コラム
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【膝がポキポキ鳴る…】音のタイプ判定・危険サイン・セルフケア大全

こんにちは。桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
階段を下りるたびに「ポキッ」「コキッ」と鳴る膝――痛みは無くても「大丈夫?」と不安になる方は多いはず。
実は 60〜70 歳代では約6割が膝音を経験すると報告されています。
本コラムでは①音の種類とメカニズム → ②危険サイン判定 → ③科学的セルフケア → ④やってはいけない習慣 → ⑤受診ガイドを網羅的に解説し、“音”と上手に付き合う方法をお届けします。
1. まずは音を聞き分けよう ― 生理的 vs 病的
タイプ | 主原因 | 音の特徴 | 痛み |
---|---|---|---|
① パキッ(カーボネーション) | 関節液の気泡破裂 | 単発・乾いた音 | なし |
② コリコリ(腱スナップ) | 腱・靭帯が骨隆起をはじく | 動作ごと反復 | まれ |
③ ガリガリ(粗造音) | 軟骨摩耗・半月板ささくれ | 持続的・摩擦音 | あり or 伴い始める |
④ ゴリッ(クリック/ロック) | 遊離体・半月板断裂 | 引っ掛かり+動作停止 | あり |
▶ 生理的音(①②)
カーボネーション音の 92%が軟骨病変と無関係と判明。
▶ 病的音(③④)
軟骨欠損 >50% 群の 78%で粗造音を認め、痛みスコアが 1.8 倍。
2. 危険サイン判定チャート
- 音と同時に痛みVAS ≥4/10 → 要受診
- 腫れ・熱感がある → 要受診
- 膝が途中でロックする → 緊急評価(半月板損傷の可能性)
- 音が月単位で増加 → 画像検査推奨
- 上記なし・痛みなし → 日常セルフケアOK
※VAS=痛みなどの値を0−10段階で示す指標
3. 音を減らす3STEPセルフケア(1 日 10 分)
STEP1:筋膜リリース(2 分)
フォームローラーで大腿外側を30 往復 → 腱スナップ低減。
STEP2:ハーフスクワット(45°)10 回×2
大腿四頭筋を左右均等強化。粗造音 −22%。
STEP3:ストレッチ(ハム+腸脛靭帯 各30 秒)
柔軟性↑で摩擦音減少。
4. 音を悪化させるNG習慣
- 深い正座:膝軟骨圧迫+腱スナップ増
- ひざまずき家事:滑膜炎リスク↑
- 片脚荷重立ち:片側軟骨摩耗促進
5. よくある Q&A
Q:自分で「ポキッ」と鳴らしても平気?
A:痛みなく偶発的に鳴るのは問題なし。意図的に強く鳴らすと滑膜炎の恐れがあるため控えましょう。
まとめ
膝の音は“種類”と“同伴症状”で安心か危険かを判断。
痛み・腫れ・ロックが無ければ筋力+柔軟性UPで多くは改善します。
逆に赤信号があれば早期受診が“膝寿命”を延ばす近道です。
参考文献
- Song, S, et al. (2018). Noise around the Knee. Clinics in orthopedic surgery, 10(1)
- Baker, K, et al(2001). The efficacy of home based progressive strength training in older adults with knee osteoarthritis: a randomized controlled trial. The Journal of rheumatology, 28(7), 1655–1665.
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)