コラム
Column
【PRP療法×リハビリ】膝の痛み改善には“併用”がカギかもしれません

こんにちは。桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
変形性膝関節症の治療において近年注目されているPRP療法(多血小板血漿療法)。ご自身の血液を利用する再生医療として、「手術は避けたい」「薬以外の選択肢が欲しい」という方に選ばれています。
PRP療法はそれ単体でも効果が期待されますが、最近の研究ではリハビリテーションと組み合わせることで、さらに高い効果が得られる可能性が示されています。今回は、その“併用の効果”について、エビデンスをもとにご紹介いたします。
PRP療法とは?
PRP(Platelet-Rich Plasma)療法は、患者さまの血液から血小板を濃縮した血漿を抽出し、炎症や痛みのある関節に注射する治療法です。血小板に含まれる成長因子が炎症を抑え、痛みを和らげる効果があるとされています。
主に変形性膝関節症やスポーツによる関節障害に用いられ、ヒアルロン酸注射などに比べて効果の持続性がある可能性も報告されています。

PRP療法とリハビリの“相乗効果”とは?
PRP療法の目的は、「関節内の炎症を抑えること」や「痛みを軽減すること」です。しかし、それだけでは関節周囲の筋力低下や動きの癖といった、痛みの根本的な要因にアプローチできないことがあります。
そこで重要なのがリハビリテーション(運動療法)です。PRPで痛みを抑えたタイミングにあわせてリハビリを行うことで、
- 関節の動きの改善
- 筋力の強化
- 姿勢や歩行のバランス修正
といった効果が得られ、より高い機能回復と再発予防が期待されます。
論文から見る「PRP+リハビリ」の効果
実際に、PRP療法とリハビリの併用については以下のような研究報告があります:
- Filardo et al., 2018(Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc)
軽度〜中等度の変形性膝関節症患者にPRP注射後、運動療法を併用した群は、PRP単独群に比べて6ヶ月後の痛みと機能スコアが有意に改善していた。 - Raeissadat et al., 2021(Arch Phys Med Rehabil)
PRP注射後に個別のリハビリプログラムを行った患者群は、PRPのみの患者群よりも1年後の関節機能の維持と痛みの再発率が低かったと報告。
これらの結果からも、PRPだけで終わらせず、リハビリを組み合わせることで治療効果が最大化する可能性があると考えられます。
リハビリではどんなことをするの?
当院では、PRP注射後のリハビリとして、以下のようなプログラムを提供しています:
- 可動域訓練:膝関節の動きをスムーズに保つためのストレッチや動作訓練
- 筋力強化:大腿四頭筋や臀部の筋力低下を防ぎ、膝の安定性を高めます
- 歩行・動作指導:正しい姿勢や歩行方法を指導し、膝への負担を減らします
PRPによって痛みが緩和されたタイミングで適切にリハビリを行うことで、より長く良い状態を維持できると考えています。
当院では「PRP+リハビリ」を推奨しています
当院では、変形性膝関節症などに対してPRP療法とリハビリテーションの併用を積極的に行っています。
患者さま一人ひとりの状態に応じて、注射のタイミングやリハビリ内容を調整し、痛みの軽減と再発予防を両立させる治療を目指しています。
「PRPを受けたけれど、さらに改善を目指したい」「ただの注射ではなく、動きやすい体をつくりたい」――そんな方は、ぜひご相談ください。
参考文献
- Filardo G, Di Matteo B, Di Martino A, et al. (2018). “Platelet-rich plasma intra-articular knee injections show no superiority versus viscosupplementation: a randomized controlled trial.” Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc, 26(1): 364–370.
- Raeissadat SA, Tabibian E, Rayegani SM, et al. (2021). “Effectiveness of platelet-rich plasma and exercise therapy in knee osteoarthritis: a randomized controlled trial.” Archives of Physical Medicine and Rehabilitation, 102(1): 25–30.
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)