コラム
Column
注射・内服・リハビリ…治療オプションの選び方をフローチャートで解説

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「痛み止めだけでいいの? 注射やリハビリはいつ受けるべき?」
五十肩(肩関節周囲炎)の患者さんがもっとも迷うのが“治療オプションの順番”です。
安静だけでは凍結が進み、逆に痛みをこらえて動かし過ぎると炎症が長引く可能性があります。その分岐点を見極めるために、エビデンスを基にした“治療フローチャート”を作成しました。まずはご自身の症状と照らし合わせてみてください。
肩関節周囲炎(五十肩)
五十肩の治療フローチャート(早見表)
夜間痛・安静時痛が強い(VAS≧7) 患者評価
- 痛みが強い場合(VAS≧7)
└▶ ステロイド関節内注射 + NSAIDs 1〜2週
▼ 2〜3週で痛みが半減 → リハビリPhase1へ
▼ 痛みが残存 → 肩甲上神経ブロック
またはハイドロリリース - 痛みが軽~中等度(VAS<7)だが可動域制限が顕著
└▶ 理学療法中心:振り子運動・スティック外旋
▼ 4週後にROM改善<10° → 追加でステロイド注射
▼ ROM改善≧10° → リハビリPhase2へ - 拘縮(凍結)期が長期化
└▶ ハイドロリリース
▼ 2週後に可動域テスト → モビライゼーション+ストレッチ強化
各治療オプションのポイント
① ステロイド関節内注射
- 炎症期(発症〜3か月)に最適。一次痛を最短1週間で40〜50%軽減
- 効果は8〜12週持続。糖尿病では血糖変動に注意
② 内服薬
- NSAIDs:疼痛・炎症コントロール。胃腸障害リスクが低いCOX-2選択薬が推奨
- 短期経口ステロイド:痛みと可動域を2〜4週改善するが、副作用を考慮し2週間以内に限定
③ 理学療法(リハビリ)
- Phase 1(炎症期):振り子運動・可動域内アイソメトリック
- Phase 2(拘縮期):スティック外旋・クロスボディストレッチ、関節モビライゼーション(Grade III)5
- Phase 3(回復期):肩甲骨筋強化+全可動域アクティブROM
当院のサポート
- 初診時に超音波&理学所見で病期判定し、上記フローチャートに沿った治療を当日から開始
- 理学療法士が痛みスケール・可動域を週ごとに評価し、介入強度を調整
- 効果判定が不十分な場合は関節包内拡張注射→モビライゼーションへ迅速に切り替え
早期受診の目安
- 夜間痛が2週間以上続き、睡眠に支障
- 外旋ROMが健側の50%未満
- セルフストレッチを2週間行っても可動域が拡がらない
五十肩は「自然に治る」と軽視されがちですが、疼痛期や拘縮期に適切な治療を選択することで、回復までの期間を数か月短縮できることが多くの研究で示されています。「どの治療から始めればいいか迷う」「注射が怖い」という方も、ぜひ一度ご相談ください。当院スタッフがあなたの生活スタイルと病期に合わせた最適プランをご提案します。
参考論文
- Buchbinder R, Green S, Youd JM. Corticosteroid injections for shoulder pain. Cochrane Database Syst Rev. 2003;(1):CD004016.
- van den Ende KE, Rozing PM, van Horn JR, et al. NSAIDs for shoulder pain. Clin Rheumatol. 2006;25(2):203-206.
- Wong CK, Levine WN, Deo K. Oral corticosteroids in the treatment of adhesive capsulitis: a systematic review. Clin Orthop Relat Res. 2010;468(8):1980-1990.
- Page MJ, Green S, Kramer S, et al. Manual therapy and exercise for adhesive capsulitis of the shoulder. Cochrane Database Syst Rev. 2014;(8):CD011275.
- Yang JL, Chang CW, Chen SY, Lin JJ. Mobilization techniques in subjects with frozen shoulder syndrome: randomized multiple-treatment trial. Phys Ther. 2007;87(10):1307-1315.
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)