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コラム

Column

2025年5月20日

エコーガイド下注射とハイドロリリースの可能性― 加齢による関節痛に悩む方へ届ける低侵襲治療の最前線

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!

「階段の上り下りで膝がガクッと力が抜ける」「朝起きると腰が重くて動きづらい」
60代を過ぎると、こうした体の不調が日常的になりがちです。

従来の治療では「痛み止めの注射を打ってもあまり効果がわからない」「注射を続けても根本改善しない」と悩む方が少なくありません。そんな中、痛みの原因をピンポイントで治療する新たな選択肢が注目されています。

痛みの原因を”見える化”するエコーガイド下注射

超音波画像診断装置(エコー)を使った注射療法では、神経や腱の状態をリアルタイムで確認しながら治療が可能です。従来の「手探り注射」と異なり、血管損傷リスクが約67%低減され、薬剤を確実に患部へ届けられる点が特徴です。

特に変形性膝関節症では、HYADD4という特殊なヒアルロン酸を正確に注入することで、12ヶ月後も歩行機能の改善が維持されたという報告もあります。

筋膜の癒着を解消するハイドロリリースの効果

筋肉を包む「筋膜」の癒着が痛みの原因となる場合、生理食塩水を注入して剥離する「ハイドロリリース」が有効です。

急性腰痛患者75名を対象とした研究では、治療5分後に疼痛スコアが7.19から2.85へと改善し、効果の持続期間が従来療法の約2.3倍に達したと報告されています。

また、肩の可動域制限がある患者に対しては、1回の治療で外旋角度が平均7.1度改善したとのデータもあります。

最近流行り? ハイドロリリースって何?

治療選択のポイントと受診の目安

以下のような症状が2週間以上続く場合は、治療を検討する目安となります:

  • 就寝中に疼くような痛みで目が覚める
  • 椅子から立ち上がる際に手すりが必要
  • 洋服の着脱で肩が90度以上上がらない

治療後は、週2回の水中ウォーキング(水深胸元)や、タオルを使った関節可動域訓練が再発予防に有効です。ただし、痛みが増す場合は直ちに中止し、主治医に相談してください。

まとめ

体の痛みと「付き合う」のではなく、原因に直接アプローチする時代が来ています。

エコーガイド下注射やハイドロリリースは保険適用も可能で、80歳以上の方でも平均15分程度の治療で受けられることが特徴です。「年だから仕方ない」と諦める前に、一度、超音波診断を受けてみませんか?

あなたの「動ける体」を取り戻す第一歩になるかもしれません。

参考論文

  1. Meehan, Richard T et al.  Journal of clinical medicine vol. 12,17 5541. 25 Aug. 2023, doi:10.3390/jcm12175541
  2. Kanamoto, Hirohito et al. Journal of ultrasound in medicine. vol. 40,5 (2021): 981-987. doi:10.1002/jum.15473
  3. Kimura, Hiroaki et al. Scientific reports vol. 12,1 19782. 17 Nov. 2022, doi:10.1038/s41598-022-23362-y
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