コラム
Column
【膝の痛みと体重の関係】たった1kgの増加が膝に与える影響とは?

こんにちは。桃谷うすい整形外科の瀬尾です!
「最近、階段の上り下りで膝が痛い」「歩いているだけなのに膝に負担を感じる」――そんなお悩みはありませんか?
実は、膝関節の痛みと体重には密接な関係があります。今回は、体重の増減が膝にどれだけの影響を与えるのかについて、わかりやすくご紹介します。
体重1kg増えると、膝にはどれだけ負担がかかる?
膝関節は、歩行や階段の昇り降りなど日常の動作で常に体重を支えています。
一般的に、体重が1kg増えると、膝には約3〜5倍の負荷がかかると言われています。
- 歩行時:約3倍の負荷(1kg増加で約3kgの負担)
- 階段昇降・ランニング時:約4〜5倍の負荷
つまり、体重が2kg増えると、歩くだけで膝には6kg、階段では最大10kg近い負担がかかる可能性があるのです。

体重増加が膝に与える影響とは?
体重が増えることで、膝には次のようなリスクが高まります:
- 関節軟骨への圧力増加:軟骨は関節のクッションの役割を果たしますが、体重が増えることでその摩耗が早まりやすくなります。
- 滑膜炎の悪化:関節の内側を包む滑膜に過度な刺激が加わり、炎症(滑膜炎)が起こりやすくなります。
- 可動域の制限・筋力低下:体が重くなると動きが制限され、膝周囲の筋肉が衰えやすくなります。
こうした状態が慢性化すると、変形性膝関節症や長期的な膝痛につながることがあります。
逆に、体重が減ると膝はどうなる?
うれしいことに、体重を減らすことで膝の負担は大きく軽減されます。
たとえば、体重を5kg減らすと、膝にかかる負荷は歩行時で約15kg分、階段では20〜25kg分減ることになります。
それにより、次のような効果が期待できます:
- 日常生活での膝の痛みが軽くなる
- 関節の炎症が落ち着きやすくなる
- 膝の動きが滑らかになる
つまり、無理な運動や手術ではなく、体重をコントロールすること自体が、膝を守る一つの方法となるのです。

まとめ:膝の健康を守るには“体重管理”が大切
膝関節は体重をしっかり支える構造になっていますが、ほんの少しの体重増加でも想像以上の負担がかかることがわかっています。
現在膝に痛みを感じている方や、これからの健康を考えている方は、まず「体重と膝の関係」を意識してみてください。
膝の痛みを予防する第一歩は、日常の小さな意識から始まります。
参考文献
- Messier, S.P. et al. (2005). “Weight loss reduces knee-joint loads in overweight and obese older adults with knee osteoarthritis.” *Arthritis & Rheumatism*, 52(7), 2026-2032.
- Felson, D.T. et al. (1992). “Weight loss reduces the risk for symptomatic knee osteoarthritis in women.” *Annals of Internal Medicine*, 116(7), 535-539.
- Andriacchi, T.P., Mundermann, A. (2006). “The role of ambulatory mechanics in the initiation and progression of knee osteoarthritis.” *Current Opinion in Rheumatology*, 18(5), 514–518.
JR桃谷駅西口出てすぐの天王寺区、生野区から通院しやすいクリニック「桃谷うすい整形外科」では、質の高い医療を提供し、患者さんの問題解決に全力で取り組み、医療者全員が協力して前進し続けることを目指しています。
このコラムを書いた人

瀬尾 真矢
患者様一人ひとりの日常生活やスポーツ復帰を支援するために、適切なリハビリプログラムを提供し、患者様が自信を持って活動できるようサポートいたします。また、痛みや不快感に真摯に向き合い、最善の方法で症状を軽減し、再発予防にも力を入れてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
得意分野
変形性関節症(人工関節術後)、肩関節疾患(保存療法、術後)
スポーツ障害(肩関節、膝関節、足関節)