コラム
Column
「階段・歩くのが痛い」変形性膝関節症・股関節症。自分の血液で組織を修復するPRP療法
こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
こんな悩みはありませんか?
- 「階段の上り下りで膝が痛くて、日常生活がつらい」
- 「股関節の痛みで、長時間歩くことができない」
- 「立ち上がる時に膝や股関節に痛みが走る」
- 「痛み止めを飲んでも、すぐに痛みが戻ってくる」
- 「リハビリを続けているが、なかなか改善しない」
- 「将来的に人工関節手術が必要と言われたが、手術は避けたい」
このような膝や股関節の痛み、変形性関節症が原因かもしれません。
「痛み止めやリハビリで様子を見るしかない」「いずれ手術が必要」と諦めていませんか?
実は、患者さん自身の血液を使って、組織の修復を促す「PRP療法(多血小板血漿療法)」という治療法があります。手術を避けながら、関節の機能を回復させる可能性を秘めています。
原因解説:変形性膝関節症・股関節症とは
変形性膝関節症・股関節症は、関節軟骨がすり減り、関節内に炎症が生じることで痛みが生じる疾患です。
膝では、O脚やX脚などの変形が進行し、股関節では、股関節の形状異常や加齢による変化が痛みの原因となります。
関節軟骨は、関節の動きを滑らかにし、衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。
この軟骨がすり減ると、骨と骨が直接ぶつかり合い、炎症が生じて痛みが生じます。さらに、炎症が続くことで、軟骨の修復が追いつかなくなり、症状が悪化していきます。

変形性膝関節症・股関節症の進行段階
変形性関節症は、病期によって症状や治療法が異なります。
- 初期:軟骨が少しすり減り始めた状態。立ち上がりや階段で痛みが出ることがある
- 中期:軟骨がさらにすり減り、関節の変形が進行。歩行時にも痛みが出る
- 末期:軟骨が大幅に減少し、骨と骨が直接接触。安静時にも痛みが出ることがある
関節の変形がまだ進行しておらず、軟骨が一定程度残っている場合には、関節を保存しながら治療を行う関節温存治療が適している場合もあります。
一方、関節の変形が進行し、軟骨が大幅に減少している場合や痛みが強い場合、通常は人工関節置換手術が最適な選択肢とされます。
変形性膝関節症・股関節症の主な原因
- 加齢:組織の修復能力の低下、軟骨の変性
- O脚・X脚:膝関節への負荷の偏り
- 股関節の形状異常:先天性や後天性の形状異常
- 使いすぎ:スポーツや仕事による関節への負荷
- 肥満:関節への負荷の増加
- 炎症の慢性化:適切な修復が行われず、炎症が続く状態
セルフチェック:あなたの膝・股関節の痛みはどの段階ですか?
- 階段の上り下りで痛みが出る
- 立ち上がる時に膝や股関節に痛みが走る
- 長時間歩くと痛みが出る
- 正座やあぐらができない(膝の場合)
- 股関節を動かすと痛みが出る(股関節の場合)
- 痛み止めを飲んでも、すぐに痛みが戻ってくる
- リハビリを続けているが、なかなか改善しない
- 将来的に人工関節手術が必要と言われた
これらに当てはまる方は、PRP療法が選択肢となる可能性があります。
ただし、関節の状態によって適応が異なるため、医師に相談することをおすすめします。
解決策:患者さん自身の血液で組織を修復する「PRP療法」
PRP療法(多血小板血漿療法)とは
PRP療法とは、Platelet Rich Plasmaの略で、日本語では多血小板血漿療法と呼ばれています。
これは、患者さん自身の血液から血小板を濃縮し、これを患部に注射する治療法です。

血小板には、組織の修復や再生を促す成長因子が含まれています。PRP療法では、この成長因子を患部に直接届けることで、組織の修復を促す効果が期待できます。

PRP療法が組織を修復する仕組み
- 成長因子の放出:血小板に含まれる成長因子が、組織の修復を促す信号を出します
- 炎症の抑制:関節内の炎症を抑えることで、痛みを軽減します
- 組織の修復:軟骨や周囲の組織の修復を促進します
- 関節機能の回復:関節の動きが滑らかになり、痛みが改善します
PRP療法の手順
- 血液採取:患者さんの血液を10~20ml採取します(通常の採血と同じです)
- 血小板の濃縮:採取した血液を遠心分離して血小板を濃縮します(約15分程度)
- 患部への注入:濃縮した血小板を関節内に注入します(局所麻酔下で行われます)
注入後は、安静を保つようにします。治療時間は約30分程度です。
再生医療のメリットとデメリット
メリット
- 患者自身の細胞を用いるため、拒絶反応のリスクが低い
- 手術や薬物療法に比べて、副作用が少ない
- 関節の機能を回復させることができる
- 関節を保存しながら治療できる(人工関節を使わない治療法)
- 治療時間が短い(約30分程度)
- 日帰りで治療が可能
デメリット
- 効果の実感には個人差がある
- 保険適用外のため、費用が自己負担となる(1回50,000円)
- すべての方に効果があるわけではない
- 関節の変形が進行している場合には適応とならない場合がある
- 効果の持続期間は1~2年程度であり、継続的な治療が必要な場合がある

