腱板断裂
腱板断裂
腱板断裂とは
腱板は棘上筋腱、棘下筋腱、肩甲下筋腱、小円筋腱といった4つの腱が合体して構成されます。
腕を上げるとき、腱板筋が収縮して肩関節の安定性が得られます。(図)
(図) 腱板の機能(正常)
出典:中川 照彦ら : 肩関節の疾患 整形外科看護 Vol.25 No.6, 2020.
しかし、腱板が断裂すると上腕骨頭が上方に転位して大結節が肩峰下面に当たり、インピンジメント(衝突)を起こして痛みが生じます。
(図) 腱板の機能(腱板断裂)
出典:中川 照彦ら : 肩関節の疾患 整形外科看護 Vol.25 No.6, 2020.
- 最も断裂しやすい腱板は上方に位置する棘上筋腱です。
- 45歳以上になると腱板に加齢による変性が起こり、年齢と共に進行するので、60-70歳代に多く見られます。
腱板断裂の原因
転倒による肩の強打、手や肘をついた際の骨頭の上方への突き上げなどといった外傷によるものが多いですが、腱板の加齢変化によっていつの間にか断裂することもあります。
腱板断裂の症状
肩の運動時痛や夜間痛があります。
また、挙上90度前後でインピンジメントによって痛みが生じます。(肩峰下インピンジメント症候群)
腱板断裂の検査
上記の臨床症状に加えて、MRIによって腱板断裂の有無や大きさが分かります。
腱板断裂の治療
保存治療が原則で、消炎鎮痛薬の内服や腱板筋力強化訓練などを行います。
腱板は4つの腱が合体したものであり、一部が断裂しても他の部分で代償されるため、リハビリテーションが重要です。
保存治療が無効の場合は手術を検討します。手術は関節鏡視下腱板修復術が主流です。
高齢者の腱板広範囲断裂で挙上困難な症例には、リバース型人工肩関節置換術を行うことがあります。
肩腱板断裂って、エコーで見えるの?
参考文献
中川 照彦ら : 肩関節の疾患 整形外科看護 Vol.25 No.6, 2020.