舟状骨骨折
舟状骨骨折
舟状骨骨折とは
前腕の骨(橈骨と尺骨)と指の骨(中手骨から指の先端にかけての骨)の間には、手の根本の部分を構成する骨たちが存在し、文字通り「手根骨」と呼ばれています。
手根骨は全部で8個の骨が寄り集まってできていて、舟状骨はその中でも橈骨のすぐ上に接している親指側の骨です(図)。船のような形をしていることから、このように呼ばれています。
(図) 舟状骨の位置
出典:山村 祐司ら : 舟状骨骨折 整形外科看護 Vol.25 No.7, 2020.
舟状骨骨折の原因
転倒したり、スポーツや交通事故で手掌を強くついてしまったりした際に生じます。
手関節の運動時痛のほか、「解剖学的嗅ぎたばこ入れ(親指を反らせたときに2つの腱に挟まれて親指の付け根にできるくぼみのこと(図)」に圧痛があることが特徴的です。
(図) 解剖学的嗅ぎたばこ入れ
出典:山村 祐司ら : 舟状骨骨折 整形外科看護 Vol.25 No.7, 2020.
舟状骨骨折の症状
手関節の疼痛を認めます。
舟状骨骨折の検査
臨床症状(手関節の疼痛)に加えて、レントゲン(舟状骨撮影)によって診断します。
非常に見逃しやすい骨折と言われており、CTやMRIを追加する必要があります。
舟状骨骨折の治療
舟状骨は血行が悪く、骨折の癒合が遅れることが多く、また骨片が壊死(腐ってしまう)に陥ることもあります。そのため、保存治療はギプスなどによる固定を8-12週間行っています。
しかし、これだけ長期間の固定を行っても骨癒合が得られにくく、高齢者ではその間に筋力が低下して手首が硬くなってしまい、ギプスが取れた後も長い間リハビリテーションが必要になることから、最近では手術を行うことが多くなってきました(図)。
(図)舟状骨骨折に対する手術(スクリュー固定)
出典:山村 祐司ら : 舟状骨骨折 整形外科看護 Vol.25 No.7, 2020.
参考文献
山村 祐司ら : 舟状骨骨折 整形外科看護 Vol.25 No.7, 2020.