コラム
Column
【働き世代の腕のしびれ】それ、首の神経が原因かも?ハイドロリリースで長年の悩みを解消

こんにちは、理学療法士の瀬尾です!
「デスクワーク中に腕がだるくなる」「スマホを長時間見ていたら、指先がじんじんする」…。そんな症状に心当たりはありませんか?多くの働き盛りの方が悩むその不調、もしかしたら単なる肩こりではなく、首元で神経が圧迫されることで起こる「胸郭出口症候群」かもしれません。
その不調、首の「斜角筋」が原因かもしれません
私たちの首の横には、「斜角筋(しゃかくきん)」という筋肉があります。この筋肉の間を、腕や手指へ向かう大切な神経の束「腕神経叢(わんしんけいそう)」が通っています。しかし、悪い姿勢やストレスが続くと、この斜角筋が硬くなり、神経の通り道を狭めてしまうのです。
デスクワークやスマホ操作
長時間同じ姿勢でパソコンやスマートフォンに向かっていると、頭が前に突き出た「ストレートネック」や猫背になりがちです。この姿勢は首や肩の筋肉に大きな負担をかけ、斜角筋を硬くする直接的な原因となります。
ストレスと筋肉の緊張
仕事や家庭のストレスは、無意識のうちに体を緊張させ、筋肉をこわばらせます。特に首周りの筋肉はストレスの影響を受けやすく、常に力が入った状態が続くことで血行が悪くなり、硬さが増してしまいます。
運動不足による姿勢の悪化
体を支える筋力が不足すると、正しい姿勢を保つことが難しくなります。特に体幹や肩甲骨周りの筋力が低下すると、姿勢が崩れやすくなり、結果的に首への負担が増大します。
ご自宅でできるセルフケア
症状の緩和や予防のために、まずはご自身でできるケアから始めてみましょう。ただし、痛みが強い場合や、しびれが悪化するようなら無理せず中止してください。
首の横を伸ばす「斜角筋ストレッチ」
- 背筋を伸ばして座り、右手を頭の左側に置きます。
- ゆっくりと頭を右に倒し、首の左側が心地よく伸びるのを感じながら20秒キープします。
- 反対側も同様に行います。
日常生活で気をつけるべきこと
- デスクワーク中は、1時間ごとに立ち上がって軽く体を動かす。
- モニターを目線の高さに調整し、顎を引いた正しい姿勢を意識する。
当院の「ハイドロリリース」という新しい選択肢
セルフケアだけでは改善が難しい場合、当院では「ハイドロリリース」という治療法を提案しています。これは、超音波(エコー)で神経とその周りの組織を直接見ながら、硬くなった筋肉や筋膜の間に薬液を注入する治療法です。
- ピンポイントで原因にアプローチ:超音波で神経と筋肉の状態をリアルタイムで確認するため、原因となっている場所に正確に薬液を届けることができます。
- 神経の滑りを改善:薬液を注入することで、癒着(くっついて動きが悪くなった状態)を剥がし、圧迫されていた神経の滑りを良くします。これにより、痛みやしびれの根本的な改善が期待できます。
- 体への負担が少ない:注射による治療なので、体への負担が少なく、短時間で施術が終わります。
このような症状は早めに受診を
セルフケアを続けても改善しない、または以下のような症状がある場合は、自己判断で放置せず、一度専門医にご相談ください。
- 腕や手のしびれ、痛みが数日以上続いている
- ペットボトルの蓋が開けにくいなど、握力が低下してきた
- 腕を上げる動作(吊り革につかまる、洗濯物を干すなど)で症状が悪化する
まとめ
働き世代の腕のしびれや痛みは、日々の生活習慣に原因が隠れていることが多くあります。しかし、それを放置すると、症状が悪化し仕事や日常生活に大きな支障をきたす可能性もあります。当院のハイドロリリースは、そんなつらい症状に対する新しい選択肢です。まずは原因を正確に突き止めることが、改善への第一歩です。
つらい腕のしびれや痛みでお悩みの方は、我慢せずに一度お気軽に当院へご相談ください。
参照論文
- Evers, S., Thoreson, A. R., Smith, J., & Zhao, C. (2018). A systematic review of ultrasound-guided hydrodissection for peripheral nerve entrapment. Frontiers in Neurology, 9, 887.
- Cass, S. P. (2016). Ultrasound-guided nerve hydrodissection: what is it? A review of the literature. Current sports medicine reports, 15(1), 20-22.
- Korn-Rader, I., & Vlassakov, K. (2023). Ultrasound-guided hydrodissection of peripheral nerves and fascia. Best Practice & Research Clinical Anaesthesiology, 37(3), 359-370.
- Wu, Y. T., Ho, T. Y., Chou, Y. C., Ke, M. J., Li, T. Y., & Chen, L. C. (2022). Ultrasound-guided hydrodissection for carpal tunnel syndrome: A systematic review and meta-analysis. Pain and Therapy, 11(2), 635-652.
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)