コラム
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【ひざの再生医療】変形性膝関節症に対するPRP療法とは?その効果と治療の流れ

こんにちは。桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「ひざが痛いけれど手術は避けたい」「薬やヒアルロン酸注射だけでは物足りない」そんな方に注目されている治療がPRP療法です。
本日は、変形性膝関節症に対するPRP療法(再生医療)の基本的な内容や期待される効果、実際の治療の流れまでを、できるだけわかりやすくご紹介します。
PRP療法とは?
PRPとは、Platelet-Rich Plasma(多血小板血漿)の略です。患者さまご自身の血液を採取し、そこから血小板を濃縮した血漿を取り出し、患部に注射する治療法です。
血小板には、組織の修復や炎症の抑制を促す成長因子が多く含まれており、痛みや腫れの改善、関節の機能維持に役立つとされています。
もともとはスポーツ選手の怪我の治療として広まりましたが、現在では変形性膝関節症の治療にも活用され、手術以外の選択肢として注目されています。

PRPの効果は?信頼できる論文ベースで解説
PRP療法の効果については、国内外で多数の研究が行われています。代表的な報告には以下のようなものがあります:
- Meheux et al., 2016(Am J Sports Med)
6つの無作為化比較試験をレビューし、PRPがヒアルロン酸よりも有意に関節機能を改善し、痛みを軽減することを示唆。
これらの研究では、痛みの軽減や関節機能の維持、炎症の抑制が報告されており、特に初期〜中等度の変形性膝関節症において有用であるとされています。
ただし、すでに重度の関節変形がある場合は、効果が限定的であることもあるため、適応の見極めが大切です。
PRPで期待できる作用とは?
PRP療法によって期待できる主な作用は以下の通りです:
- 炎症の抑制:慢性的な関節炎による腫れや痛みを軽減します。
- 痛みの緩和:注射後数週間〜数か月かけて徐々に痛みが和らぐケースがあります。
- 関節機能の維持:症状が落ち着くことで、歩行や階段昇降などの日常動作が楽になる方もいます。
ヒアルロン酸注射に比べて効果の持続期間が長い可能性があるという報告もあり、定期的な注射を繰り返すのが難しい方にも適した治療法といえます。
治療の流れ:外来で数十分ほどで完了します
PRP療法は入院や麻酔の必要がなく、外来で30〜60分程度で完了する簡便な処置です。
一般的な流れは以下の通りです:
- 血液の採取:ご自身の腕から血液を採取します。
- 遠心分離:専用の装置で血液を遠心分離し、PRPを取り出します。
- 注射:エコーで確認しながら、関節内へPRPを注射します。
- 終了:注射後は短時間の休憩でそのまま帰宅可能です。
自分の血液を使うため副作用が少なく、アレルギーの心配もほとんどありません。
どんな方におすすめ?
PRP療法は、以下のような方に向いています:
- ヒアルロン酸注射で効果が実感できなかった方
- 痛みを抑えながら日常生活を快適に過ごしたい方
- できるだけ手術を避けたい方
- 長期的に関節の状態を維持したい方
一方で、すでに重度の関節変形や骨の変性がある場合には、PRP単独では十分な効果が得られない可能性もあります。そのため、診察と画像検査を通じた正確な評価が必要です。
PRP療法にご興味のある方はご相談ください
PRP療法は、体に優しく、再生医療の一環として注目される治療法のひとつです。変形性膝関節症でお悩みの方にとって、新しい選択肢となり得ます。
ご興味がある方は、お気軽に当院までご相談ください。
参考文献
- Meheux CJ, McCulloch PC, Lintner DM, Varner KE, Harris JD. (2016). “Efficacy of Platelet-Rich Plasma Intra-articular Injections in Knee Osteoarthritis: A Systematic Review.” Am J Sports Med, 44(6):1562–1571.
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)