199009000-00007
PMID: 2374829
論文タイトル: Controlled endurance exercise training and VO2max changes in older adults: a meta-analysis
筆頭著者名: G Huang et al.
掲載雑誌名: Preventive Cardiology
発行年: 2005
DOI: 10.1111/j.0197-3118.2005.04324.x
PMID: 16230876
論文タイトル: Bone loss, physical activity, and weight change in elderly women: longitudinal data from the Dubbo Osteoporosis Epidemiology Study
筆頭著者名: TV Nguyen et al.
掲載雑誌名: Journal of Bone and Mineral Research
発行年: 1998
DOI: 10.1359/jbmr.1998.13.5.814
PMID: 9738519
論文タイトル: Effects of a web-based intervention on physical activity and metabolic health in inactive older adults: a randomized controlled trial
筆頭著者名: CA Wijsman et al.
掲載雑誌名: Journal of Medical Internet Research
発行年: 2013
DOI: 10.2196/jmir.2744
PMID: 24195965
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)