コラム
Column
【膝のお皿って動くの?】膝蓋骨の動きと変形性膝関節症の関係

こんにちは。桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「膝のお皿って、動くんですか?」という質問を患者さんから受けることがあります。
答えは「はい、動きます」。膝蓋骨(お皿の骨)は、膝の曲げ伸ばしに伴って様々な方向に動いており、この動きが制限されると膝の痛みや機能低下の原因になることが知られています。
特に変形性膝関節症をお持ちの60代〜70代の方には、知っておいてほしい内容です。
膝蓋骨はどのように動くのか?
膝蓋骨は、大腿骨の前に位置し、その裏側で大腿骨の滑車溝(トロクリア溝)と接しています。
膝を曲げ伸ばしする動作の中で、膝蓋骨は次のように動きます:
- 上方・下方への移動(膝を曲げると下がり、伸ばすと上がる)
- 内側・外側への微細な移動
- 傾き(ティルト)や回旋(ローテーション)
これらの動きが正常であることで、膝関節全体の動作がスムーズに行われ、痛みを防ぐ役割を果たしています。
膝蓋骨の動きが悪くなるとどうなる?
膝蓋骨の動きが硬くなったり偏った動きをすると、次のような問題が起こりやすくなります:
- 膝蓋大腿関節症(Patellofemoral OA)の発症リスクが上がる
- 膝の前側の痛み(階段昇降や立ち上がり動作で特に感じやすい)
- 可動域制限(膝がしっかり曲がらない・伸びない)
- 大腿四頭筋の筋力低下(膝のお皿が正しく動かないと、筋肉も使いづらくなります)
特に変形性膝関節症の進行によって、膝蓋骨の動きは制限されやすいことが報告されています。
膝蓋骨の動きを保つためにできること
膝のお皿の動きが硬くなることを防ぐには、以下の方法が効果的です:
- 大腿四頭筋ストレッチ:太ももの筋肉の柔軟性を保ち、膝蓋骨の滑走を助けます
- 手でお皿を動かすモビリゼーション:無理のない範囲で上下左右に軽く動かす
- 筋力トレーニング:特に内側広筋(内側の太もも)を意識するとバランスが整います
- 温めて血流を促進:冷えが原因で動きが悪くなる方も多いため、保温も重要です
症状がある場合は、理学療法士や医師の指導のもとで行うことが大切です。
まとめ
膝のお皿(膝蓋骨)は、膝の動きを助ける大切な役割を担っています。その動きが制限されると、膝の痛みや機能低下につながり、変形性膝関節症の進行リスクも高まります。
「最近、膝が伸びにくい・曲げにくい」「階段で膝が痛む」という方は、膝蓋骨の動きにも注目してみてください。
当院では、膝の動きを評価し、状態に合わせたリハビリやアドバイスを行っています。お気軽にご相談ください。
参考文献
- Fulkerson JP. (2002). “Diagnosis and treatment of patients with patellofemoral pain.” Am J Sports Med, 30(3):447–456.
- Powers CM. (2010). “The influence of abnormal hip mechanics on knee injury: a biomechanical perspective.” J Orthop Sports Phys Ther, 40(2):42–51.
- Farrokhi S, et al. (2012). “Alterations in patellofemoral joint mechanics associated with development and progression of patellofemoral osteoarthritis.” Osteoarthritis Cartilage, 20(8): 922–929.
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)