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コラム

Column

2025年2月9日

膝の前が痛い!それは脂肪組織が問題を起こしている可能性があります

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!

こんにちは。膝の前側、とくに膝蓋骨(お皿)のすぐ下あたりに痛みが出る場合、腱や軟骨のトラブルばかりが注目されがちです。しかし実は、そこにある膝蓋下脂肪体という脂肪組織が、痛みの原因になっているケースも珍しくありません。今回は、膝蓋下脂肪体とは何か、なぜ痛みを引き起こすのか、そして当院での評価・治療についてわかりやすくお伝えします。

膝蓋下脂肪体とは?

膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad)は、膝のお皿(膝蓋骨)と脛骨の間、いわゆる膝蓋腱の前側・下側に位置するクッション状の脂肪組織です。

  • クッション機能
    膝関節が曲がったり伸びたりするときの衝撃を和らげます。
  • 関節の円滑な動きをサポート
    関節包や腱の滑りを補助し、膝がスムーズに動くのを助けます。

ただし、この脂肪組織は強く挟まれたり、炎症が起きると、痛みを非常に感じやすい特徴があります。

膝蓋下脂肪体がなぜ痛みを引き起こすのか?

自由神経終末が多い

膝蓋下脂肪体には、痛みを感知する自由神経終末が豊富に存在します。そのため、

  • 挟み込み
  • 繰り返しの衝撃
  • 摩擦や炎症
    といった刺激を受けると、鋭い痛みを生じやすいのです。

炎症・肥大化による圧迫

炎症が進むと脂肪組織が肥大化し、膝蓋腱や周囲構造との間でインピンジメント(挟み込み)を起こしやすくなります。これにより、関節を動かすたびに痛みが発生しやすくなります。

他の膝トラブルとの合併

変形性膝関節症やジャンパー膝(膝蓋腱炎)など、すでに膝にストレスがかかる病態があると、膝蓋下脂肪体にも負担が波及し、痛みを助長する場合があります。

当院における原因の診断・評価方法

整形外科的テスト

  • 視診・触診: 膝蓋骨下部の圧痛や腫れ、可動域制限があるかどうかを確認。
  • 膝屈伸時の痛みの再現: 膝の曲げ伸ばしで脂肪体が挟み込まれるかどうかを簡易的にチェックします。
  • 必要に応じて、他の膝疾患(例:半月板損傷、腱炎、関節軟骨障害など)との鑑別テストも行います。

エコー(超音波)を用いた評価

  • 肥厚・炎症所見の有無: エコーで脂肪体が膨らんでいるか、内部エコーに乱れや血流増加がないかをチェック。
  • インピンジメント状態の動態観察: 膝の曲げ伸ばし時に脂肪体がどのように動くかをリアルタイムで確認し、痛みが出る角度や組織の挟まり具合を評価します。
  • レントゲンやMRIに比べ、短時間かつ被ばくなしで観察できる点が大きな利点です。

当院における治療法

エコーガイド下注射

  • 炎症が強い部分や癒着が疑われる部位に、エコーガイド下で局所麻酔薬や消炎鎮痛剤を正確に注射。
  • 必要に応じて、生理食塩水を注入して組織の癒着をはがすハイドロリリースを行うこともあります。
  • エコーを用いることで、ターゲット部位へ効率よく薬液を届け、周囲組織への負担を最小限に抑えられます。

理学療法(エコーガイド下)

  • 脂肪体を含む周辺組織(膝蓋腱・大腿四頭筋など)の柔軟性を高めるリハビリテーション。
  • エコーガイド下で動態を確認しながら、適切なストレッチや筋力強化、手技療法を実施。
  • 日常生活やスポーツでの膝の使い方を見直すことで、再発予防や根本的な負担軽減を図ります。

まとめ

膝のお皿(膝蓋骨)の下にある膝蓋下脂肪体は、クッションのような役割を果たす一方で、炎症や挟み込みが起こると強い痛みを生じやすい組織です。

  • 自由神経終末が豊富に存在するため、少しの刺激でも痛みが顕在化しやすい。
  • エコー検査で膝蓋下脂肪体の状態や動態を把握し、適切な治療を行うことが重要。

当院では、整形外科的テストに加えてエコーによる詳細な評価を実施し、エコーガイド下注射や理学療法を組み合わせた包括的なアプローチで症状改善を目指します。膝蓋下脂肪体が原因かもしれないと感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。

参考論文

  1. Dragoo JL, Johnson C, McConnell J. Evaluation and treatment of disorders of the infrapatellar fat pad. Sports Medicine. 2012. DOI: 10.2165/11595680-000000000-00000. PMID: 22149697.
  2. Satake Y, Izumi M, Aso K, Ikeuchi M. Association between infrapatellar fat pad ultrasound elasticity and anterior knee pain in patients with knee osteoarthritis. Scientific Reports. 2023. DOI: 10.1038/s41598-023-47459-0. PMID: 37973859.
  3. DuBose M, Taqi M. Hoffa Pad Impingement Syndrome. StatPearls. 2023. PMID: 36943955.

JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。

このコラムを書いた人

理学療法士
瀬尾 真矢

患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

得意分野

変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)

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