コラム
Column
その膝の痛み、お尻の硬さが原因かも?腰・股関節・膝をつなぐ「痛みの連鎖」を断ち切る方法

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「膝が痛くてマッサージや湿布を試しているのに、一向に良くならない…」
「お尻から足にかけて、坐骨神経痛のようなしびれや痛みがある…」
そんなお悩みはありませんか?実は、膝や足に現れるつらい症状の根本的な原因が、全く別の場所、つまり「お尻の筋肉の硬さ」に隠れているケースは少なくありません。
今回は、体がつながっているからこそ起こる「痛みの連鎖」について、そしてその連鎖を断ち切るための鍵となるお尻のケアについて、専門家の視点から解説します。
なぜお尻が硬いと「膝」が痛くなるのか?
体は骨や筋肉、関節が連動して動く「運動連鎖」という仕組みを持っています。どこか一つの動きが悪くなると、他の部分がそれをかばおうとして無理が生じ、痛みに繋がるのです。
お尻の筋肉が硬くなると、股関節の動きがスムーズでなくなります。特に、歩いたり階段を上り下りしたりする際に、股関節が正しく使えないと、その下の膝関節に「ねじれ」のストレスが加わってしまいます。
この膝のねじれが、関節の軟骨をすり減らしたり、周囲の靭帯に炎症を起こしたりして、痛みを引き起こすのです。膝自体には問題がないのに、お尻の硬さが原因で膝に負担がかかり続けている、というわけです。
坐骨神経痛と間違われやすい「梨状筋症候群」
お尻の奥深くには「梨状筋(りじょうきん)」という筋肉があります。そして、足へ向かう太い神経である「坐骨神経」は、この梨状筋のすぐ下を通っています。

デスクワークなどで長時間座りっぱなしの状態が続くと、この梨状筋が硬くなり、すぐ下にある坐骨神経を圧迫してしまうことがあります。これが「梨状筋症候群」です。
症状としては、お尻の痛みや、太ももの裏から足先にかけてのしびれ・痛みなどが現れ、腰椎椎間板ヘルニアなどによる坐骨神経痛と非常によく似ています。腰の検査では異常が見つからないのに足にしびれがある場合、この梨状筋症候群が疑われます。
痛みの連鎖を断ち切る!お尻のセルフケア
膝や足の負担を根本から解消するには、原因となっているお尻の筋肉を柔軟に保つことが不可欠です。痛みを感じない範囲で、ゆっくりと行いましょう。
基本のお尻ストレッチ(大殿筋、梨状筋ストレッチ)
- 椅子に浅めに座り、背筋を伸ばします。
- 片方の足首を、反対側の膝の上に乗せます。数字の「4」のような形になります。
- 背中が丸まらないように意識しながら、ゆっくりと体を前に倒していきます。
- お尻の筋肉が心地よく伸びるのを感じる位置で、20〜30秒間キープします。
- ゆっくりと体を起こし、反対側の足も同様に行います。
当院での専門的な治療
足のしびれや痛みが日常生活の妨げになっている場合は、我慢せずに専門医にご相談ください。
- 診断と薬物療法: MRIなどの画像検査で神経の圧迫されている部位や程度を正確に診断します。まずは、神経の血流を改善する薬や、痛みを和らげる薬を処方します。
- ハイドロリリース注射: 痛みの原因となっている神経の周りに、生理食塩水を注射する治療です。神経の興奮を抑え、血流を改善することで、つらい痛みやしびれを効果的に和らげます。
- 理学療法: 理学療法士が、腹筋や背筋のバランスを整える運動や、股関節周りの柔軟性を高めるストレッチなどを指導し、腰への負担を減らす体づくりをサポートします。
まとめ:離れた場所の痛みこそ、体の中心「お尻」を見直そう
膝の痛み、足のしびれ。つらい症状が出ている場所だけに着目しても、なかなか改善しないことがあります。そんな時こそ、少し視野を広げて、痛みの根本原因を探ることが大切です。
特に、体の中心に位置する「お尻」は、姿勢や動作の土台となる重要な部分です。お尻の柔軟性を取り戻すことが、長年悩まされてきた「痛みの連鎖」を断ち切る第一歩になるかもしれません。
セルフケアを続けても症状が改善しない場合や、痛みが強い場合は、他の原因が隠れている可能性もあります。我慢せずに、ぜひ一度専門医にご相談ください。
つらい膝の痛みや足のしびれでお悩みの方は、お気軽に当院へご相談ください。
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)