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【ジャンプスポーツで膝が痛い子どもたちへ】ジャンパー膝(膝蓋腱炎)とは?

こんにちは。桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
バスケットボールやバレーボールなど、ジャンプを多用するスポーツに取り組む子どもたちの中には、膝の前面、特に膝のお皿(膝蓋骨)の下に痛みを訴えるケースがあります。これはジャンパー膝(膝蓋腱炎)と呼ばれるスポーツ障害の一つです。
本コラムでは、ジャンパー膝の原因や症状、予防・治療法について、信頼性の高い国内外の研究を基に詳しく解説します。
ジャンパー膝とは?
ジャンパー膝は、膝蓋骨と脛骨(すねの骨)をつなぐ膝蓋腱に繰り返しのストレスがかかることで生じる腱の炎症や変性を指します。特にジャンプや着地、ダッシュなどの動作を頻繁に行うスポーツ選手に多く見られます。
この状態は、膝の前面、膝蓋骨の下部に痛みや圧痛を引き起こし、進行すると日常生活にも支障をきたすことがあります。

発症しやすいスポーツと年齢層
ジャンパー膝は、ジャンプや着地を頻繁に行うスポーツで高い発症率が報告されています。以下は、スポーツ別の発症率の一例です:
特に15~17歳の若年層では、成長期における筋力と腱のバランスの不均衡や、過度なトレーニング負荷がリスク要因となります 2。
ジャンパー膝の主な症状
ジャンパー膝の症状は以下の通りです:
- 膝蓋骨の下部に痛みや圧痛がある
- 運動時や運動後に痛みが増す
- 階段の昇降やしゃがみ動作で痛みが出る
- 進行すると安静時にも痛みを感じる
初期段階では、運動後の痛みのみですが、放置すると慢性化し、腱の損傷が進行する可能性があります。
予防と治療法
ジャンパー膝の予防と治療には以下の方法が有効です:
- 休息と活動の調整:痛みがある場合は、ジャンプやダッシュなどの高負荷な動作を控え、膝への負担を軽減します。
- ストレッチと筋力強化:大腿四頭筋やハムストリングス、ふくらはぎの筋肉を柔軟に保ち、股関節や体幹の筋力を強化することで、膝への負担を分散させます。
- 物理療法:アイシングや超音波療法、電気刺激療法などが痛みの軽減に効果的です。
- 装具の使用:膝蓋腱ストラップやサポーターを使用することで、腱へのストレスを軽減できます。
- 段階的なリハビリ:痛みが軽減した後は、専門家の指導のもとで段階的に運動を再開し、再発を防ぎます。
重症の場合や保存療法で改善が見られない場合は、医師と相談の上、適切な治療法を検討することが重要です。
まとめ
ジャンパー膝は、成長期の子どもたちがジャンプを多用するスポーツに取り組む際に注意が必要なスポーツ障害です。早期の発見と適切な対応が、症状の悪化を防ぎ、スポーツへの早期復帰につながります。
膝の前面に痛みを感じた場合は、無理をせず、専門医の診察を受けることをおすすめします。
参考文献
- Nutarelli, Sebastiano et al. (2023)“Epidemiology of Patellar Tendinopathy in Athletes and the General Population: A Systematic Review and Meta-analysis.” Orthopaedic journal of sports medicine vol. 11
- Theodorou, A et al. (2023). Patellar tendinopathy: an overview of prevalence, risk factors, screening, diagnosis, treatment and prevention. Archives of orthopaedic and trauma surgery, 143(11)
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)