コラム
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【膝が伸びきらないとどうなる?】変形性膝関節症と膝伸展制限の関係

こんにちは。桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
変形性膝関節症を患う60〜70代の方の多くが、「膝がまっすぐ伸びない」「立っていると疲れやすい」といった症状を訴えます。
実は、膝が完全に伸びきらない(伸展制限)ことは、膝関節の安定性や筋肉の働きに大きな影響を及ぼし、痛みや疲労感の原因となることがあります。
今回は、膝が伸びきらないことの重要性と、それが引き起こす問題について、国内外の信頼性の高い研究をもとに解説します。
膝が完全に伸びることの重要性
膝関節は、完全に伸びた状態(伸展位)で最も安定します。この状態では、靭帯や関節包が緊張し、関節の安定性が高まります。[1]
しかし、変形性膝関節症の進行により、膝が完全に伸びなくなると、関節の安定性が低下し、筋肉に過度な負担がかかるようになります。
膝が伸びきらないことによる影響
膝の伸展制限があると、以下のような問題が生じます:
- 関節の不安定性:靭帯や関節包による支持が不十分になり、関節が不安定になります。
- 筋肉の過緊張:関節の安定性を補うために、特に大腿四頭筋やハムストリングスが過度に働き、筋肉が硬くなります。
- 痛みの増加:筋肉の過緊張や関節の不安定性により、膝周囲に痛みが生じやすくなります。
- 日常生活への影響:立ち上がりや歩行時に膝が完全に伸びないことで、動作が困難になり、疲労感が増します。
これらの問題は、日常生活の質を低下させる要因となります。
研究から見る膝伸展制限の影響
海外の研究では、変形性膝関節症患者は、健常者と比較して大腿四頭筋やハムストリングスの筋力が低下していることが報告されています。[2]
また、膝の完全な伸展が得られないことにより、膝関節の安定性が低下し、筋肉の働きが制限されることが示されています。
膝の伸展制限を改善するために
膝の伸展制限を改善するためには、以下のようなアプローチが有効です:
- ストレッチング:ハムストリングスやふくらはぎの筋肉を柔軟に保つことで、膝の可動域を広げます。
- 筋力トレーニング:大腿四頭筋の強化により、膝関節の安定性を高めます。
- 物理療法:温熱療法や電気刺激療法を用いて、筋肉の緊張を緩和します。
- 専門家の指導:理学療法士や医師の指導のもと、適切なリハビリテーションを行うことが重要です。
これらの方法を組み合わせることで、膝の伸展制限を改善し、日常生活の質を向上させることが期待できます。
まとめ
膝が完全に伸びることは、関節の安定性や筋肉の働きにとって非常に重要です。変形性膝関節症による膝の伸展制限は、痛みや疲労感の原因となり、日常生活に大きな影響を及ぼします。
適切なリハビリテーションや専門家の指導を受けることで、膝の伸展制限を改善し、快適な生活を取り戻すことが可能です。膝の不調を感じたら、早めに専門医に相談しましょう。
参考文献
- Anatomy and Physiology of Knee Stability – MDPI
- Muscle Impairments in Patients With Knee Osteoarthritis – PMC
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)