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コラム

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2025年10月19日

咳やくしゃみで「ヒヤッ」…誰にも言えない尿漏れの悩みを改善する、1日5分の骨盤底筋トレーニング

こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!

くしゃみをした瞬間、重い荷物を持ち上げた時、大笑いした拍子に「ヒヤッ」とした経験はありませんか?誰にも相談できず、一人で悩みを抱えている方も多いかもしれません。でも、安心してください。その悩みは、決してあなた一人だけのものではありません。実は、40代以上の女性の3人に1人が経験するとも言われる、非常にありふれた症状なのです。この記事では、その原因と、自宅でできる簡単な改善法について、専門家の視点から分かりやすく解説します。

なぜ尿漏れは起こるの?原因は「骨盤底筋」のゆるみ

お腹に力が入った時に起こる尿漏れは、「腹圧性尿失禁」と呼ばれ、女性の尿失禁の中で最も多いタイプです。その主な原因は、骨盤の底でハンモックのように内臓(膀胱や子宮など)を支えている「骨盤底筋(こつばんていきん)」という筋肉群のゆるみにあります。

この骨盤底筋は、尿道を締めて尿が漏れるのを防ぐという、蛇口のパッキンのような重要な役割も担っています。しかし、様々な要因でこの筋肉がゆるんでしまうと、お腹に力が入った際に尿道を締め付けきれず、尿が漏れやすくなってしまうのです。

骨盤底筋がゆるむ主な原因

  • 加齢と女性ホルモンの減少:年齢と共に全身の筋力が低下するのと同様に、骨盤底筋も弱くなります。また、更年期以降に女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、筋肉の弾力性が失われ、ゆるみやすくなります。
  • 出産によるダメージ:妊娠中の子宮の重みや、出産時のいきみによって、骨盤底筋は大きく引き伸ばされ、ダメージを受けます。
  • その他:肥満による持続的な腹圧、慢性的な便秘、重いものを頻繁に持つ仕事なども、骨盤底筋に負担をかける原因となります。

1日5分から!骨盤ニュートラル化トレーニング

尿漏れ改善の鍵は、「骨盤底筋を鍛える」ことと、その土台である「骨盤の傾きを整える」ことの二本柱です。骨盤が正しい位置にあることで、骨盤底筋は最も効率よく機能します。ここでは、その2つを連動させた効果的なトレーニングをご紹介します。

ステップ1:骨盤の傾きをコントロールする(骨盤後傾運動)

まずは骨盤を意識的に動かす練習から始めましょう。これにより、反り腰をリセットし、骨盤底筋が働きやすい状態を作ります。

  1. 仰向けに寝て、両膝を立てます。腰と床の間には、手のひら一枚が入るくらいの自然なすき間があります。これがニュートラルな位置です。
  2. 息をゆっくりと「ふーっ」と吐きながら、おへそを覗き込むように意識し、腰を床にじわっと押し付けていきます。腰と床のすき間がなくなり、骨盤が後ろに傾く(後傾)のを感じましょう。
  3. 息を吸いながら、ゆっくりと元のニュートラルな位置に戻ります。
  4. この骨盤を前後にゆっくり揺らす動きを10回ほど繰り返します。

ステップ2:骨盤後傾+骨盤底筋トレーニング

次に、ステップ1の動きに骨盤底筋を締める動きを連動させます。

骨盤後傾運動
  1. 仰向けに寝て、膝を立てたニュートラルな状態からスタートします。
  2. 息をゆっくり吐きながら、腰を床に押し付けて骨盤を後傾させます。
  3. それと同時に、膣と肛門をキュッと締め、体の中に引き上げるようなイメージで骨盤底筋を収縮させます。
  4. その状態を5秒間キープします。この時、お腹やお尻に余計な力が入らないように意識するのがポイントです。
  5. 息を吸いながら、10秒かけてゆっくりと全身の力を抜き、ニュートラルな位置に戻ります。
  6. これを10回繰り返すのを1セットとし、1日に2~3セット行いましょう。

まとめ

尿漏れは、決して恥ずかしいことでも、年齢のせいだと諦めなければならないことでもありません。骨盤底筋は、トレーニングによって何歳からでも機能を回復させることができる筋肉です。正しいトレーニングを毎日コツコツと続けることで、多くの場合、2~3ヶ月で効果を実感し始めます。「ヒヤッ」とする不安のない、快適で活動的な毎日を取り戻すために、今日から「1日5分の貯筋」を始めてみませんか。

参考論文

  • Dumoulin C, Hay-Smith J. Pelvic floor muscle training versus no treatment, or inactive control treatments, for urinary incontinence in women. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2010;(1).
  • Thüroff JW, et al. EAU guidelines on urinary incontinence. Actas Urológicas Españolas (English Edition). 2011;35(7):373-388.
  • Boyle R, Hay-Smith EJ, Cody JD, Mørkved S. Pelvic floor muscle training for prevention and treatment of urinary and faecal incontinence in antenatal and postnatal women. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2012;(10).

JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。

このコラムを書いた人

理学療法士
瀬尾 真矢

患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

得意分野

変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)

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