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コラム

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2025年10月17日

将来の寝たきりを防ぐ!中高年女性のための「貯筋」トレーニング入門

こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!

「瓶のフタが開けにくくなった」「信号が点滅しても、走って渡るのをためらってしまう」「若い頃は軽々と持てた荷物が重く感じる」…。そんな日常の些細な変化は、単なる年齢のせいと片付けてはいませんか?実はそれ、筋肉が減少していく「サルコペニア」のサインかもしれません。この記事では、将来の健康と自立した生活のために、50代から始めたい「貯筋」という考え方と、その具体的な実践方法を専門家の視点から解説します。

あなたの「筋肉貯金」は大丈夫?サルコペニアの危険性

サルコペニアとは、加齢に伴って筋肉の量が減少し、筋力や身体機能が低下する状態のことです。私たちの筋肉量は30代をピークに少しずつ減り始め、特に女性はホルモンバランスが大きく変化する50代以降、そのスピードが加速すると言われています。

なぜ筋肉が減ると危険なの?

筋肉は体を動かすだけでなく、体を支え、エネルギーを消費し、体温を保つなど、生命維持に欠かせない多くの役割を担っています。そのため、筋肉が減ると様々なリスクが高まります。

  • 転倒・骨折のリスク増加:体を支える力が弱まり、バランスを崩しやすくなるため、ふとしたことでの転倒や骨折につながり、寝たきりの原因になることもあります。
  • 基礎代謝の低下:筋肉は体の中で最も多くのエネルギーを消費する組織です。筋肉量が減ると基礎代謝も落ち、同じ食事をしていても太りやすく、糖尿病などの生活習慣病のリスクも上がります。
  • 活動量の低下という悪循環:「動くのが億劫」になると、さらに筋力が低下し、ますます動かなくなる…という負のスパイラルに陥りやすくなります。

今日から始める「貯筋」習慣① 食事編

筋肉の材料となるのは、ご存知の通りタンパク質です。意外に思われるかもしれませんが、筋肉を維持・増強するためには、実は高齢者の方が若い人よりも多くのタンパク質を必要とすると言われています。これを「アミノ酸抵抗性」と呼びます。

目標は「体重(kg)×1.2g」のタンパク質

健康な中高年女性の場合、少なくとも1日に「体重1kgあたり1.2g」のタンパク質を摂ることが推奨されています。例えば、体重50kgの方なら、1日に60gのタンパク質が目標です。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを毎日の食事に意識して取り入れましょう。

【タンパク質60gの目安】
朝食(卵1個:6g、ヨーグルト1個:5g)+ 昼食(鮭1切れ:17g)+ 夕食(鶏もも肉100g:18g、豆腐1/4丁:5g)= 合計51g。これに牛乳をコップ1杯(7g)足すなどで目標に近づきます。

今日から始める「貯筋」習慣② 運動編

食事で材料を補給したら、次は筋肉に「作る指令」を出さなければなりません。その指令となるのが運動、特に筋肉に負荷をかける「レジスタンス運動(筋トレ)」です。

最強の貯筋運動「スロースクワット」

下半身の大きな筋肉を効率よく鍛えられるスクワットは、「キング・オブ・トレーニング」とも呼ばれます。膝への負担が少なく安全に行える「スロースクワット」から始めましょう。

  1. 椅子の前に立ち、足を肩幅に開きます。
  2. 3~5秒かけて、ゆっくりとお尻を椅子に下ろしていきます(完全に座らない)。
  3. お尻が椅子に触れるか触れないかの位置で1秒止め、また3~5秒かけてゆっくりと立ち上がります。

これを10回×1~3セット、無理のない範囲で行いましょう。腰を反らさず、膝がつま先よりあまり前に出すぎないようにするのがポイントです。(少し前に出るくらいでやれるくらいが良いです。)

まとめ

「もう年だから…」と諦める必要は全くありません。筋肉は、何歳になってもトレーニングによって育てることができる、裏切らない組織です。将来の自分のために、銀行にお金を預けるように、体に筋肉を「貯筋」する習慣を始めてみませんか?「良質なタンパク質をしっかり摂ること」と「少しキツいと感じる程度の運動を続けること」。この2つの柱が、10年後、20年後のあなたの元気と笑顔を支える、何よりの資産となるはずです。

参考論文

  • Fiatarone MA, et al. High-intensity strength training in nonagenarians. JAMA. 1990;263(22):3029-3034.
  • Baum JI, Kim IY, Wolfe RR. Protein consumption and the elderly: what is the optimal level of intake?. Nutrients. 2016;8(6):359.
  • Cruz-Jentoft AJ, et al. Sarcopenia: revised European consensus on definition and diagnosis. Age and ageing. 2019;48(1):16-31.

JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。

このコラムを書いた人

理学療法士
瀬尾 真矢

患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

得意分野

変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)

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