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【朝だけ膝が固い!?】こわばりの原因・危険サイン・3 分“朝解きルーティン”完全ガイド

こんにちは。桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「起きた直後は膝が曲げ伸ばししづらい」「歩き出すと少しずつ楽になる」――60〜70 代に多い“朝の膝こわばり”。放置すると転倒や軟骨摩耗を招くこともあります。ここではメカニズム ▶ 最新研究 ▶ 危険度チェック ▶ 3 分ストレッチ ▶ 受診目安まで、公開論文に基づいて解説します。
1. こわばりとは?
- 定義:安静後に生じる関節の動かしにくさで、変形性関節症では30 分以内の短時間が典型と総説が示しています。
- 対象疾患:変形性膝関節症・関節リウマチ・偽痛風など、複数の関節炎で報告。
2. 朝にこわばる 3 大メカニズム
- 滑液循環停滞—夜間は関節液が行き渡らず軟骨潤滑が低下するため動き出しが重くなる。
- 炎症性サイトカイン増—IL-6 は早朝に血中ピークを迎え痛覚を鋭敏化することが生体リズム研究で確認されています。
- 筋・腱の粘性上昇—低温でコラーゲンが硬化し、可動域が一時的に低下する。
3. 最新研究で見る“こわばり ⇔ 痛み”
研究 | 対象 | 主要結果 |
---|---|---|
StatPearls 2023 | レビュー | OA 患者の朝こわばりは<30 分が多数。痛みと並行して悪化。 |
Synovitis–MRI 日女 2020 | 日本人女性 255 名 | MRI で滑膜炎がある膝はこわばり時間が有意に長い。 |
NCBI Bookshelf 2022 | 教科書章 | “こわばり 30 分超なら炎症性疾患を鑑別” と臨床指針に明記。 |
4. 危険度セルフ判定 5 項目
- こわばりが30 分以上続く
- 起床時痛み VAS ≥4/10
- 月 2 回以上膝折れを経験
- 朝食後も腫れ・熱感が残る
- こわばり時間が月単位で延長
2 項目以上で専門医評価を推奨。
※VAS=痛み強さなどを0-10の段階で表す指標
5. 3 分“朝解きルーティン”
ベッドサイドで安全に行えるメニュー
- 足首ポンピング:ふくらはぎポンプで関節液循環を促進—30 回。
- ヒールスライド:膝を 90° まで曲げ戻しをゆっくり 10 回。
- 大腿四頭筋アイソメトリック:5 秒保持 ×10。
- ふくらはぎストレッチ:タオルを使い 20 秒 ×2。
痛みが VAS 3/10 を超えない範囲で実施。エビデンスでは週 5 回・4 週の実践で朝こわばり時間 −22%。
6. プラス α のケア
- 温熱:起床前にホットパック 10 分で関節温 34℃ 目標。
- 睡前 NSAIDs テープ:早朝炎症を抑える。
- ビタミン C+コラーゲン:1 日 5 g で軟骨潤滑因子合成を助ける報告。
7. 受診すべき 3 ケース
- こわばりが1 時間以上続く
- 安静でも腫れ・熱感が残る
- 夜間痛で睡眠障害が発生
これらは炎症性関節炎や偽痛風などの可能性があるため、早期受診が必要です。
まとめ
朝の膝こわばりは滑液循環停滞・炎症性サイトカイン・筋粘性が絡むサイン。
危険度チェック → 3 分ルーティン → 温熱+薬サポートで軽減し、長引く場合は受診しましょう。
参考文献
- Assessment of Pain in OA of the Knee.
- Knee Osteoarthritis. StatPearls, 2023.
- NICE Criteria & Morning Stiffness <30 min Study. BMJ Open, 2021.
- Advanced MRI for Knee OA. PMCID 9818324, 2022.
- Synovitis in Early Knee OA (Japanese Women). Sci Rep, 2020.
- Development of Radiographic Knee OA. BMC Musculoskelet Disord, 2024.
- Circadian IL-6 Peak Study. Clin Exp Rheumatol, 1994.
- Clinician’s Perspective on Imaging in Knee OA. PMCID 10411116, 2023.
- Morning Stiffness Review (ScienceDirect Topics), 2024.
- OA Self-Report & Radiographic Prediction Survey. Healio Rheumatology, 2019.
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)