脊柱側弯(側弯症)
脊柱側弯(側弯症)
脊柱側弯(側弯症)とは
脊椎が繋がって柱状になった状態を脊柱と表現します。脊柱の生理的弯曲は、10度未満が正常範囲です。脊柱側弯とは、立位正面レントゲン写真で10度以上の側方弯曲のことを言います。
病因としては特発生側弯症が70%占め、そのほかには先天性側弯、神経原生側弯などがあります。特発生側弯症の中でも思春期特発生側弯症が85%を占めます。本項は、一番割合の多い特発性側弯症についてになります。
脊柱側弯(側弯症)の原因
特発性という名の通り、原因がはっきりしません。
脊柱側弯(側弯症)の症状
側弯に起因する症状として、肋骨隆起などによる外見上の非対称とそれによる精神的ストレス、腰背部痛があります。40度程度までの思春期特発性側弯の場合は弯曲の症状はない場合が多いですが、60度を超える側弯では呼吸機能障害が発生します。また、痛みは鋭い痛みでなく、凝りや鈍痛が特徴的です。
脊柱側弯(側弯症)の検査
身体診察では、外観上の側弯を確認すること、前屈位での肋骨隆起を確認します。(図)
図:
A.検診などで外観から側弯をチェックする方法
B.前屈位で肋骨隆起をチェックする方法
C.典型的な背部の肋骨隆起
出典:中井 定明ら : 脊柱変形(側弯・後弯) . 小児科診療 9号(101), 2006
奥住 成晴 : 脊柱側弯 . MB Orthop . 25(9) : 9-16, 2012
また、レントゲン撮影によって、側弯の角度を計測します。(側弯の計測にはCobb角度を使用)
脊柱側弯(側弯症)の治療
治療方法は以下の3つに分類されます。
- 整形外科の専門医による定期的な経過観察
- 側弯矯正装具による保存治療
20度を超える発育期の進行例に対して適応になります。 - 手術治療
50度を超える弯曲では、弯曲に伴う症状が出現する確率が高くなる点、装具療法では進行を押さえにくい点から手術を検討します。
思春期特発性側弯の手術至適な年齢は、発育終了頃の14-17歳と言われています。
10歳未満の方に手術を行うと、その範囲の発育が進行しなくなることによる身長の影響や、変形性の再出現が問題となるからです。
図:側弯矯正装具
出典:中井 定明ら : 脊柱変形(側弯・後弯) . 小児科診療 9号(101), 2006
奥住 成晴 : 脊柱側弯 . MB Orthop . 25(9) : 9-16, 2012
参考文献
Sharma,S. Gao,X. Londono,D.,et al: Genome-wide association studies of adolescent idiopathic scoliosis suggest candidate susceptibility genes. Hum Mol Genet. 2011 Apr 1 ; 20 (7) : 1456-1466,Epub 2011 Jan 7.
Takahashi,Y. Kou,I. Takahashi A.,et al.: A genome-wide association study identifies common variants near LBXI associated with adolescent idiopathic scoliosis. Nat Genet. 2011 Oct 23 : 43(12) : 1237-1240, doi : 10. 1038/ng.974.
中井 定明ら : 脊柱変形(側弯・後弯) . 小児科診療 9号(101), 2006
奥住 成晴 : 脊柱側弯 . MB Orthop . 25(9): 9-16, 2012