コラム
Column
肩こりと寝具選び──枕やマットレスがもたらす肩への負担を科学的に読み解く

こんにちは!桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「朝起きた瞬間から肩が重い」「高い枕に替えたら余計つらい」
そんな経験はありませんか?
実は枕やマットレスなどの寝具は、肩こりの発生・悪化に深く関わっています。ここでは信頼できる学術論文だけを根拠に、寝具が肩に及ぼす影響と、今日から実践できる選び方のコツをわかりやすく解説します。
なぜ寝具が肩こりに影響するのか?
睡眠中、私たちの体は約6〜8時間ものあいだ枕とマットレスに支えられています。
「合わない寝具=不自然な姿勢を強いられる固定具」と考えると、その間に首や肩へ偏った負荷がかかり、筋肉が硬くなるのも当然です。逆に、体に合った寝具は肩まわりをリラックスさせ、血流を保ち、翌朝の爽快感につながります。

1. 寝具と肩こりの関係
寝具が体圧を適切に分散しないと、首・肩の筋肉や関節が“一点支持”になりがち。これは長時間座りっぱなしで肩が張るのと同じメカニズムです。
引用論文では、マットレスと枕を組み合わせた「最適寝具システム」が肩を含む上半身の痛みを軽減し、睡眠の質を高めたと報告されています。
2. 枕選び――高さ・素材が肩に与える影響
- 高さ:高すぎる枕は首を前に押し出し、僧帽筋上部を緊張させます。低すぎると首が反り、肩甲骨まわりにストレスが集中。
- 形状:首を支える「首元ポケット」がある枕は、頸椎をまっすぐ保ちやすい設計。
- 素材:低反発はフィット感、通気性重視なら高反発・ファイバー系。
研究では個人の快適感が痛み軽減と強く関連しており、実際に試すことが最重要と示唆されています。
3. マットレスの硬さとサポート性
一般に、中程度の硬さ(いわゆるミディアムファーム)が肩と腰の両方をバランスよく支えます。
論文では、身体に合わせた硬さのマットレスに替えた参加者が肩や背中のこわばり・睡眠障害の改善を報告しました。マットレスが柔らかすぎると肩が沈み込み、硬すぎると肩が浮いて首に隙間ができる。いずれも肩こりを感じやすい可能せがあります。
肩こり
4. 今日からできるセルフチェック&実践アドバイス
- 仰向けテスト:枕を使い仰向けになり、耳・肩・腰が一直線なら◎。首が折れていたら高さを調整。
- 横向きテスト:鼻と胸骨を結ぶ線が床と平行になる枕高が目安。
- 肩幅+布団の厚み:肩幅が広い人やふかふか布団の場合はやや高めの枕がフィット。
- マットレス選び:寝返りが打ちにくいなら硬め、腰が浮くなら柔らかめを検討。
- 耐用年数の確認:マットレスの寿命は7〜10年、枕は2〜3年が目安。
POINT:肩や首に違和感を覚えたら「まず寝具を疑う」ことが快眠への近道です。
5. 肩こりを感じた時のセルフエクササイズ
まとめ
肩こりは日中の姿勢だけでなく“夜の寝具”にも大きく左右されます。研究は、身体に合った枕とマットレスが肩の負担を減らし、睡眠の質を高めると示しています。
まずは今お使いの寝具をセルフチェックし、必要に応じて高さ調整や買い替えを検討してみましょう。
「朝すっきり起きられる」そんな快適な目覚めは、あなたの肩と首への最高のプレゼントです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や診断の代替ではありません。痛みが長引く場合は専門医にご相談ください。
参考論文
- Effectiveness of a Selected Bedding System on Quality of Sleep and Low Back Pain and Stiffness. Jacobson, Bert H. et al. Work. 2002. pmid: 11896375
- Effect of Prescribed Sleep Surfaces on Back Pain and Sleep Quality in Patients Diagnosed with Low Back and Shoulder Pain. Jacobson, Bert H. et al. Applied Ergonomics. 2010. pmid: 20579971
- A Survey of Koreans on Sleep Habits and Sleeping Symptoms Relating to Pillow Comfort and Support Characteristics. Son, Joonhee et al. International Journal of Environmental Research and Public Health. 2020. pmid: 31906363
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)