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コラム

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2025年10月21日

その尿漏れ、「反り腰」が原因かも?姿勢と泌尿器の深い関係を理学療法士が解説

こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!

「尿漏れの改善のために骨盤底筋トレーニングを頑張っているのに、なかなか効果が出ない…」。もし、あなたが「反り腰」でもあるなら、その原因は骨盤の傾きにあるのかもしれません。一見すると無関係に思える「姿勢の癖」と「尿の悩み」ですが、実は体の中では密接につながっています。この記事では、なぜ反り腰が尿漏れを引き起こすのか、そのメカニズムと改善アプローチについて、理学療法士の視点から解説します。

なぜ「反り腰」が「尿漏れ」を引き起こすのか?

反り腰とは、骨盤が過度に前に傾く「骨盤前傾」の状態を指します。この姿勢は、尿漏れを防ぐ要である「骨盤底筋」にとって、非常に不利な環境を作り出してしまいます。

骨盤が前に傾くと、その底にハンモックのように張られている骨盤底筋は、常に引き伸ばされて緊張した状態になります。ゴムが伸びきってしまうと弾力性を失うように、引き伸ばされた筋肉は、いざという時にキュッと締まる力を発揮しにくくなります。さらに、前傾した骨盤の上に乗っている膀胱も傾き、尿道への圧力が高まるため、咳やくしゃみといった少しの腹圧でも尿が漏れやすい「蛇口が緩んだ」状態になってしまうのです。

あなたの姿勢は大丈夫?反り腰セルフチェック

ご自身の姿勢がどうなっているか、壁を使って簡単にチェックしてみましょう。

  1. 壁にかかと、お尻、肩甲骨、後頭部をつけて、まっすぐに立ちます。
  2. その状態で、腰と壁のすき間に手のひらを入れてみてください。

このすき間が「手のひら一枚分」程度であれば、正常な範囲です。もし「こぶしが入る」ほど大きく開いている場合は、反り腰(骨盤前傾)の可能性が高いと言えます。

姿勢と骨盤底筋を同時に整える!1日5分のリセットトレーニング

反り腰による尿漏れを改善するには、骨盤の傾きを整える動きと、骨盤底筋を締める動きを連動させることが効果的です。これにより、骨盤底筋が最も力を発揮しやすい「ニュートラルな位置」でトレーニングを行うことができます。

骨盤後傾+骨盤底筋トレーニング

  1. 仰向けに寝て、両膝を立てます。腰と床の間に手のひら一枚分のすき間がある「ニュートラルな位置」からスタートします。
  2. 息をゆっくりと「ふーっ」と吐きながら、腰を床にじわっと押し付けて骨盤を後ろに傾けます(骨盤後傾)。
  3. それと同時に、膣と肛門をキュッと締め、体の中に引き上げるようなイメージで骨盤底筋を収縮させます。
  4. その状態を5秒間キープします。この時、お腹やお尻に余計な力が入らないように意識するのがポイントです。
  5. 息を吸いながら、10秒かけてゆっくりと全身の力を抜き、ニュートラルな位置に戻ります。
  6. これを10回繰り返すのを1セットとし、1日に2~3セット行いましょう。

当院での治療について

セルフケアだけでは改善が難しい場合や、腰痛や足のしびれといった他の症状も伴う場合は、専門家による評価と治療が推奨されます。当院では、理学療法士がお客様一人ひとりの体の状態を詳細に評価し、痛みの根本原因となっている姿勢の癖や動作のアンバランスを見つけ出します。反り腰に対しては、硬くなった筋肉を緩める手技療法や、弱っている体幹・殿筋群を活性化させるオーダーメイドの運動療法を組み合わせ、骨盤を正しい位置へと導きます。

また、重度の反り腰や加齢による変化は、時に「腰部脊柱管狭窄症」といった、より専門的な診断が必要な状態につながることもあります。脊柱管狭窄症は、神経の圧迫により足のしびれだけでなく、「膀胱直腸障害」として頻尿や尿漏れを引きおこすケースも少なくありません。当院の理学療法士は、そうした状態に対しても、医師の診断のもと、骨盤底筋へのアプローチを含めた専門的なリハビリテーションを提供し、症状の緩和を目指します。

まとめ

もしあなたが、骨盤底筋トレーニングだけでは改善しない尿漏れと、治らない反り腰の両方に悩んでいるなら、その二つは深くつながっている可能性があります。姿勢という体全体の構造から見直すことで、長年の悩みが解決に向かうかもしれません。まずはご紹介したトレーニングを試していただき、改善が難しい場合は、ぜひ一度、専門家にご相談ください。

参考論文

  • Smith MD, Russell A, Hodges PW. Disorders of breathing and continence have a stronger association with back pain than obesity and physical activity. Australian Journal of Physiotherapy. 2006;52(1):11-16.
  • Sapsford R, Hodges PW. Contraction of the pelvic floor muscles during abdominal maneuvers. Archives of physical medicine and rehabilitation. 2001;82(8):1081-1088.
  • Podnar S. Neurophysiology of the pelvic floor. In: Pelvic Floor Dysfunction. Springer, London; 2012. p. 27-41.
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