コラム
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肩こりに関与する血流~血流の低下が原因かも~

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
長時間のデスクワークやスマートフォン操作など、私たちの日常生活に深く浸透する”同じ姿勢”が、いつの間にか「肩こり」を引き起こしているかもしれません。肩こりの原因には筋肉の緊張や神経圧迫などさまざまな要素がありますが、実は血流の低下も大きく関わっているのをご存じでしょうか。今回は、肩こりと血流の関係、そして僧帽筋を支配している血管「頚横動脈」について解説します。
血流と肩こりの関係
1)筋肉の酸素不足
僧帽筋を含む肩周りの筋肉は、長時間の同一姿勢や過度な緊張によって血流が滞りやすくなります。
- 血流が低下すると筋肉へ十分な酸素や栄養素が行き渡らず、代謝産物の排出も滞り、痛みや張り感が生まれます。
2)血管圧迫による循環不全
筋肉が硬くなると、筋繊維の間を走る血管を圧迫します。さらに、神経や筋膜などと複合的に絡み合うことで、”こり”や痛みの慢性化につながります。
僧帽筋を支配している血管とは? ~頚横動脈~
肩こりに深く関わる僧帽筋は、「頚横動脈(transverse cervical artery)」の分枝から血液供給を受けています。
- 頚横動脈の走行
一般的には鎖骨下動脈から分岐し、肩甲挙筋や菱形筋とともに僧帽筋付近へと血液を送るルートを持ちます。 - 肩こりとの関係
不良姿勢や筋肉の過緊張によって頚横動脈周囲の組織が硬くなると、血管の自由な拡張や血流が阻害されることがあります。
これが長く続くと僧帽筋への酸素供給量が低下し、肩こりの原因をさらに強める要因となるのです。

当院における原因の評価方法
エコーを用いた評価
- 筋肉・血管の観察
エコー(超音波)を使って僧帽筋の厚みや硬さ、周辺の頚横動脈などをリアルタイムで可視化します。 - ドプラ機能
必要に応じてドプラ評価を併用し、血流量や流速の変化をチェック。筋肉や血管の圧迫を探るうえで有効です。 - 血流と筋肉の動態把握
肩の動きに合わせて血管がどのように動くかを確認し、実際に痛みやこり感が出る姿勢や動作時の状態を評価します。
当院における治療法
1)エコーガイド下注射(周辺へのハイドロリリース)
- 生理食塩水による癒着剥離
血流が低下しやすいポイントや筋膜の癒着が疑われる部位に、エコーガイド下で薬液を注入(ハイドロリリース)。 - 神経・血管周囲の滑走性改善
筋膜や周囲組織の癒着を剥がすことで、神経と血管の通り道を確保し、血流を改善しやすくします。
2)理学療法(エコーガイド下)
- ストレッチ&筋力バランス
僧帽筋だけでなく、肩甲帯や首周り全体の筋肉をほぐし、正しい姿勢を保つための筋力を養います。 - 血流促進のための運動療法
エコーで筋肉の状態を確認しながら、適切な運動やマッサージを行い、血管周りの緊張を解きほぐします。 - 生活習慣改善指導
長時間の同一姿勢を避ける工夫、こまめな休憩、姿勢の矯正などをアドバイスし、再発リスクを軽減します。
まとめ
肩こりには筋肉の疲労や神経圧迫など多様な要因が存在しますが、血流の低下は見逃せないポイントです。僧帽筋への血流を担う「頚横動脈」周辺が圧迫・癒着すると、筋肉内の酸素不足や代謝産物の蓄積が進み、こりや痛みが慢性化しやすくなります。当院では、エコーを用いた丁寧な評価を行い、必要に応じてエコーガイド下注射(ハイドロリリース)や理学療法を組み合わせた包括的な治療で、根本的な原因へアプローチ。血流を改善することで、頑固な肩こりの解消を目指しています。
参考論文
- Ritsu Aikawa, Tomonori Kishino, Shohei Shibasaki, et al. Relationship between trapezius muscle hardness and transverse cervical artery flow in association with neck and upper‐back stiffness. 2020
- V. Strøm, C. Røe, S. Knardahl. Work-induced pain, trapezius blood flux, and muscle activity in workers with chronic shoulder and neck pain. 2009
- R. Larsson, H. Cai, Q. Zhang, et al. Visualization of chronic neck-shoulder pain: impaired microcirculation in the upper trapezius muscle in chronic cervico-brachial pain. 1998
- Chien-Tsung Tsai, L. Hsieh, T. Kuan, et al. Injection in the cervical facet joint for shoulder pain with myofascial trigger points in the upper trapezius muscle. 2009
- K. A. Holte, R. Westgaard. Daytime trapezius muscle activity and shoulder-neck pain of service workers with work stress and low biomechanical exposure. 2002
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)