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頚椎傷性神経根症

頚椎傷性神経根症

頚椎傷性神経根症とは

頚椎傷性神経根症は、頚椎(首の骨)周辺の神経根が圧迫されることによって引き起こされる症候群です。頚椎を輪切りにすると、その構造が図に示されています。

頚椎の輪切り

図:頚椎の輪切り
出典:川畑 篤礼ら : 頚椎傷性神経根症  整形外科看護 Vol.24 No.2, 2019.

神経根とは、脊髄からそれぞれ分岐して椎体間の骨の出口(椎間孔)を通り、四肢に伸びる末梢神経のことを言います。
頚椎症性神経根症は、神経根が脊柱管ないで分岐した直後や椎間孔部で圧迫され、頸部・肩・上肢痛など局部の関連痛とその神経根の支配領域に感覚障害及び運動麻痺をきたす症候群です。

頚椎傷性神経根症の原因

加齢に伴う、椎間関節の変性、椎間板や靭帯の変性や骨化、椎間板ヘルニアなどの物理的な圧迫、さらには頚椎の不安定性など動的因子による狭窄が作用し発症すると考えられています。

頚椎傷性神経根症の症状

主な症状は肩や腕、手指の痛みや痺れであり、痛みの程度はさまざまですが、軽いものから日常生活に支障をきたすこともあります。また、上肢の筋力低下、筋萎縮、感覚障害を生じることもあります。
頚椎傷性脊髄傷と異なり、体幹や下肢に症状をきたすことはありません。よって、頚椎症性脊髄症で見られるような下肢腱反射の亢進やBabinski反射の出現は見られません。さらに高知機能障害や排尿障害、歩行障害は生じません。
頚椎を後方に反らすと症状が増悪するため、見上げる動作が行いにくくなることがあります。

頚椎傷性神経根症の検査

診察では、傷害された神経レベルの上肢の痛みや痺れを調べます。さらに傷害された神経の支配筋力低下に加えて、腱反射の低下を確認します。

Jackson test (ジャクソンテスト)やSpurling test (スパーリングテスト)といった誘発テストを行います。
このテストでは陽性になることが多いです。

ジャクソンテスト

頸部を進展させて、肩骨部や上肢への放散痛を調べます。神経根症、脊髄症で共に陽性になります。

スパーリングテスト

頚椎を後屈し、患側に側屈させた状態で軸圧を加え、放散痛の有無を確認します。

単純レントゲン検査

正面、側面のレントゲンでは、椎間関節や椎体の骨棘、椎間板の高さの減少などを確認します。

MRI検査

ヘルニアなどの軟部組織や腫瘍性病変による圧迫が描出できます。

頚椎傷性神経根症の治療

基本的には自然治癒する病気であり、まずは保存治療が選択されます。

保存治療

頚椎を後方に反らさないようにする頚椎カラーを使用した装具療法や、消炎鎮痛剤、ビタミンB12製剤、プロスタグランジン製剤などを使用した薬物治療があります。
薬ブウ治療では、神経傷害性疼痛薬であるプレガバリン(リリカ®️)や、慢性疼痛治療薬としての抗うつ薬やオピオイドが使われることもあります。
治るまでには数ヶ月以上かかることが多く、筋力低下が強い症例や日常生活の障害が強い場合などは手術治療が必要となる事があります。

参考文献

川畑 篤礼ら : 頚椎傷性神経根症 整形外科看護 Vol.24 No.2, 2019.
田中 靖久ほか:“ 頚部神経根症と頚部脊髄症の症候による診断 ”.NEW MOOK 整形外科.6,1999,30-8.
乾 敏彦ほか:頚椎症性神経根症 (椎間板ヘルニア含む) の外科治療に関する指針.脊髄外科.29(3),2015,242-51
吉井 俊貴ほか:頚部神経根症の診断.Monthly book orthropaedics.30(10),2017,7-14.

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