コラム
Column
その膝痛、本当に「走りすぎ」だけが原因?エコーで解き明かすランナー膝の正体と、医師・理学療法士による最新アプローチ
こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
マラソンシーズンが到来し、トレーニングに熱が入るランナーも多いのではないでしょうか。しかし、走行距離を伸ばすにつれて、膝の外側にズキズキとした痛みを感じ始める…そんな経験はありませんか?それは、多くのランナーを悩ませる「ランナー膝(腸脛靭帯炎)」かもしれません。一般的には「走りすぎ」が原因と言われますが、実はもっと根深い問題が隠れていることも少なくありません。今回は、その本当の原因と、当院ならではの最新アプローチについて、医師と理学療法士のチームがお話しします。
ランナー膝の本当の原因は?医師と理学療法士、それぞれの視点
ランナー膝の痛みを根本から解決するためには、なぜ痛むのかを多角的に理解することが重要です。当院では、医師と理学療法士が連携し、それぞれの専門的視点から原因を分析します。
医師が解説:膝の外側で何が起きているのか?
医学的には「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」と呼ばれるこの症状は、太ももの外側にある長くて強靭な「腸脛靭帯」が、膝の曲げ伸ばしの際に、膝の外側にある骨の出っ張り(大腿骨外側上顆)と擦れることで炎症を起こし、痛みが生じる状態です。走りすぎによるオーバーユースはもちろん一因ですが、なぜ「あなた」の腸脛靭帯は過剰に擦れてしまうのでしょうか?その答えは、身体の使い方にあることが多いのです。
理学療法士が注目する、隠れた「動きのクセ」
「動きの専門家」である理学療法士は、痛みの背景にある身体全体の「動きのクセ」に注目します。ランナー膝の場合、根本的な原因は膝自体ではなく、実は「股関節」にあるケースが非常に多いのです。
特に問題となるのが、お尻の横にある「中殿筋」という筋肉の弱さです。この筋肉が弱いと、走っている時に着地した足と反対側の骨盤が下に落ち込んでしまいます。身体はこれを補正しようとして、腸脛靭帯を過剰に緊張させてしまい、結果として膝の外側での摩擦が強くなってしまうのです。つまり、膝の痛みは「結果」であり、原因は股関節の不安定性にある、というわけです。ご自身のランニングフォームを動画で撮ってみると、骨盤が左右に揺れているのが分かるかもしれません。
自宅で簡単!ランナー膝リスクのセルフチェック
ご自身の股関節の安定性が十分か、簡単なセルフチェックで確認してみましょう。
- 鏡の前に立ち、片足で立ちます。
- そのまま、ゆっくりと浅くスクワットをします。
この時、以下の2点を確認してください。
- 骨盤の傾き:上げた足側の骨盤が、下に落ちていませんか?
- 膝の向き:軸足の膝が、内側に入っていませんか?(ニーイン)
もしこれらの動きが見られたら、股関節周りの筋力が低下し、ランナー膝のリスクが高まっているサインかもしれません。ただし、これはあくまで簡易的なチェックです。正確な診断のためには専門家にご相談ください。
当院のチームアプローチ:エコーで診断からリハビリまで「見える」安心感
セルフケアで改善しない場合や、正確な原因を知りたい場合は、専門家による診断が不可欠です。当院では、医師と理学療法士が密に連携し、最大の武器である超音波(エコー)を用いて、診断からリハビリまで一貫した「見える医療」を提供します。
- STEP1:医師による「見える」診断
まず医師がエコーを使い、レントゲンではわからない腸脛靭帯の炎症や肥厚の状態をリアルタイムで観察します。さらに、膝を動かしながら靭帯と骨が擦れる瞬間を「動的評価」で捉えることで、痛みの原因を正確に突き止めます。患者様にもその画像をお見せしながら説明することで、ご自身の身体の状態を深く理解し、納得して治療に進んでいただけます。 - STEP2:理学療法士による「動き」の評価と「見える」リハビリ
医師の診断情報をもとに、今度は理学療法士があなたの身体全体の動きを詳細に評価し、根本原因となっている「動きのクセ」を特定します。リハビリの段階でもエコーを活用するのが当院の大きな特徴です。例えば、原因となっている中殿筋のトレーニングを行う際に、エコーで筋肉の動きを直接モニターします。これにより、「正しく筋肉を使えているか」を患者様自身の目で確認しながら、効率的かつ効果的なリハビリを行うことができるのです。
まとめ
ランナー膝は、単なる「走りすぎ」だけでなく、股関節の不安定性といった「動きのクセ」が根本原因となっていることが多い症状です。痛みを放置したり、自己流のケアを続けたりすると、症状が悪化し、長期的にランニングを中断せざるを得なくなる可能性もあります。大切なのは、痛みの原因を正確に突き止め、根本から改善することです。当院の医師と理学療法士のチームアプローチ、そしてエコーを用いた「見える医療」が、その一助となれば幸いです。
ストレッチ動画
参考論文
- Aderem J, Louw QA. Biomechanical risk factors associated with iliotibial band syndrome in runners: a systematic review. BMC Musculoskelet Disord. 2015 Nov;16:356.
- Jiménez Díaz F, et al. Ultrasound of iliotibial band syndrome. J Ultrasound. 2020 Sep;23(3):379-385.
- Fredericson M, Wolf C. Iliotibial band syndrome in runners: innovations in treatment. Sports Med. 2005;35(5):451-459.
膝の痛みでお悩みの方は、私たち専門家チームと一緒に、痛みの根本原因を探り、改善を目指しませんか?どうぞお気軽に当院へご相談ください。
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)