コラム
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【膝に“違和感”がある日の運動?安静?】迷わない判断フローチャート&安全エクササイズ完全ガイド

こんにちは。桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「膝がなんとなく変。でも歩いた方がいい? 休むべき?」——60〜70 代の膝 OA(変形性膝関節症)患者さんが毎日悩むテーマです。本稿では信頼できる公開論文・医療ガイドにもとづき、違和感と痛みの線引き ▶ 判断フローチャート ▶ 運動をすすめる根拠 ▶ 1 日 10 分メニュー ▶ NG 行動をまとめました。
1. “違和感”と“痛み・炎症”の境目
症状 | 特徴 | 推奨行動 |
---|---|---|
違和感 | 張る・重い・軋む/VAS 0–3 | 軽い運動で血流アップ |
急性痛 | 鋭い痛み+腫れ・熱感 | RICE(安静・冷却・圧迫・挙上)で 48–72 h 安静 |
慢性痛 | 鈍痛が続く/朝こわばり併発 | 温熱と低負荷運動を併用 |
※VAS=痛みの強さなどを0-10段階で表す指標
2. 判断フローチャート(30 秒セルフ判定)
- 膝が腫れて熱い→ RICE+安静
- 歩行 10 歩でVAS ≥4→ 安静+医師相談
- 膝屈伸 5 回でVAS ≤3→ 低負荷運動OK
- 迷ったらウォームアップ 5 分後に再判定
3. なぜ“動いた方がいい”のか — 最新エビデンス
- 週 1 回以上の散歩習慣がある人は、新規膝痛リスクが有意に低い(OAI コホート解析)。
- 12 週屋外ウォーキングで痛み −18 %、機能 +20 %(Outdoor WALK パイロット RCT)。
- 定期的な運動は IL-6・TNF-α を減少させ、痛みも軽減(運動と炎症メタ解析)。
- 歩数が急増すると一時的に痛みが上昇する相関があるため負荷量コントロールが重要。
- 椅子スクワット主体 8 週で大腿四頭筋 18 % 増・痛みスコア減少(在宅プログラム試験)。
4. 1 日 10 分・安全エクササイズ
- ウォームアップ 2 分:その場足踏み+腕振り
- チェアスクワット:椅子に触れる深さで 10 回×2(膝約 45°)
- ヒール&トウレイズ:かかと→つま先 15 回×2
- ハムストリングスストレッチ:30 秒×2
- クールダウン:膝周りを軽くマッサージ 1 分
※ 運動中・翌日の痛みはVAS 3/10 以下に調整。
5. 違和感を悪化させる NG 行動 TOP3
- 階段ダッシュ:膝関節反力が歩行の約 5 倍。
- 深座りスクワット:痛みがある膝に深屈曲は過負荷の恐れ。
- 長時間座りっぱなし:座位時間が長いほど歩行速度・筋力が低下。
6. よくある Q&A
Q:痛み止め(NSAID)を飲んでからすぐ運動しても良い?
A:鎮痛で感覚が鈍くなるうえ、骨格筋への適応も阻害しやすいため、内服 2 時間後・負荷 8 割が安全とされています。
まとめ
“違和感のみ”で腫れや強い痛みがない場合は、適度な運動が膝痛の予防と機能改善に有効です。
30 秒フローチャートで確認し、1 日 10 分メニューを継続して膝を守りましょう。
参考論文
- Versus Arthritis. Osteoarthritis of the Knee—Exercises, 2021.
- Yale Medicine. “RICE Protocol for Injuries,” 2023.
- Lo, G.H et al. (2022), Association Between Walking for Exercise and Symptomatic and Structural Progression in Individuals With Knee Osteoarthritis: Data From the Osteoarthritis Initiative Cohort. Arthritis Rheumatol, 74: 1660-1667.
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)