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コラム

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2025年10月12日

お尻の筋肉が硬いと膝が痛くなる?意外な関係と自宅でできる改善法

こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!

階段の上り下りや、少し歩いただけでも膝がズキっと痛む…。そのつらい膝の痛み、もしかしたら原因は膝自体ではなく、お尻の筋肉にあるかもしれません。一見すると無関係に思える「お尻」と「膝」ですが、実は体の動きを通じて密接につながっています。この記事では、整形外科医の視点から、なぜお尻の筋肉が硬くなると膝が痛むのか、そのメカニズムとご自宅でできる簡単なセルフケア方法について、医療情報に馴染みのない方にも分かりやすく解説します。

なぜお尻の筋肉が硬いと膝が痛むのか?その意外なメカニズム

私たちの体は、多くの筋肉や関節が連動して動く「運動連鎖(キネティックチェーン)」という仕組みを持っています。その中でも、お尻にある「大殿筋(だいでんきん)」は、体を支える土台である骨盤を安定させる、非常に重要な役割を担っています。

大殿筋の役割と膝への影響

大殿筋は、股関節を後ろに伸ばしたり、外側にひねったりする際に使われる体の中で最も大きな筋肉です。この筋肉が正常に働くことで、歩行やランニング、立ち座りといった動作の際に骨盤がぐらつかず、下半身の動きが安定します。しかし、この大殿筋が硬くなったり、うまく使えなくなったりすると、骨盤の安定性が低下し、その負担が下の階層にある「膝」に直接かかってしまうのです。

現代人特有?デスクワークが招く柔軟性の低下

特にデスクワークなどで長時間座りっぱなしの姿勢が続くと、大殿筋は常に引き伸ばされた状態になり、血行が悪化して硬くなりやすくなります。また、筋肉は使われないと衰えてしまうため、いわゆる「サボり筋」の状態に。その結果、いざ立ったり歩いたりする時に大殿筋がうまく機能せず、他の筋肉がその動きを補おうとします。

「代償動作」が引き起こす膝への過剰な負担

大殿筋がサボると、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)や、太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)などが過剰に働き、膝を支えようとします。この状態を「代償動作」と呼びます。この代償動作が続くと、膝のお皿(膝蓋骨)の動きが不安定になったり、膝が内側に入り込む「ニーイン」という状態になったりして、膝関節にねじれのストレスがかかり、痛みや炎症を引き起こす原因となります。

自宅でできる!膝の痛みを和らげるお尻のセルフケア

ここでは、硬くなった大殿筋の柔軟性を取り戻し、膝への負担を軽減するためのセルフケアをご紹介します。ただし、痛みを感じない範囲で行い、強い痛みや違和感がある場合はすぐに中止して専門医に相談してください。

大殿筋の柔軟性を取り戻すストレッチ

椅子に座って、片方の足を反対側の膝に乗せます。そして体をゆっくりと倒していきます。そうすると、お尻の筋肉が伸びているのを感じられるはずです。心地よい伸びを感じる位置で30秒ほどキープしましょう。

【動画で確認】大殿筋ストレッチ

日常生活で気をつけるべきこと

  • 30分に一度は立ち上がって、少し歩き回る、または軽く体を動かす
  • 座るときは深く腰掛け、背筋を伸ばして骨盤を立てる意識を持つ
  • 歩くときは、かかとから着地し、お尻の筋肉を使って地面を押し出すように意識する

当院での治療法

セルフケアで改善が見られない場合や、痛みが強い場合は、専門的な治療が必要です。当院では、以下のようなアプローチで根本的な原因に働きかけます。

  • 専門家によるリハビリテーション:理学療法士が一人ひとりの体の状態を詳細に評価し、硬くなった筋肉をほぐす手技や、弱っている筋肉を鍛えるための最適なトレーニングを指導します。
  • 動作指導:痛みの原因となっている普段の体の使い方や歩き方を分析し、膝に負担のかからない正しい動作を習得することで、症状の再発を防ぎます。

放置は危険?病院を受診すべき症状の目安

以下のような症状が見られる場合は、自己判断で放置せず、一度整形外科を受診してください。

  • セルフケアをしても痛みが改善しない、または悪化する
  • 膝に熱っぽさや腫れがある
  • 安静にしていてもズキズキと痛む
  • 歩くのが困難なほどの強い痛みがある

まとめ

今回は、膝の痛みの意外な原因として、お尻の筋肉「大殿筋」の硬さや機能低下が関係していることを解説しました。私たちの体はすべてつながっており、ある一部分の不調が、思わぬ場所に影響を及ぼすことがあります。日々のセルフケアで改善を目指しつつ、つらい症状が続く場合は決して我慢せず、専門家である私たちにご相談ください。原因を正しく見極め、適切な対処をすることが、健やかな毎日を取り戻すための第一歩です。

変形性ひざ関節症

参考論文

  • Barton CJ, et al. Gluteal muscle activity and patellofemoral pain syndrome: a systematic review. Br J Sports Med. 2013 Mar;47(4):207-14.
  • Powers CM. The influence of abnormal hip mechanics on knee injury: a biomechanical perspective. J Orthop Sports Phys Ther. 2010 Feb;40(2):42-51.
  • Willcox EL, Burden AM. The influence of gluteus maximus and medius on knee kinematics in individuals with and without patellofemoral pain syndrome. J Orthop Sports Phys Ther. 2013 Jun;43(6):383-90.

膝の痛みでお悩みの方は、我慢せずに一度お気軽に当院へご相談ください。

JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。

このコラムを書いた人

理学療法士
瀬尾 真矢

患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

得意分野

変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)

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