半月板損傷
半月板損傷
半月板損傷とは
半月板は繊維軟骨からなり、膝関節の大腿骨と脛骨の間の内外に1枚ずつあり(図)、衝撃の負荷の吸収・分散や安定性向上などの機能があります。
図:膝関節の正面図と断面図
出典:岡村 建祐ら : 半月板損傷 整形外科看護 Vol.27 No.11, 2022.
典型的にはスポーツなどで膝関節へ荷重した状態にひねりなどの外力が加わった時に損傷しやすく、人体の損傷と合併することも多いとされます。
また明らかな外傷がなくても、加齢に伴い半月板が変性している場合や、円盤状半月という形態異常が元々ある場合は損傷しやすいとされています。
受傷原因は様々なため、損傷の形態もそれぞれ異なります。代表的なものとして、縦・横・水平・フラップ状・バケツ柄状・変性断裂があり、それらが同じ半月板に複数併発することもあります(図)。
図:半月板損傷の分類
出典:岡村 建祐ら : 半月板損傷 整形外科看護 Vol.27 No.11, 2022.
半月板損傷の原因
若年者では、主にスポーツ外傷でよく見られます。急な方向転換など膝に体重がかかった状態で膝を捻ったりすることで起こります。
また、前十字靭帯損傷などの靭帯損傷の場合は、半月板損傷を効率に合併することがあります。また半月板は加齢とともに変性して損傷しやすくなることから、中年以降でははっきりした外傷もなく、日常生活動作(階段昇降や小走りなど)の軽微なきっかけで損傷することがあります。
このように外傷に伴うものが多いですが、変性断裂といった加齢性変化に伴うものもあります。
半月板損傷の症状
症状が軽度の場合は違和感や引っ掛かり感といった程度ですが、重症の場合は「ロッキング」という激痛とともに膝関節が動かせず歩行できない状態となることもあります。
半月板損傷の検査
身体診察で膝の腫脹や引っ掛かり、ロッキングなどの症状を見ます。
画像検査では、MRI検査によって、半月板断裂の種類、場所を同定します。
半月板損傷の治療
まずは鎮痛薬の使用やリハビリによる保存治療で様子を見ます。半月板損傷由来の改善しない関節痛や、ひっかかり感・関節水腫・ロッキングなどの明らかな症状をきたしている場合は、手術治療が推奨されます。
半月板に対する手術のほとんどは関節鏡視下に行われており、半月板縫合術、または半月板切除術から選択されます。昨今では縫合術を選択することが多くなっています。
参考文献
岡村 建祐ら : 半月板損傷 整形外科看護 Vol.27 No.11, 2022.
井樋 栄二ほか:標準整形外科学.第 14 版.東京,医学書院 194-5,613-4,626-9. 2020.