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2025年1月30日

ストレッチ時間の違い〜若年者 vs. 高齢者

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!

ストレッチは筋肉や腱、関節を動かしやすくし、ケガ予防や柔軟性の向上に役立つ方法として、多くの方に取り入れられています。しかし、同じストレッチでも、「若年者」と「高齢者」では効果を実感できるまでの時間や必要な回数に大きな差があることをご存じでしょうか?本記事では、若年者と高齢者それぞれでどのようにストレッチ時間が異なり、その背景にはどのような生理学的な理由があるのかを解説します。ストレッチの効果を高めるポイントを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

両者の違い

  1. ストレッチを行ってから柔軟性が向上するまでの時間
    ・若年者: 比較的短い保持時間(20〜30秒程度)のストレッチでも可動域が向上しやすい傾向があります。
    ・高齢者: 同等の可動域改善を得るためには、60秒以上の保持が必要になるケースが多いと報告さ
    れています。
  2. 効果を実感するまでの回数・頻度
    ・若年者: 週2〜3回程度のストレッチでも柔軟性が改善しやすいです。
    ・高齢者: 毎日あるいは週4回以上ストレッチを行わないと、十分な効果が出にくいことがありま
     す。
  3. 可動域の変化の程度
    ・高齢者は加齢に伴う筋力低下やバランス能力の低下が生じやすいため、可動域が大きく変化しても日常生活への反映が若年者ほど明確に感じられない場合があります。

なぜ異なるのか?

  1. 筋肉・腱の弾力性の違い
    ・加齢に伴い、筋肉や腱に含まれるコラーゲン組織が硬くなり、水分含有量が減少するため、若年者の組織に比べ伸張性や弾力性が低下しています。
    ・結果として、高齢者ではストレッチによる柔軟性向上に時間がかかる傾向があります。
  2. 神経反射機構の変化
    ・高齢者では神経系の反応速度が遅れやすいといわれています。
    ・筋紡錘やゴルジ腱器官など、筋肉の伸び・収縮を感知する受容器の働きが低下すると、ストレッチによる即時の可動域向上が得にくくなります。
  3. 筋温や血流量の違い
    ・高齢者は基礎代謝や血流量が減少し、筋温も上がりにくいのが一般的です。
    ・筋温が低いままだと組織が硬く、同じストレッチをしても効果が現れにくい状況になります。
  4. 身体活動レベルの差
    ・若年者は通常、運動量や活動量が比較的多く、筋・腱・関節への血流も高い水準を維持しやすいです。
    ・高齢者は運動不足が続くと筋力や柔軟性が低下し、組織が硬くなるため、ストレッチ後の変化を実感するまでに時間がかかることがあります。

まとめ

若年者と高齢者では、ストレッチによって柔軟性が向上するまでの時間や頻度に明らかな違いがあります。これは、加齢に伴う筋・腱の硬化や神経反射機構の変化、身体活動レベルの差などが複合的に影響しているためです。

  • 高齢者の方は、ストレッチ時間をやや長めに設定(60秒以上など)したり、ウォーミングアップや軽い運動で身体を温めてから行うなど工夫するのがおすすめです。
  • 一方、若年者も短時間で可動域が向上しやすいからといって、極端に短く済ませるのではなく、適切な時間をかけて安全かつ効率よく柔軟性を高めていくことが望ましいでしょう。

年齢や健康状態、日頃の運動習慣に応じてストレッチのやり方・時間を調整し、自分に合った方法で継続していくことで、ケガ予防や運動能力の維持・向上につながります。

参考論文

  1. Feland JB, Myrer JW, Schulthies SS, Fellingham GW, Meason G. (2001). The effect of duration of stretching of the hamstring muscle group for increasing range of motion in people aged 65 years or older. Physical Therapy, 81(5), 1110-1117.
  2. Power GA, Dalton BH, Rice CL. (2013). Human neuromuscular structure and function in old age: A brief review. Journal of Sport and Health Science, 2(4), 215-226.
  3. Behm DG, Blazevich AJ, Kay AD, McHugh M. (2016). Acute effects of muscle stretching on physical performance, range of motion, and injury incidence in healthy active individuals: A systematic review. Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism, 41(1), 1-11.
  4. Narici MV, Maffulli N. (2010). Sarcopenia: Characteristics, mechanisms and functional significance. British Medical Bulletin, 95(1), 139-159.
  5. Rubini EC, Costa AL, Gomes PS. (2007). The effects of stretching on strength performance. Sports Medicine, 37(3), 213-224.

\ ストレッチを継続して、健康的な身体を目指しましょう! /
こちらの内容が皆さまの柔軟性向上やケガ予防にお役立ていただければ幸いです。もし気になる点がありましたら、ぜひ医療機関や専門家にご相談ください。

JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。

このコラムを書いた人

理学療法士
瀬尾 真矢

患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

得意分野

変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)

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