肘内障
肘内障
肘内障とは
幼児における橈骨頭の橈骨輪状靭帯からの亜脱臼した状態のことを言います。(図)
図のように、橈骨頭は、橈骨輪状靭帯により固定されており、近位橈尺関節を形成しています。
幼児期の橈骨頭は形態がまだ成長しきっておらず、橈骨輪状靭帯も脆弱です。
そのため、腕が牽引されることや、肘が下敷きになること(寝返り動作)により、橈骨輪状靭帯の遠位に橈骨頭の一部が亜脱臼して発症します。
肘内障の原因
転倒しそうになった小児の手を親が引っ張って生じるケースが多く、ほとんどが6歳以下の小児に起こります。
肘内障の症状
- 肘関節の疼痛
- 痛い方の腕は挙上できない
- 肘関節は軽度屈曲位、前腕は回内位で自分で動かせない(図)
出典:沼口 京介ら : 肘内障 整形外科看護 Vol.26 No.11, 2021.
肘内障の検査
上記症状に加えて、レントゲン検査にて骨折を除外します。
また、必要に応じて超音波検査を行います。
肘内障の治療
徒手整復を行います。
当院での治療方針
徒手整復を行います。整復後されてもまだ泣いていたり、機嫌が悪いままであったりしますので、10-15分間ほど待合室で待機して頂きます。
自発的に上肢を挙上したり、バンザイができれば帰宅可能とします。
一方、整復が上手くいかない場合、1日間シーネ(取り外し可能なギプス)を用いて安静固定します。翌日再受診して頂き、再度整復を試みます。(待機期間中に自然整復することもあります。)
参考文献
原隆久:“肘内障”.カラー写真でみる!骨折・脱臼・捻挫.第 2 版.内田淳正ほか編.東京,羊土社,2016,77- 8.
伊藤陽一:“肘内障”.病気がみえる vol. 11 運動器・整形外科.医療情報科学研究所編.東京,メディックメディ ア,2018,342p.
麻生邦一:小児肘周辺骨折の診断.日小整外会 誌2005;14:150-153.
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