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頚椎症性脊髄症

頚椎症性脊髄症

頚椎症性脊髄症とは

加齢による頚椎の変性などの原因によって頚椎部の幅が狭くなり、その中にある脊髄が圧迫されて進行性の四肢麻痺や感覚障害を引き起こす疾患です。(図)

椎間板の膨隆や椎体の骨棘、黄色靭帯の肥厚などによって、脊柱管が狭くなり脊髄が圧迫されている

図:椎間板の膨隆や椎体の骨棘、黄色靭帯の肥厚などによって、脊柱管が狭くなり脊髄が圧迫されている
出典:川畑 篤礼ら : 頚椎傷性脊髄症 整形外科看護 Vol.24 No.2, 2019.

ちなみに脊柱管とは、椎体と椎弓で囲まれた空間のことで、脊髄はこの中に保護されています。

頚椎症性脊髄症の原因

原因は大きく2つに分けられ、安静時にも出現する静的要因と、首の動作時にも出現する動的因子があります。

静的因子

静的因子は加齢性変化による要素と、元々脊柱管が狭いという先天的な要素(発育性脊柱管狭窄症)の2つがあります。

加齢性変化は、経年的に頚椎の椎間板が潰されて、脊柱管の方に膨らむことや、骨棘(骨のとげ)ができて脊柱管が細くなることが原因です。これらの変化をまとめて頚椎傷と呼びます。一方先天性についてですが、元々脊柱管の幅が狭に人が存在します。
男性は14mm以下、女性は13mm以下が初育成脊柱管狭窄症と定義されます。日本十は欧米人よりも脊柱管の幅が狭い症例が多く、頚椎傷性脊髄症を発生しやすいと言われています。

動的因子

一つは頚椎の後傾時に黄色人体の垂れ込みが挙げられます。
首を後屈した時に脊柱管のすぐ背側に位置する黄色靭帯が垂れ込むことで脊柱管内へ突出し、脊髄を圧迫すると考えられています。

2つ目は、頚椎の骨同志の緩みで、後屈した時に椎体が後方へスライドし、椎弓と椎体で脊髄を挟み込んで圧迫することが原因として考えられています。

頚椎症性脊髄症の症状

症状は進行度によって異なります。初期は両上肢の痺れなどで発症することが多く、進行すると手の巧緻機能障害(箸の使用、ボタンの留め外し、書字が困難になること)や歩行障害、四肢・体幹の感覚障害が出現します。
重症例では、四肢麻痺や膀胱直腸障害(尿失禁、頻尿、便失禁、便秘など)が出現することもあります。

頚椎症性脊髄症の検査

診察所見として、四肢の運動麻痺、感覚障害といった症状に加えて、下肢の腱反射の亢進やBabinski反射の出現を高率に認めます。
また、手の巧緻機能障害の客観的なテストとして10秒テスト(10秒間に20回以上手指の握り開き動作ができなければ異常)があります。

単純レントゲン検査でほとんどの症例で、骨棘の形成や椎間板の高さの減少が認められます。MRI所見では、黄色靭帯や椎間板の膨隆などによる脊髄の圧迫所見を認めます。

頚椎症性脊髄症の治療

保存治療と手術治療に大別されます。
保存療法としては、頚椎カラーによる装具療法が動的因子を除去する目的で使われます。
他にも薬物治療として消炎鎮痛剤、ビタミンB12製剤、プロスタグランジン製剤などが使用されます。

しかし、これらの保存治療は脊髄症状の悪化を防げないことが多く、ある程度進行した症状を呈した場合は手術治療が行われることが多いです。

手術の適応としては、急速に症状が悪化する場合や長期に症状が持続する場合と言われています。一方で、症状が進行している場合や長期に症状がある場合は、手術を行っても改善が不良となることが報告されており、早めに手術を勧めるべきという意見もあります。

参考文献

川畑 篤礼ら : 頚椎傷性脊髄症 整形外科看護 Vol.24 No.2, 2019.
日本整形外科学会ほか監.頚椎症性脊髄症診療ガイドライン 2015.東京,南江堂,2015.105p.
吉井俊貴ほか.頚部神経根症の診断.Monthly book orthropaedics.30(10),2017,7-14
大川淳編.まるごと脊椎これ 1 冊.整形外科看護春季増刊.大阪,メディカ出版,2015,234p.

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