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【ゴルフをしていないのに肘が痛い?】デスクワークが原因の「ゴルフ肘」の治し方

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「ゴルフなんてしたことないのに、なぜか肘の外側がズキズキ痛む…」そんな経験はありませんか?実はその痛み、毎日のデスクワークが原因で起こる「ゴルフ肘(外側上顆炎)」かもしれません。物をつかんだり、タオルを絞ったりする動作で痛みが強くなるのが特徴です。今回は、多くのPCユーザーを悩ませるこの症状について、原因からご自身でできるセルフケアまで、整形外科医の視点から詳しく解説します。
なぜデスクワークでゴルフ肘に?その意外な原因
ゴルフ肘は、正式には「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」と呼ばれる、肘の外側にある骨の出っ張りと、そこにくっつく筋肉(主に手首を伸ばす筋肉)の付け根に炎症が起きる状態です。ゴルフのスイングで発症することが多いためこの名前がありますが、実際には手首の使いすぎが主な原因です。
原因①:キーボード・マウスの長時間操作
デスクワークでは、キーボードを打つ、マウスを操作するといった動作で、常に手首を上に反らす筋肉(前腕伸筋群)を使い続けています。この筋肉への持続的な負担が、肘の付け根に微細な傷や炎症を引き起こし、痛みの原因となります。
原因②:不適切なデスク環境と悪い姿勢
机や椅子の高さが合っていなかったり、猫背で作業をしていたりすると、肩や腕に余計な力が入ってしまいます。特に、手首が上に反った状態でのPC作業は、前腕伸筋群へのストレスを増大させ、ゴルフ肘のリスクを高めます。
原因③:筋肉の柔軟性低下
同じ姿勢で長時間作業を続けると、筋肉は硬くなりがちです。特に前腕の筋肉の柔軟性が低下していると、日常のささいな動作でも筋肉の付け根に負担がかかりやすくなり、炎症につながります。
自宅でできる!ゴルフ肘のセルフケア・解消法
痛みが強い場合は無理は禁物ですが、症状が落ち着いてきたら、ご自宅でのセルフケアが再発予防に効果的です。特にストレッチは筋肉の柔軟性を高め、負担を軽減するのに役立ちます。
前腕伸筋群のストレッチ
以下の動画を参考に、痛みのない範囲でゆっくりと行いましょう。
- 手順1:痛む方の腕を、肘を伸ばしてまっすぐ前に出します。
- 手順2:反対の手で、伸ばした方の手の甲を持ち、ゆっくりと手首を下に曲げていきます。
- 手順3:肘の外側から前腕にかけての筋肉が心地よく伸びているのを感じながら、20〜30秒キープします。
- 手順4:これを1セットとし、1日に3〜5セット行いましょう。
日常生活で気をつけるべきこと
- デスク環境の見直し:肘が90度に曲がり、足裏全体が床につくように椅子や机の高さを調整しましょう。手首が反らないように、リストレストを使用するのも有効です。
- こまめな休憩:1時間に1回は立ち上がって休憩し、腕や肩を軽く動かして筋肉の緊張をほぐしましょう。
当院での治療法
セルフケアで改善しない場合や、痛みが強い場合は、専門的な治療が必要です。当院では、患者様一人ひとりの症状に合わせて、以下のような治療法を組み合わせて行います。
- 徒手療法(マニュアルセラピー):理学療法士が硬くなった筋肉や関節の動きを改善し、痛みを和らげます。
- 物理療法:超音波や電気刺激を用いて、炎症を抑え、組織の修復を促します。
- 運動療法:症状に合わせたストレッチや筋力トレーニングを指導し、再発しない体づくりを目指します。
放置は危険?病院を受診すべき症状の目安
ただの筋肉痛だと思って放置すると、症状が悪化し、日常生活に支障をきたすこともあります。以下のような症状が見られる場合は、早めに整形外科を受診してください。
- 安静にしていても痛みが続く
- 痛みがどんどん強くなる
- 腕や指先にしびれを感じる
- 物を持てない、落としてしまう
まとめ
デスクワークによるゴルフ肘は、誰にでも起こりうる身近な疾患です。原因の多くは、PC作業時の手首への継続的な負担にあります。症状が軽いうちであれば、ストレッチやデスク環境の見直しで改善することも可能です。しかし、痛みが長引く場合や、悪化している場合は、自己判断で放置せず、専門医に相談することが大切です。早期に適切な対応をとることで、つらい痛みから解放され、快適な毎日を取り戻しましょう。
肘の痛みでお悩みの方は、我慢せずに一度お気軽に当院へご相談ください。
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