コラム
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【四十肩・五十肩】ある日突然、腕が上がらない!その痛みの正体と正しい治し方

こんにちは、桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「夜、痛みで目が覚める」「髪をとかす、服を着替えるといった日常の動作が痛くてできない」。40代、50代になって、このような突然の肩の激痛と動きの制限に悩まされていませんか?それは、多くの人が経験する「四十肩・五十肩(正式名称:肩関節周囲炎)」かもしれません。「そのうち治るだろう」と放置していると、痛みが長引いたり、肩が固まって動かなくなったりすることもあります。今回は、つらい五十肩の正体と、症状を悪化させないための正しい対処法について解説します。
五十肩とは?肩こりとの違い
五十肩は、肩関節の周りにある組織が炎症を起こし、痛みや動きの制限(拘縮:こうしゅく)が生じる病気です。単なる筋肉疲労である「肩こり」とは違い、関節そのものに問題が起きている状態です。
1. 肩関節に起こる炎症
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、加齢に伴い、肩関節を構成する骨や軟骨、靭帯、腱などが変性し、炎症が起きやすくなることが関係していると考えられています。この炎症が、ズキズキとした激しい痛みを引き起こします。
2. 痛みの時期と拘縮の時期
五十肩の経過は、大きく2つの時期に分けられます。
- 急性期(炎症期):発症から数週間〜数ヶ月。何もしなくてもズキズキと痛む、夜間に痛みが強くなる(夜間痛)といった、強い炎症症状が特徴です。この時期は、無理に動かすのは禁物です。
- 慢性期(拘縮期):強い痛みは和らぎますが、関節が固まって動きが悪くなる「拘縮」が主な症状となります。「腕が上がらない」「背中に手が回らない」といった動きの制限が起こります。この時期からは、少しずつ動かすリハビリが重要になります。
痛みの時期別!五十肩の正しい対処法
五十肩の治療は、痛みの時期によって対処法が全く異なります。間違ったケアは症状を悪化させるので注意しましょう。
【急性期】痛みが強い時期のセルフケア
- 安静第一:痛みを誘発するような動きは避け、肩を安静に保つことが最も重要です。
- アイシング:痛みが強く、熱を持っているような場合は、15分程度、患部を冷やすと痛みが和らぐことがあります。
- 楽な姿勢を見つける:寝る時に痛みが出る場合は、痛い方の腕の下にクッションや丸めたバスタオルを挟み、少し腕を上げた状態にすると楽になることがあります。
【慢性期】痛みが和らいできたら
- 温める:入浴などで肩を温め、血行を良くすると、筋肉の緊張が和らぎ、動かしやすくなります。
- 振り子運動:痛みのない方の手でテーブルなどに手をつき、体を少し前に傾けます。痛い方の腕の力を抜き、だらりと下げたまま、ゆっくりと前後に10回、左右に10回、小さく円を描くように10回、優しく揺らします。
当院での専門的な治療
痛みが長引く場合や、日常生活に大きな支障が出ている場合は、我慢せずにご相談ください。
- 注射療法:痛みが非常に強い急性期には、炎症を抑えるステロイドや、関節の滑りを良くするヒアルロン酸などを関節内に注射することで、つらい痛みを大幅に軽減させることができます。
- ハイドロリリース:超音波(エコー)で硬くなった関節の袋(関節包)や神経の癒着を確認しながら、薬液を注入して剥がすことで、痛みと可動域の改善を図ります。
- 理学療法士によるリハビリテーション:専門の理学療法士が、患者さんの肩の状態に合わせて、固まった関節を動かすための徒手療法や、効果的なストレッチ、再発予防のための筋力トレーニングなどを丁寧に指導します。
まとめ
五十肩は、適切な時期に適切な治療とリハビリを行えば、多くの場合、1年〜2年で改善していきます。しかし、自己判断で放置したり、無理に動かしたりすると、回復が遅れたり、肩の動きが元に戻らなくなったりすることもあります。つらい痛みは我慢せず、専門医のもとで正しい治療を始めることが、早期回復への一番の近道です。
つらい肩の痛み、腕が上がらないなどでお悩みの方は、お気軽に当院へご相談ください。
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)