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コラム

Column

2025年5月13日

「五十肩」とは本当に“自然に治る”のか?─ 最新ガイドラインで示された回復期間と再発率

こんにちは。桃谷うすい整形外科の瀬尾です!

今回は、「放っておけばそのうち治る」と言われがちな五十肩。しかし、夜中に痛みで目が覚め腕を抱え込む、上着を脱ぐときに肩が引っかかって出勤前から憂うつになる。
そんな経験はありませんか?
五十肩(肩関節周囲炎)は“加齢の通過儀礼”ではなく、放置すれば18〜30か月もの長期にわたり日常生活に支障を来す疾患です。

五十肩は本当に自然治癒するのか?

最新の国際レビューでは、約80%の患者が最終的に「ほぼ正常可動域」まで回復しますが、10〜20%には固さや疼痛が残ると報告されています。糖尿病や甲状腺疾患などの併存症があると経過はさらに遅れます。

発症から回復までの3フェーズ

  • 炎症(凍結前)期:2〜9か月 ― 夜間痛が顕著
  • 拘縮(凍結)期:4〜12か月 ― 痛みは軽減し可動域制限が主体
  • 回復(解凍)期:6〜12か月 ― 徐々に可動域が戻る

つまり“自然に治る”としても最長で約3年を要するケースがあり、その間のQOL低下は小さくありません。

ガイドラインが示す回復期間と治療勧告

  • 国際理学療法士会(JOSPT)臨床ガイドライン:早期からの段階的ストレッチ+物理療法を強く推奨
  • 日本整形外科学会ガイドライン:炎症期には関節内ステロイド注射を併用し、症状が落ち着いたら運動療法へ移行
  • 最新ランダム化試験(2024年):経過観察のみと早期理学療法を比較し、1年後の機能差は小さいが理学療法群は回復開始時期が平均3か月早い

再発率はどのくらい?

自然経過後の再発はまれですが、手術後で約11%ハイドロリリース後で16〜33%と報告されています。

  • リスク因子:糖尿病、甲状腺疾患、女性、60歳以上、不十分なホームエクササイズ
  • 再発抑制策:可動域維持運動の継続、代謝性疾患のコントロール、早期フォローアップ

当院の強み ― 回復を早める3つのアプローチ

  1. 超音波診断+エコーガイド下注射:微細な滑膜炎を可視化し、ピンポイントで薬液を投与
  2. フェーズ別リハビリ:疼痛期は神経ブロック・物理療法、拘縮期以降は関節モビライゼーション
  3. 生活動作コーチング:デスクワーク姿勢改善、夜間痛を軽減する就寝ポジション指導

早期受診をおすすめするサイン

  • 2週間以上続く夜間痛で睡眠が妨げられる
  • 外旋(肘を脇に付けたまま外へ開く動き)が反対側の70%未満
  • 服の着脱や髪を結ぶ動作で痛みが強い
  • 糖尿病・甲状腺疾患など基礎疾患がある

これらに該当する場合は、お早めにご相談ください。当院では初診時に超音波検査を行い、その日のうちに診断と治療方針をご提示します。

まとめ

五十肩は自然治癒するケースが多いものの、完治まで18〜30か月、再発や残存障害が1〜3割に生じることが最新エビデンスで示されています。
「いつか治るだろう」ではなく、痛みと可動域制限が強い炎症期からの適切な介入が回復を早め、再発を減らす鍵です。
「最近肩が動かしづらい」「夜間痛で眠れない」という方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。

参考論文

  • StatPearls. Adhesive Capsulitis. 2025.
  • Li X, et al. Adhesive Capsulitis of the Shoulder: Review of Pathophysiology & Outcomes. 2017.
  • British Elbow and Shoulder Society. Frozen Shoulder Pathway. 2025.
  • JOSPT Clinical Practice Guideline: Adhesive Capsulitis. 2013.
  • Systematic Review of Hydrodilatation for Adhesive Capsulitis. 2023.
  • Conservative Treatment Outcomes in Frozen Shoulder. 2018.

JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。

このコラムを書いた人

理学療法士
瀬尾 真矢

患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

得意分野

変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)

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