変形性膝関節症に対するエビデンス
変形性膝関節症に対するPRP療法は、国内外の複数の研究で有効性が報告されています。
国内の報告では、変形性膝関節症の患者さんの約65%が症状の改善を実感したという報告があります。また、海外の研究では、PRP療法により60~70%の患者さんが6~12ヶ月程度の疼痛緩和効果を得られたという報告もあります。
PRP療法は、特に関節の変形が軽度から中等度で、軟骨がある程度残っている段階での治療効果が期待できます。
股関節変形性関節症に対するエビデンス
股関節変形性関節症に対するPRP療法は、現在研究が進められている段階です。
膝関節と比較すると、股関節へのPRP療法に関するエビデンスはまだ限定的であり、効果の一貫性についてはさらなる研究が必要とされています。ただし、一部の症例では疼痛緩和効果が報告されており、今後の研究結果が期待されています。
当院での治療について
当院で実施している再生医療について
※当院では、PRP療法を膝関節と股関節に実施しています。
桃谷うすい整形外科では、膝や股関節の痛みに対して、単なる湿布処方や痛み止めで終わりにはしません。
「なぜ痛みが続いているのか」を考え、超音波(エコー)を用いて関節の状態を詳細に評価し、変形性関節症の病期を判断して、病期に応じた治療を提案します。
全ての治療の根底にあるものは理学療法士によるリハビリテーションを基にした運動療法です。
保存療法で痛みの症状が緩和されない場合は、膝関節や股関節に対する再生医療(PRP療法)が選択肢としてあります。ご自身のPRP(多血小板血漿)を膝関節や股関節に注射することで、炎症を抑える働きを促し、痛みの改善を目指します。
運動療法を実施しながら、薬物療法や再生医療などさまざまな選択肢を検討しトライして行くことで、出来るだけ手術治療を避けられると考えております。
切らない治療で、膝や股関節の機能を回復させましょう。
費用について
PRP治療 1回 50,000円
こんな症状があれば必ず受診を
以下のような症状がある場合は、早めに医師に相談してください
- 階段の上り下りで膝が痛む
- 立ち上がる時に膝や股関節に痛みが走る
- 長時間歩くと痛みが出る
- 膝や股関節の痛みが3ヶ月以上続いている
- 保存療法を試したが効果が感じられない
- 膝や股関節の痛みで日常生活に支障をきたしている
- 将来的に人工関節手術が必要と言われたが、手術は避けたい
- 歩行時に痛みが出るが、休むと楽になる
これらの症状がある場合、PRP療法が選択肢となる可能性があります。適切な診断と治療計画を立てるために、一度ご相談ください。
注意事項
PRP療法を受けることができない方
次の条件に該当する方はPRP療法を受けることができませんので、ご注意ください
- がん治療中の方
- 活動性の感染症がある方
- 過去1ヵ月以内に同様の治療を受けたことのある方
- 重篤な合併症を抱えている方(心疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、出血傾向、コントロール不良な糖尿病や高血圧症など)
- 薬剤に過敏症の既往歴がある方
- 血小板機能異常や血小板数が著しく少ない方
- その他、担当医が治療が不適当と判断した方
※がん治療中の方が禁忌とされる理由
PRP療法自体が腫瘍を発生させるという科学的根拠はありません。しかし、PRPに含まれる成長因子が既存の腫瘍細胞を刺激する可能性が理論的に考えられるため、予防的措置として、がん治療中の方は治療を受けることができません。
副作用やリスク
PRP療法は患者さん自身の血液を使用するため、比較的安全な治療法とされていますが、以下のような副作用やリスクが報告されています
- 注射部位の痛みや腫れ:注射後数日間続くことがあります
- 関節の一時的な炎症:治療後に痛みが一時的に増すことがあります
- 感染症:注射による感染のリスクはまれですが、完全には否定できません
- アレルギー反応:自己血液を使用するため、アレルギー反応のリスクは低いですが、ゼロではありません
これらの副作用の多くは軽度で一時的なものです。重篤な副作用が生じた場合は、速やかに当院にご連絡ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療相談には代わりません。
具体的な治療方針については、当院の医師にご相談ください。
要約まとめ
- 変形性関節症の進行段階:病期によって症状や治療法が異なります。軟骨が一定程度残っている場合には、関節温存治療が適している場合があります。
- PRP療法の仕組み:患者さん自身の血液から血小板を濃縮し、成長因子を患部に直接届けることで、組織の修復を促します。
- 膝関節への効果:変形性膝関節症に対するPRP療法は、複数の研究で60~70%の患者さんが6~12ヶ月程度の症状改善を実感したと報告されています。
- 股関節への効果:股関節変形性関節症に対するPRP療法は、現在研究が進められている段階であり、今後のエビデンスの蓄積が期待されています。
- 当院での実施内容:当院では、PRP療法を膝関節と股関節にのみ実施しています。
- 運動療法と組み合わせる:全ての治療の根底には理学療法士によるリハビリテーションを基にした運動療法があります。運動療法と再生医療を組み合わせることで、手術を避けられる可能性があります。
運動・ストレッチ
参考文献
- 岡田 拓也. 難治性上腕骨外側上顆炎に対するPRP療法後のMRI変化について. JOSKAS 48(1), p4-5, 2023.
- Suzuki T, et al. Repeated magnetic resonance imaging at six follow-up visits over a 2-year period after platelet-rich plasma injection in patients with lateral epicondylitis. Journal of Shoulder and Elbow Surgery. 2022;31;1581-1587.
- 日本整形外科学会,他,監:上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン 2019.改訂第2版.南江堂,2019,p27-8.
- Nie L, et al. Effectiveness of platelet-rich plasma in the treatment of knee osteoarthritis: a meta-analysis of randomized controlled clinical trials. Orthopaedic Journal of Sports Medicine. 2021;9(3).
- Xiong Y, et al. Efficacy and safety of platelet-rich plasma injections for the treatment of osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in Medicine. 2023;10.
本コラムは最新の医学的エビデンスに基づいて作成しています。再生医療の治療については、個人差がありますので、気になる症状がある方は当院にご相談ください。
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)